【コラム】　カオスな世界? 卵かけご飯に新潮流

　炊きたてご飯に卵をぽんっ。シンプルながらも優しい味の卵かけご飯は、多くの日本人に愛され続けているメニューです。小栗旬さん出演でお馴染みの味の素CM「小栗流直球たまごかけご飯」篇では、卵かけご飯を豪快にかっこみ「うまいっ！」と叫ぶ姿が印象的。CMを見るたびに思わず生唾ゴクリ、なんてことになっていませんか？　「卵かけご飯専用しょうゆ」の元祖と言われる「おたまはん」の登場により火がついた卵かけご飯人気に、近年、新潮流が訪れています。今回は、そんな卵かけご飯事情に注目してみました。　 ■1年間、毎日ちがう卵かけご飯が食べられる究極のレシピ本 　まずは、卵かけご飯をカオスな世界へと誘い込んだ、「365日たまごかけごはんの本」をご紹介。名前の通り、365種類の卵かけご飯を掲載しているこの本は、単なる料理本ではありません。卵とご飯とタレと、さまざまな食材を「柔軟」かつ「自由」に組み合わせる楽しさや、そこから生まれた新たな味わいを提案する、いわゆる「実験本」なのです。

すでに表紙から気合いが伝わってきます。文庫本サイズで持ち歩きにも便利。

365種類のアイディアがぎっしり。

　卵かけご飯を「エブリシングウェルカムの驚くべきフリーダムに溢れた世界」と評するこの本は、オーソドックスなものから奇抜なメニューまで幅広く紹介しており、実に多彩です。「桜えび+天かす+麺つゆ（ウィーLOVE桜えびT.K.G.）」や「味付ザーサイ+ごま油+ポン酢（こ、こ、これはいけるT.K.G.）」など、いかにも相性が良さそうなものから、フルーツや駄菓子、コーンフレーク、バニラアイスなどを用いた勇気あるチャレンジまで……。まさしく「実験」といえるようなメニューが入り乱れているのです。試しに、家にあった食材で「ベビースターラーメン+ポン酢（おかし〜T.K.G.）」を食してみたところ、これがこれがなかなかの美味。さすがに「パイン（缶詰）+ピーナツバター+しょうゆ（チャレンジT.K.G.）」といった甘味系を試す勇気はありませんでしたが……もしかすると、意外と相性が良いのかもしれません。勇気のある方は、ぜひチャレンジしてみて下さい。 　ネーミングもまた独特。「脱力キャラT.K.G.」「鼻血ブーT.K.G.」「その母T.K.G」など、どんな料理なのか全く連想できないものから、「うになら食べてやってもいいわT.K.G.」「わらわは肉が好きじゃT.K.G.」といった個性的すぎるものまで、クスリと笑える要素が詰まっており、読みものとしても楽しめます。なお、メニュー名にかならず付いている「T.K.G.」とは、卵かけご飯の略称（？）。新たに生み出された「作品」に敬意を表するため、「称号」として付けているのだそうです。

画像左上：桜えびと揚げ玉を使用。画像左下：お茶づけ海苔は、半袋程度から味見しつつ加えるとGOOD。画像右上：ザーサイとごま油。文句なく美味。画像右下：卵かけご飯に駄菓子という、斬新なアイディアに脱帽。

■卵かけご飯で町おこし。秘伝の「タレ」も。 　「卵かけご飯を広めた」という説のある明治の偉人・岸田吟香（きしだぎんこう）の郷土・岡山県美咲町では、根強い卵かけご飯人気に注目し、卵での町おこしを計画。「たまご料理専門店『食堂かめっち。』」をオープンさせました。卵をはじめ、米、しょうゆ、器までもが地元産というこだわりの品を、ご飯・卵とも食べ放題で300円という破格の値段で提供。予想以上の客足を集めており、休日になると待ち時間が1時間を超えることも珍しくないそうです。では、なぜここまで注目を集めたのでしょうか。その理由の一つに、オリジナルの「タレ」があります。地元産のしょうゆをベースに開発された3種類の「タレ」（シソ、のり、ネギ）が好評を博し、この「タレ」があるからこそ来店するというお客さんもいるのだそうです。

インパクト大「食堂かめっち。」ののれん。

地元産のこだわり素材で作られた卵かけご飯。

■「究極」の卵かけご飯。お値段は？ 　一方、庶民的なメニューであることを逆手に取り、「高級」を売りにするお店もあります。渋谷「鐵玄（てつげん）」で提供する「究極の釜炊き卵ご飯定食」のお値段は、なんと1000円。卵かけご飯に1000円は……と、ためらってしまうかもしれません。しかし、そこが「究極」たる由縁。注文を受けてから釜で炊きあげるご飯に、奥久慈軍鶏の卵、最高級の南高梅、幻の焼き海苔を使用するという、隅から隅までこだわりを尽くした定食なのです。 ■みんなで食べよう「たまごかけごはんの日」。 　「たまごかけごはんの日」という、素敵な日があることをご存じですか？　卵かけご飯専用しょうゆ「おたまはん」を世に送り出した、「吉田ふるさと村」企画の「第1回たまごかけご飯シンポジウム（2005年10月28〜30日）」。そこで発表された「たまごかけごはん宣言」にて、10月30日を「たまごかけごはんの日」とすることが決まりました。現在「たまごかけご飯シンポジウム」は、「日本たまごかけごはん楽会」主催に変わり、2008年10月25日・26日に第4回を計画中。開催予定地は「おたまはん」発祥の地・島根県雲南市吉田町です。 ■卵かけご飯、あなたのこだわりは？ 　ところで皆さんは、卵かけご飯にどのようなこだわりを持っていますか？　アンケートをとったところ、 ●卵は：全卵を使う or 黄身だけを使う。 ●卵は：別容器に割る or ご飯の上に直接落とす or 卵の上にご飯を盛る。 ●卵は：強くかき混ぜる or 軽く混ぜる or かき混ぜずに黄身を割りながら食す。 ●しょうゆは：多め or 少しだけ or しょうゆ以外のものをかける（めんつゆ、ソース、味の素のみなど）。 ●しょうゆは：卵と混ぜてからご飯にかける or ご飯に卵をかけてからかける or ご飯にかけてから卵を投入。 ●ごま油、味の素、バターなどの調味料をかける。 ●海苔、ねぎ、かつお節、ふりかけなどをトッピングする。 など、それぞれがこだわりを持っているようです。ほかにも、ホカホカご飯よりも冷やご飯派や、ご飯と卵のみという強者(?)も。また、呼び方も「卵かけご飯」のほかに「卵ご飯」「たまかけご飯」「卵まぜご飯」「たんたんご飯」など、地域や家庭によって異なるようです。シンプルにして奧の深い卵かけご飯。明日の朝食にいかがですか？（水流／mixiニューススタッフ） 関連サイト： ・365日たまごかけごはんの本 http://365tkg.com/ ・食堂かめっち。 http://www.town.misaki.okayama.jp/kankou/tamago/index.htm ・日本たまごかけごはん楽会 http://www.tamagokake-gohan.com/

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