「これは反面教師」“一番キケンなグルメマンガ”『ドカ食いダイスキ!もちづきさん』凄い高カロリーを検証

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2024年05月19日 07:00  リアルサウンド

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ヤングアニマル公式Xより @YoungAnimalHaku

■ドカ食いじゃないと多幸感がない


  今までにない衝撃的な“ドカ食い女子”を爆誕させ、グルメマンガの新次元を切り拓いている異色作『ドカ食いダイスキ!もちづきさん』。明らかに健康リスクが高そうな食事描写が賛否両論を呼んだり、「逆に反面教師になる」と絶賛されたりと、さまざまな反応を巻き起こしている。そこで今回は、作中に登場する“限界グルメ”の内容に焦点を当てる形で同作のレビューを行ってみたい。


  なお、念のため本稿が健康を害するドカ食いを推奨するものではないことは先に断っておこう。
 
  同作は5月9日から『ヤングアニマルWeb』で連載が始まった作品で、すぐさま口コミによって爆発的に拡散され、X上で日本トレンド1位を獲得することとなった。なぜそこまで大きな注目を集めたかといえば、その理由はひとえに食事描写の異様さにあるだろう。


  主人公の“もちづきさん”は21歳の営業事務で、ドカ食いによって生きる喜びを感じるという女性。作中では彼女が欲望のままに料理を食べる姿が描写されていくのだが、そのメニューがとにかくすごい。


  まず一食目のランチ「鶏もも肉の照り焼き弁当」は、濃縮タイプのめんつゆ(ボトル半分)に一晩漬けこんだ鶏もも肉を焼き、米に乗せた上で、「血液が塩水になりそう」な量のマヨネーズをかけたものだ。そして仕事で飢餓状態になった後、夜食としていただいたのは「2倍サイズカップ焼きそば」にたっぷりマヨネーズをかけたもの×2個分。前者は1,775kcal、後者は2,760kcalのメニューで、さらにランチでは210kcalの「コンビニのクソデカもも水」で水分補給を行っていたため、1日の合計は4,745kcalとなる。


  ちなみに厚生労働省が公表している「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によると、個人間の差が大きいものの、18〜29歳の女性が1日に必要な推定エネルギー量は1,700〜2,300kcalとされている。


  もちづきさんは、食後に満腹感と高血糖によって酩酊することを「至る」と表現しており、うつろな表情のまま意識を失うような描写もある。ドカ食いした後に眠気に襲われる現象の“レベルマックス”の境地に至っているような印象だ。


  血糖値が急上昇するような食習慣は、一般的に動脈硬化や糖尿病のリスクがあると言われているため、同作に対して「読者に悪影響があるのではないか」と指摘する声もないわけではない。


  ただ、あくまで作者はドカ食いを美化しているわけではなく、むしろ危険な行為として描いている。率直に言うと、もちづきさんはちょっとした“異常者”として描写されているのだ。入浴後に服を着る時間すら惜しみ、バスタオルを巻いたまま米4合のオムライスをかきこむ姿に共感できる読者は、決して多くはないはずだ。


■もちづきさんは“反面教師”にぴったり!?


  さらにいえば『ドカ食いダイスキ!もちづきさん』は、明らかにドカ食いの危険性を作中で明示している。たとえばもちづきさんが夜食にありつく直前、彼女の脳裡には心筋梗塞・高血糖・糖尿病などのオーラをまとったドクロがよぎっていた。


  同作で描かれるのは、誰もが共感できる絶品ご飯でも、憧れの美食でもなく、“絶対に真似してはいけない”食事のタブーだ。実際に不健康すぎるもちづきさんの食事描写に、SNS上では「中高年の読者にとってはホラー」という反応も上がっていた。


  その一方、同作はあまりにもリアリティたっぷりにドカ食いの恐怖を描き出しているため、「反面教師になる」という意見もあるようだ。たしかにもちづきさんは読者が道を踏み外さないよう、身を呈して「こうなってはいけない」という食生活を見せ付けてくれている……とも言えるかもしれない。


  なお、同じようにドカ食い描写を盛り込んだグルメマンガは他にもいろいろある。印象的な作品といえば、『カイジ』シリーズの飯テロスピンオフ『1日外出録ハンチョウ』が挙げられるだろう。単行本6巻に収録された第44話「暴徒」は、主人公の大槻が深夜2時にコンビニへと乗り込み、「胃がときめいた物」を片っ端から購入して爆食し、血糖値の導くままに眠りにつくというエピソードだった。


  そこでメインディッシュとなっていたのは、焼きそばの「U.F.O.」に明太子ポテサラ、味付きゆで卵を投入した“カロリーモンスター”で、いまだにその衝撃が語り継がれている。


  大槻の暴飲暴食は“脳内の大槻たち”にドン引きされていたが、精神(こころ)の健康のためにたまには無茶をしてもいい……というハートフルなオチとなっており、独特の読後感を残していた。


  人は何のために食事をして、何のために健康に気を遣うのか。ドカ食いを描いたマンガは、そんな哲学的な問いを読者に投げかけているのかもしれない……。


  なお、『ドカ食いダイスキ!もちづきさん』は元々隔月連載の予定だったそうだが、読者の反応を受けて、月イチ連載に移行することが発表されている。次なるエピソードは6月10日に公開されるそうなので、グルメマンガの最前線をぜひチェックしてほしい。


(文=キットゥン希美)


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  • たかが3000kcalで失神は無いんでないカナ? それなら一昔前のフードファイターだの大食い番組みんな失神じゃろ。
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