子どもの抑うつ・不安、低所得層は中間層の1.6倍

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2016年10月21日 14:00  QLife(キューライフ)

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高所得層も1.3倍とリスク高く

画像はリリースより

 昨今、社会問題として深刻化しているのが、子どもの貧困。欧米では、親の社会経済状況が悪いほど、子どもが抑うつ・不安状態に陥るリスクが高くなると多数報告されていますが、国内で同様の報告はありませんでした。

 そこで、日本医科大学では6年間にわたり、親の所得によって抑うつ・不安状態になる割合に差が出るのかを調査。全国の12〜18歳の子ども約9,500人に対して、「K6質問票」というメンタルヘルスの評価尺度を使い、抑うつ・不安状態の強さを調べました。

 その結果、子どもに抑うつ・不安がある割合は、世帯所得の中間層を1とすると、最も所得が低い層では1.6倍高いことがわかりました。また、ひとり親世帯の場合、両親がいる世帯と比べて1.3倍高いことも判明。貧困が子どもに及ぼす影響が精神面にも現れていることが推測される一方で、最も所得が高い層でも1.3倍高い結果となり、所得が多すぎても、少なすぎても、子どもに与える影響があるものと考えられます。

世帯所得によって異なるストレスの原因

 先の調査では、約4割の子どもがストレスを抱えているとも回答。原因をみると、最も所得が低い層は「家庭の経済状況」のほか、「家族との人間関係」や「家族以外との人間関係」、最も所得が高い層は「学業」にストレスを感じる傾向があり、原因が異なることがわかりました。悩みの相談状況を分析したところ、低所得層では「相談する人がいない」と答えた子どもが多く、相談先の紹介などが今後の課題といえそうです。

 また、ひとり親世帯の子どもも、抑うつ・不安を抱える割合が高い傾向にあります。日本の働くシングルマザーの相対的貧困率は、経済協力開発機構(OECD)加盟国の中で58%(2008年)と最も高いことが報告されており、「女性の貧困」も深刻な問題。子どもの抑うつ・不安を予防するためにも、女性の貧困問題を解決することが求められるでしょう。

 このように、子どもの精神面は家庭環境に大きく左右されています。解決のためには、世帯所得によってアプローチを変えたり、ひとり親世帯をターゲットとした政策を提言したりと、細かな対応が求められています。子どもは、親を選べません。だからこそ、子どもたちが「生まれてきてよかった」と思える社会を作り上げることが、大人である私たちの重要な役目ではないでしょうか。(菊地 香織)

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