末期がんの彼と11日間夫婦に、2人で約束した2014年の結婚式を前倒し。

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2012年10月15日 13:20  ナリナリドットコム

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英国のある女性は、長年交際を続けていた恋人から3年前のバレンタインデーにプロポーズを受け、幸せの最中にいた。明るい未来が築けるよう、2人は家を買うための資金を貯めようとお互いに仕事を頑張っていたのだが、今年の4月にそんな未来が突如として暗転する。彼はがんと診断され、入院生活を余儀なくされる状況となったのだ。その後、彼の体調は急激に悪化。もはや別れの時が近いと悟った2人は今年9月、3年前に約束した“永遠の愛”を誓うべく、病室で結婚式を挙げたという。

英紙ダービー・テレグラフやデイリー・ミラーなどによると、この女性は英中部の街ダービーで暮らす25歳のエマ・ケントさん。彼女には、高校の美術の授業で初めて会話を交わし、その後、交際に発展したウィリアムさんという彼氏がいた。交際は卒業後も続き、3年前のバレンタインデーに彼がプロポーズを申し込み、晴れて婚約。夫婦として素晴らしい家庭を、明るい未来を掴むはずだった。

ただ、当時はまだ互いに大学を卒業したてで、彼は教師、彼女はグラフィックデザイナーの道を歩み始めたばかりだったこともあり、結婚式は2014年に挙げようと約束。それまでにお金を貯め、2人が暮らす家の購入資金に充てるという目標に向かい、お互い仕事に励む毎日を送っていた。

そうした中で今年4月、ウィリアムさんが突然の病魔に襲われる。咳が止まらなくなり、腕に痛みも感じるようになった彼が病院へ行くと、医師から「悪性リンパ腫」との診断が下された。すぐに治療を開始したものの、彼の体調は急激に悪化し、入院生活を余儀なくされてしまう。

こうして、将来の先行きに不安が生じた2人。それでも「医師が帰宅を許してくれる」体調の良い日は、せっかくの時間を有効活用するようにデートを重ねた。「彼が食事に出かけたがった」とあって、もっぱら「ピザハットやケンタッキーフライドチキン」といったファストフードレストランがデート場所になったそうで、2人は彼が「次の化学療法に耐えられる」元気を養えるよう、いつも心からデートを楽しんだという。

しかし必死の治療にも関わらず、彼の症状は脳への転移も見つかるほどさらに悪化。9月の時点では神経系にも影響が及び、「会話はおろか、瞬きすらできない」状態となった。医師からは「余命数週間」と言われる末期の状態に陥ったとき、エマさんは「2人で密かに立て始めた計画」を実行に移そうと決意する。それは、2014年の予定を前倒ししての結婚式。すでに相談していた看護師から「彼の父親が同意すれば、病室で式の準備をする」との確約を得ていたエマさんらは、父親の許しをもらい、急いで準備を始めた。

そして9月22日の夕方、ウィリアムさんの病室で2人の結婚式を開催。家族や大勢の友人たちが駆けつけ、室内が「すし詰め状態」となる中、2人は晴れて夫婦となった。看護師の協力もあって、手続きに必要な結婚登記官も手配。言葉を発せない彼は父親のサポートを受けて、登記官の手を「強く握って」永遠の愛を誓った。

ずっと愛し続けた彼女とようやく結ばれたウィリアムさん。しかし、彼の25回目の誕生日を迎えた10月3日、約半年間の闘病生活も実らず永い眠りについた。生前の人望を示すかのように、学校の教え子たちからも悲しみの声が多く寄せられているといい、10月23日に予定されている葬儀では、大勢の参列者が詰め掛けると見られている。

11日間だけ夫婦として過ごしたエマさんは、寂しさを嘆きつつも彼の存在を想い、今は「毎日が最期の時だと思って、どんな時もベストを尽くします」と、前を向こうと頑張っているという。


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