無人島販売会社があるのをご存じでしょうか? 日本には無人島が約7,000もあるそうで、その販売業務があるのは理解できますが、とても珍しい業務には違いありません。その仕事内容について、アクアスタイルズ代表取締役社長、佐藤政信さんにお話を伺いました。
アクアスタイルズは、1975年からリゾートアイランドの販売をしているVLADI PRIVATE ISLAND社の代理店業務も行っています。その一方で日本の無人島販売もしているおそらく日本唯一の会社です。
■初めは「リゾートにかかわりたい」という思いから――珍しいお仕事だと思うんですが、そもそもこの仕事を始められたきっかけは?佐藤社長 僕はもともとリゾートが好きなんですよ。海が好きで、ハワイとかタヒチとか結構行っててますし。それで、ずっとリゾートにかかわる仕事をしたいなと思ってたんです。アメリカに留学している時に、『ピープルマガジン』に「島を売る人」っていう記事が載ってたんですね。それがVLADI PRIVATE ISLAND社を知った最初です。
――それでコンタクトを取られたわけですか?佐藤社長 日本に戻ってから社長あてにメールを打ったんです。そしたら「やめたほうがいい。日本で安定した仕事をした方がいい」って返事が来て。
――止められたんですね。佐藤社長 そうです(笑)。でも1年後にドイツのハンブルグへVLADI PRIVATE ISLAND社の社長さんに会いに行ったんです。その時は副社長にしか会えなくてね。副社長からは「社長に直接会って、コントラクト(契約書)を交わした方がいいね」と言われました。
――会いに行ったのに本人はいなかったんですね。佐藤社長 その1カ月後に今度は「費用全部出してあげるからカナダに来なさい」と。支店があるんですカナダに。で、行ったその時に、たまたまお客さんが来ていて契約がまとまったんです。社長が言うには「君は幸運を持ってきてくれた。なので代理店をやってみるか?」(笑)。それで契約を交わしたんですね。そこから島の販売業務をやっています。10年ぐらい前の話です。
■無人島の仕入れは?――素朴な疑問なんですが、無人島の仕入れはどうされているんですか?佐藤社長 VLADI PRIVATE ISLAND社の業務から始めてますので、初めは海外の物件しかなかったんですよ。Webページも作って始めてみると、それを見たお客さんから電話がかかってきて「おれ、船持ってるんだけど、カナダには行けないから日本で探してくれないか」って言われたんですよ。
――Webページが利いたんですね。佐藤社長 そうですね。で、「やっぱり日本の無人島も扱った方がいい」と思って日本でも探してみたんです。そうしたら日本でも売りに出てる物件がいくつか出てきたんです。
三重県の不動産屋さんと九州の不動産屋さんが扱っている物件があったんです。そこに連絡して「売らせてもらえませんか、客付けしますからいいでしょ」って言ってですね。
――最初はやっぱり探すんですね。佐藤社長 そのうちにもっと弊社が露出するようになって……。そうすると今度はオーナーさんから連絡が入るようになりまして。「売ってくれないか」と。で日本で出てきた15、6島ぐらい扱ってます。
――日本で無人島のオーナーってたくさんいるものなんですか?佐藤社長 これはですね、自分で買った人もいるんですよ。弊社のホームページに出てる、4億円とか5億円とかの島、あれは購入された方ですね。
――それ以外というのは?佐藤社長 大抵は相続です。
――あ、そうなんですか。無人島って相続するんですね。佐藤社長 だってね日本って無人島が6,800島ぐらいあるんですよ。だから絶対いるわけですよ。代々受け継いでる人が。
――島を代々受け継いでいる人ってどんな人なんでしょうね。佐藤社長 現在は漁業組合の組合長とかされている方、昔はその土地の有力者だった人とかですかね。網元さんとかね。そういう方が多いんじゃないかなあと僕は思いますけど。
――そういう島は安いんでしょうか。佐藤社長 まあほとんど言い値ですよね。固定資産税でいったら何千円とかの世界ですからね。
――高い固定資産税がかかるものじゃないんですね。佐藤社長 山なんかと同じですよ。いくら島一島って言っても。日本の土地はやっぱり駅から近くないと値段高くならないです(笑)。流動性ほとんどないです。
――すると4億とか5億とかになると高価な物件ですよね。佐藤社長 億を超えてくると売るのも大変ですが、決まるときは決まります。ただ、買っていただきやすいのは3,000万円とか4,000万円ぐらいですかね。
■無人島のインフラ整備は?――無人島となると、インフラが気になるんですが。佐藤社長 そうですね、大抵は井戸と自家発電機で対応でしょうか。
――井戸などは自分で掘るんでしょうか?佐藤社長 中には、もともと人が住んでいた島というのがあって、その場合には古井戸が残ってたり、桟橋が残ってたり。この桟橋が重要なんですよ。
――桟橋が?佐藤社長 とにかくですね、桟橋を造るとなると工事が大変なんです。県庁と漁業組合に話し通さないといけない。水の下の工事になりますので漁業法の制限を受けるんですね。コンクリを流し込んだりすると漁業に影響があるかも、と考えないといけないんですよ。漁業組合さんとの折衝が大変です。
――やはりそれなりに苦労があるんですね。佐藤さんが販売された無人島で、そこに住んでいるという人はいますか?佐藤社長 いないですね。でも家を建てた人はおられますよ。そこに年に2、3回行くとかそういう感じですね。
――その島のインフラはどうなんでしょうか。佐藤社長 井戸と発電機ですね。その方は船も買われましたよ。で、普段は漁業組合さんにお願いして港に船を停泊させてもらっていますね。もちろんいくらかお支払いしてですね。
――その島は港から遠いんでしょうか?佐藤社長 目の前ですね。船で5分(笑)。
■無人島を商品にまとめるのが難しい――佐藤さんのところに入ってこないだけで、ほかにも販売できる無人島って結構あるんでしょうか?佐藤社長 あると思いますね。ただ、ひとつの商品として売りに出すのは難しいんでしょう。
――というのは?佐藤社長 その人ひとりだけで持っていればいいんですが……例えば、島のこの部分はほかの人、みたいに地権者が散っていることが結構あるんです。その場合は複数の人の利害を調整してワンパッケージにしなくちゃいけないので。これは大ごとです。しかも、それをやったとしても、売れるかどうかわからない(笑)。
――なるほど。佐藤社長 あとですね「登記」というのは別にしなくてもいいんです。売った買ったをしないのであれば登記する必要ってあまりないですし。例えば島で昔畑をやっていたんだけど登記していない、なんて人がいるんです。そうすると、もう誰が持っているんだかわからない(笑)。地権者を全部調べ上げて商品にするなんて労力をかけても報われるかどうかわかりませんから、それは普通やらないですよね。
■無人島販売だけではもうからない!――色んな苦労があるんですね。佐藤さんはこの商売でもうかっているんでしょうか?佐藤社長 無人島販売だけでは全然もうからないですよ(笑)。なにせ10年で売れた島が3つですから。
――それでも3つ売れてるんですね! 一番高価な島はいくらだったのでしょうか。佐藤社長 6,000万円です。この商売をやってる面白みってね、色んな人に会えることですよ。ちょっとお金持ちの人に会えたり、マスコミの人にお声掛けいただいたりね(笑)。
無人島を買ってサンダーバードのように秘密基地にするためには、やはり億万長者じゃなければ無理なようです(笑)。大金持ちのあなた! アクアスタイルズで無人島を購入してみませんか?
(高橋モータース@dcp)
無人島販売『アクアスタイルズ』のサイト
http://www.aqua-styles.com/index.html
VLADI PRIVATE ISLANDS社のサイト
http://www.vladi-private-islands.de/islandsforsale.html
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