「病による悲しみ減らしたい」と孫正義氏 SBG、がん治療プラットフォームの米Tempusと合弁会社設立

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2024年06月27日 20:31  ITmedia NEWS

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 ソフトバンクグループは6月27日、AI医療事業を手掛ける米Tempus AIと提携し、日本で新会社「SB TEMPUS」を設立すると発表した。TEMPUSは、AIを活用したがん治療診断プラットフォームを提供しており、すでに米国の2000以上の病院がサービスを導入。米国のがん患者の半数にあたる770万人がTEMPUSのプラットフォームを使った診断を受けているという。


【写真を見る】ゴリゴリなデータ活用で、がん治療の支援サービスを発表する孫正義氏


 Tempusは2015年に設立。遺伝子検査サービス、医療データ収集とAIによる解析の他、患者のパーソナライズデータをもとに、医師に対しAIを活用した治療選択肢のレコメンドをリアルタイムで提供するという大きく3つのサービスを提供する。すでに米国の2000を超える病院にサービスを提供しており、米国のがん患者の50%にあたる770万人のデータ(遺伝子検査データ、電子カルテ、CT/MRIの画像データ、病理データ)を蓄積しているという。


 Tempusでは、病院ごとに異なるカルテデータを横断して活用するために、独自のアダプターを開発。患者データを匿名化した上で統一した記述に変換でき、病院側はカルテを改修する負担なく、膨大な患者データをもとにしたがんの分析結果を利用できるという。マルチソースの患者データを集約しているため、遺伝子検査を行った患者の96%に対し、最適な治療の選択肢を提示できるとする(遺伝子検査のみの場合は27%)。


 病院側はサービスを無償で利用可能。膨大な患者データと、AIによる高精度な治療選択肢の提供により、インフォームドコンセント(医者から患者に対し症状。治療について十分な情報共有を行った上で合意に至ること)が可能としている。マネタイズについては、膨大な患者データを製薬会社に提供することで収益化しており、製薬会社にとっては新薬の開発期間の短縮や、データ収集に関するコスト削減が実現するとしている。


●日本では年内でのサービス開始を目指す


 合弁契約は7月にもクロージング予定。SB TEMPUSは8月1日に始動する見込みという。出資比率は50:50で、それぞれ150億円を出資(資本金は300億円)するとしている。ソフトバンクグループの孫正義氏(代表取締役会長 兼 社長執行役員)は、3つのサービスのいずれかを日本でも2024年内に開始したいと述べる。


 まずは、がん治療に関して国内トップの13病院と連携。順次、提携病院数を増やしていき、数年以内に日本のがん患者の50%のデータを集約・AI解析したいとする。また、SB TEMPUSの設立当初から、Tempusが保有する米国770万人のがん患者データを日本でも利用可能という。


 日本では、外科治療や放射線治療、薬物療法などの科学的な根拠に基づいた「標準治療」から、がん治療を開始するケースが多い。遺伝子検査や分子/臨床/病理/医療画像データといった、医療現場で分断されているデータを収集・解析することで、副作用の軽減や薬剤の有効性を向上させるなど、患者ごとに適した治療方針の提案に繋げられるとしている。


 孫氏は今後のAI技術の急速な進歩に言及し、4年ごとに1000倍のペースで性能が向上すると予測。「メディカルサイエンスとデータサイエンスの融合によって、メディカルASIの世界を作るべきだ」(ASI=人間を超越した人工知能)と述べ、「まず癌において、そこから心臓病や高血圧などありとあらゆる分野に対して、人の命を救う、人の悲しみを少しでも減らすことが有益だと僕は思う」と語った。


 なお、標準治療のあとに遺伝子検査を行う今の流れと異なり、Tempusを利用する場合、データ解析やパーソナライズ治療のために遺伝子検査が必須になる。遺伝子検査の保険適用について孫氏は「どこまで保険適用すべきかは議論があっていいと思う」とも述べている。


このニュースに関するつぶやき

  • 内容は良いが反日禿が絡むと病が悪化しそうで怖いわ。。
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