飲酒運転のひき逃げ事故で服役中の女子大生、受刑者らのいじめを苦に自殺 怒る両親に世間からは冷たい声(英)

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2018年10月23日 21:32  Techinsight Japan

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飲酒運転で事故を起こし服役中だった大学生、刑務所内で自殺(画像は『Mirror 2018年10月21日付「Drink drive student who took her own life in cell ‘forced to parade naked in front of prison staff’」(Image: Daily Record)』のスクリーンショット)
法律のもと、然るべき制裁が下されて当然の犯罪者に対し、あまりにも甘い判決が下りることもしばしばな英国では、司法の裁きに明らかな不公平さを感じる市民が少なくない。スコットランドで昨年、飲酒運転の末にひき逃げ事故を起こした女子大学生が2年の実刑判決を受け服役していたが、今年6月に刑務所でいじめに遭い自殺した。現在、加害者の両親は娘が受けた判決に疑問を投げかけ、刑事司法制度の改革を求めるキャンペーンを開始しているが、世間からは冷ややかな声があがっている。『Mirror』『Daily Record』などが伝えた。

昨年8月10日、当時20歳でスコットランドのグラスゴー大学の学生だったケイティー・アランはイースト・レンフルーシャー州ギフノックで飲酒運転をし、マイケル・キーナンさん(15歳)を撥ねる事故を起こした。ケイティーは、路上で血を流し意識を失っているマイケルさんをそのまま放置。しかし事故の目撃者がケイティーの車のナンバーを控えていたことから警察がケイティーを突き止め、逮捕となった。

ケイティーは警察に、誰かを撥ねたことは全く知らなかったと供述。足首を骨折し眼窩にヒビが入る怪我で2週間の休学を余儀なくされた被害者のマイケルさんは、その後しばらくは杖をついて生活していたが、幸いにも完全回復した。これにより裁判では、マイケルさんの家族が手紙でケイティーに実刑を免除する懇願をしたが、デイヴィッド・ペンダー判事は「実刑を避けることは不可能」としてケイティーに懲役2年の有罪判決を下した。

しかしフォルカークのポルモント刑務所に収容されて3か月経った今年6月、ケイティーは独房で自殺した。ケイティーの母リンダさん(51歳)と父スチュアートさん(54歳)は、娘が刑務所内で激しいいじめに遭っていたと訴えた。リンダさんはこのように話している。

「兄と訪問した日が、娘に会った最後の日になってしまったのですが、何か良くないことが起こっているのではと感じました。娘は疲労困憊した様子で睡眠もとれていないようでした。娘の髪はストレスで80%も抜け落ちて脱毛症になっていました。娘は他の受刑者らにいじめられていただけでなく、刑務所の看守の演習の一環として検身の訓練をする時に裸にされたり、面会後にも必ずと言っていいほど裸にされて検査されていたのです。」

また受刑者のひとりによると、ケイティーは「オオカミの群れの中に放り込まれた羊」で、特にある受刑者からはタバコを持ってくるように強制されたり、切手を要求して手紙を投函させたりするなど、言いなりになる性格を利用されてことごとく虐げられていたようだ。

訪問したリンダさんが娘の異常に気付いて看守2人に忠告。刑務所側はいじめへの対処として、21歳になったケイティーに成人犯罪者がいるセクションに移動させる旨を伝えた。しかし、若い犯罪者らの収監施設から落ちぶれた犯罪者や薬物使用者などで溢れる成人犯罪者のいる施設に移るとなると、更に過酷な試練が待ち構えていることだろう。それに恐怖を感じたケイティーは翌日、自らの命を絶った。

検死の結果では、ケイティーの体中から深刻な自傷行為の痕が発見された。しかし亡くなる直前まで、ケイティーに自殺のリスクがあることを施設内の誰も考慮していなかったようだ。実刑判決が下された時には、被害者家族をはじめ社会調査報告でも「大学で地理を学び、将来はシェフになりたいという夢があるケイティーの実刑は免除すべき」という声があがっていた。自分の娘が犯した罪を償うのは当然の行為であると認めながらも、やはり裁判で実刑判決が下されたことに納得できないリンダさんは、このような結果になったことも加えて、「似たような事故を起こした加害者は実刑を免れているのに、なぜ娘には実刑判決が下ったのか」と司法の裁きに猛烈な怒りを感じ、正義を求めるキャンペーンを開始した。このキャンペーンは、マイケルさんの家族やグラスゴー大学の牧師、人権弁護士などがサポートをしているそうだ。

マイケルさんの母マーガレットさんは、「私たちが望んでいなかった判決がケイティーに下り、刑務所で亡くなったと聞かされた時にはとても悲しい思いをしました。ケイティーは、刑務所内から私たちに2度目の手紙を送ってきましたが、繰り返して息子を撥ねたことに気付かなかったと書かれてあり、謝罪の言葉が綴られてありました。彼女の家族にとっては、全ての出来事が悲劇に他ならないでしょう」と心中を語った。

リンダさんが言うように、同じような犯罪で実刑を免れる加害者もいなくはない。英司法のシステムには常々世間から疑問の声があがっていることは事実だ。しかしこのニュースを知った人からは、「飲んだら乗るな、の法に違反して犯した罪だろう。まだ被害者が亡くならなかっただけマシ」「実刑が重すぎるって思うのはおかしいでしょ。飲酒運転のひき逃げ犯を刑務所に入れずに野放しにしておけっていうの?」「全ての飲酒運転者は懲役刑を受けるべきなんだ。なんの罪もない人が巻き込まれてしまうんだから」「亡くなったのは気の毒だけど、自分で蒔いた種としか言いようがない」「刑務所が過酷な場所なのは当然のことだろう」「飲酒運転をしてしかもひき逃げだろ? 判事は当然の処罰を下しただけ」「飲酒運転者には何の同情もできない」といった冷ややかな声があがっている。

画像は『Mirror 2018年10月21日付「Drink drive student who took her own life in cell ‘forced to parade naked in front of prison staff’」(Image: Daily Record)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)

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  • 刑が重すぎた……ではなく、囚人・看守ぐるみのイジメ行為をなぜ問題にできないのか?
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