【コラム】 時代はいつ追いつける? 孤高のまま最先端をぶっちぎるXスポーツ

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2008年12月07日 09:51  よりミク

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よりミク

 険しい山の頂や海中、はたまた断崖絶壁や荒れ狂う激流。そんな過酷な自然に、果敢に挑む人たちがいます。手にはアイロンひとつを携えて……。「正気ですか!?」思わずそう問いかけたくもなるでしょう。もちろん彼らは正気です。そして、生存さえ困難な厳しい環境で、あえて平然とアイロンを掛けてみせます。それはエクストリームアイロニングというスポーツなのです。
 既にご存じの方も多いと思いますが、まだ知らない人のためにちょっと解説。競技の発祥は1997年のイギリスです。以降は欧州を中心に広がりを見せ、日本でも2003年にエクストリームアイロニングジャパン(EIJ)という協会が設立されました。昨年はYouTubeなどでその競技シーンが話題に。エクストリームアイロニングは、不定期ながら世界大会も開催されています。大会では「魅せる」ことが大事な要素。アイロンを投げたり、ジャンプしたり、派手なパフォーマンスを伴って他者とポイントを競い合います。
ジャックナイフエアリアル
ジャックナイフエアリアル
 常識を超えたアイロン掛けを見せつける競技者たち。その姿は、彼らが真剣であればあるほど、パフォーマンスが美しければ美しいほど、笑いを誘いもします。あまりのバカバカしい光景に「どうして命がけでそんなことを?」という疑問もわきあがることでしょう。当然です。危険と隣り合わせ。悪ふざけや、ただ目立とうというだけなら、もはやかける言葉もありません。でも、そんな疑問に対する彼らの答えはいつもひとつ。
「そこにしわがあるから!」
 一見これもウケ狙いに走った解答に思えます。けれど、実はこの言葉には深い意味があるのです。いついかなる場合でもユーモアを忘れない。エクストリームアイロニングにとって、それはとても大事なこと。それゆえ競技者はアイロニストと呼ばれています。アイロンを掛けることと、極限状態を笑って楽しむような皮肉(アイロニー)な性質とが掛け合わされた呼称なのです。
富士山頂「剣が峰」での山岳アイロニング
富士山頂「剣が峰」での山岳アイロニング
 エクストリームアイロニングには、世界大会で行われている競技系アイロニングの他にも、いくつかのタイプがあります。ひとつは、癒しの効果を求めるスローライフ的な性質のもの。陽射しの暖かい庭や、ベランダなどでアイロン掛けを行い、自然環境を楽しむようなそれはネイチャーアイロニングと呼ばれています。ふたつ目は冒頭で述べたような、過酷な自然環境下で行うもの。スキューバダイビングやロッククライミングなどのアウトドアスポーツにアイロン掛けを取り入れたそれは、スポーツアイロニングと言います。
 鍛え上げた肉体、それはスポーツであるエクストリームアイロニングには当然必要なものです。しかし、どんなに強靱な肉体を持ってしても、常識ではありえないシチュエーションでプレイするのは危険を伴います。ですが、自分を追い込み、どんな極限状態にも動じない精神を磨くこと。そこにこの競技の本質があるのです。
 なんとも奥深きアイロニングの世界。その深淵をのぞくため、EIJの松澤等代表にお話を聞いてみました。
「そこにシワがあるから・エクストリームアイロニング奮闘記」松澤等著(早川書房)
「そこにシワがあるから・エクストリームアイロニング奮闘記」松澤等著(早川書房)
Q.これまで挑んでこられたエクストリームの例、印象の強かった体験をお聞かせください。
A.バンジージャンプ、スケートボード、滝行、相模湾海底などのシチュエーションでアイロニングに挑戦しました。すべて自分で行った上で、エクストリームとしてアリなのか、それともただの無謀なのか線を引くようにしています。印象に残っているものは、富士山頂での山岳エクストリームアイロニングです。発電機が24kgあり、プラス山岳装備を背負っての登山は本当にキツかったけれど、山頂アイロニングではまさに日本最高峰の達成感を得ることができました。
Q.目指す究極のアイロニングとは。
A.エベレストの単独・無酸素による登頂とエクストリームアイロニングです。
Q.エクストリームアイロニングの大会とは、具体的にどのようなものなのでしょうか。
A.大会は山に作られた1500mのコースで行われます。選手はアイロン台を持ってスタート。途中5つのアイロニングポイントでアイロンを掛けながらゴールを目指します。パフォーマンスの芸術点、アイロン掛けの技術点、そしてゴールするまでのタイム。その3つの総合で世界一を競うのです。09年9月にはドイツで世界大会の開催が予定されています。
Q.大会参加への意気込みを。
A.世界大会に出場するからには優勝を狙いたいと思います。例えばドイツと二国同盟を組み、第二次世界大戦の借りをイギリスに返したい。こういうユーモア精神こそが、本来エクストリームアイロニングが持つユーモアだと僕らは考えています。
 かくも魅力的なアイロニング。思わず挑戦してみたいと思った人もいるかもしれませんね。けれど、安易なチャレンジはオススメできません。繰り返しになりますが、これは危険を伴うスポーツなのです。
 想像してみてください。極寒の雪原、灼熱の砂漠、そんなエクストリームな場面を。想像の数だけアイロニングの可能性は広がります。お魚くわえたドラ猫を、素足で追いかけながらアイロニング、そんなシチュエーションだってありかもしれません。大事なのはユーモアです。心にいつもアイロンを。疲れてよれた心のしわを伸ばす。まずはそこから初めてみるのはいかがでしょうか。(執筆・編集/mixiニューススタッフ)
■関連サイト EXTREME IRONING JAPAN:http://www.exironingjapan.com/
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  • 五年前の記事だけどスゲーな���줷����どんなスポーツであれ、真のアスリートは、研ぎ澄まされた熱い魂を持っている�Ԥ��Ԥ��ʿ�������
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