「雨の日の頭痛に漢方薬が効く」と話題!一般薬との違い&飲み方のコツをプロが伝授

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2024年06月28日 09:20  女子SPA!

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いよいよ梅雨の季節。雨が続くだけでも憂鬱なのに、気圧の変化により体調を崩す人も多いのでは?

最近SNSでは気圧の変化から来る頭痛に「五苓散(ごれいさん)」が効くという話を目にします。そこで今回は薬局やドラッグストアで市販されている一般用漢方薬を広く扱うクラシエ薬品の砂橋久瑠実さん、山本政春さんに漢方の上手な活用法を聞きました。

◆雨の日の頭痛「気象病」に漢方薬が効くのはなぜ?

――梅雨の気圧の変化から来る頭痛に「五苓散」が良いとSNSで話題になっていますが、一般的な頭痛薬とはどのような違いがあるのでしょうか?

山本さん「一般の頭痛薬は、いわゆる痛み止めです。鎮痛成分が入っているため、飲めば感じている痛みは止めることができます。ただし、薬の効き目が切れるとまた痛みが出ることも。根本的な要因は変わってないんですね。

一方で『五苓散』は痛みが起こっている要因に働きかけます。体質にもよりますが、水分の影響を身体に受けやすい人は天候のちょっとした変化でも痛みを感じやすいんです。『五苓散』は余分な水分による痛みに効きます。具体的には冷たいものを取りすぎていたり、梅雨時なら余計な湿気が体内に入ってきてしまっていたりする場合に有効です」

――漢方薬は手軽に薬局で購入できるのも魅力ですが、飲んでみたけれどあまり効かない場合、飲み方が悪いのか自分に合っていなかったのか判断が難しいです。

山本さん「その要因に合った漢方を飲んでいなければ効果は表れません。体質によっても不調は変わってきます。クラシエ薬品では自分の体質をチェックできる『からだかがみ』というサイトもあるので、まずはチェックしてみると良いですよ」

◆自分の湿気耐性をチェックする方法

山本さん「さらに、1秒で自分が湿気に弱いか強いかをチェックする方法もあります。朝、鏡で舌を思いっきり出した状態を見てみてください。

舌の色が透けて見える程度の薄い苔なので問題ないのですが、かなりたくさん生えている方は湿気に弱いとされています。

これは舌ブラシなどでお手入れしているかどうかは関係なく、水分を抱えてしまうとすぐに発生するものです。余分な水分を身体に抱えやすい人は特に白くなりやすいので、必要以上に水分を取りすぎてないか、冷たいものを食べ過ぎてないかを思い出してみましょう。

砂橋さん「漢方薬はあくまで補助的な治し方なので、まずは日常生活を見直すことも重要です。そのうえで、飲むタイミングや飲み方も正しいかどうか確認してみましょう。

飲むタイミングは基本的には胃腸の中に食べ物がない食前が良いと言われています。漢方薬にはナツメや生姜といった食材の元となっているものも含まれていますので、胃の中に食べ物があると作用が変わってしまうことがあります。また、吸収が良いのは食前なのでベストだとされています」

――逆に漢方薬で効果が感じられるとずっと飲み続けてしまうのですが、問題ないのでしょうか?

山本さん「漢方薬は体調が良ければ飲み続けても良いですが、漢方薬の種類によって長く飲み続けると副作用が起きる場合もある為、1週間を目安として体調が良くなっているか確認した方が良いです。

漢方には副作用が無いイメージがありますけど、むくんでしまったり、逆にだるくなってしまったり、血圧があがってしまうといった副作用を持つものもあります。もちろん西洋薬ほど副作用は多くはありませんが、何か変わったことがあれば使用を中止して様子を見て頂きたいです」

◆漢方が苦いのには理由がある

――安心なイメージが強いですが、あくまで薬。漫然(まんぜん)と飲み続けてはいけないんですね。漢方薬といえば苦かったり酸っぱかったり味が苦手な方も多いと思いますが、顆粒(かりゅう)の漢方薬の飲み方のコツはありますか?

砂橋さん「漢方薬にもいろいろな味がありますので、あくまで一般論にはなりますが、先に口の中に水を含んでからその水の中に顆粒を落とすように入れてみてください。水によって漢方薬の顆粒が固まり、1つの個体になって喉の中に落ちていくので飲みやすくなると思います」

山本さん「苦い味が苦手という声もよく頂きますが、学術的な話をすると、漢方ではその味も薬効のひとつだという考え方があります。『五臓六腑』という言葉がありますが、漢方には苦い・酸っぱい・辛い・塩辛い・甘い、の5つの味があります。

この5つの味が内臓に働きかけているとされていて、甘い味は腸に、辛い味は肺に、苦い味は心臓に、酸っぱい味は肝臓に、塩辛い味は腎臓に働きかけると言われています。

たとえば、沖縄のニガウリ(ゴーヤ)の苦みには熱を冷ます役割がありますよね。わかりやすいのは葛根湯で、例えば辛いものを食べると汗が出ますよね。葛根湯にも少し辛味があり、身体を温める作用があります。このように味にも効能があるんですよね」

――味にも意味があったとは驚きました。でも錠剤の方がやっぱり飲みやすいです……

山本さん「どうしても苦手な方は錠剤で選んでいただいても問題ないのですが、『葛根湯』のように【湯】とついているものは液体がよく、顆粒も錠剤も効果は同じですが、顆粒の場合はお湯で溶かして飲むとより効果を実感しやすいです。」

◆漢方薬の選び方

――今年、紅麴を使用したサプリメントの問題により、「薬やサプリメントを飲むのが怖い」という声も聞かれました。どのように自分にとって安全なものを選べば良いのでしょうか。

山本さん「特に医薬品は国が定めた基準に則り、品質管理を徹底しています。特にクラシエでは国が求める基準よりもさらに厳しい自社基準を設けていますので、ご安心頂けると思います。

その上でサプリ・薬の選び方ですが、サプリメントはあくまで食品。健康維持や栄養補助的な立ち位置です。体調不良が起きた時に治療するために飲んでいただきたいのは、漢方薬や西洋薬です。

大きいのは成分的な違いで、西洋薬は化学的な成分を調べて製法しているのに対し、漢方薬は根っこや葉っぱといった自然の生薬を組み合わせて作っています。身体を温める作用のもの・気管支を拡張させる作用のものといった複数の生薬がチームプレイで総合的に体を治していくものです。

風邪でいえば、西洋薬には症状を緩和させる成分が配合されていますが、漢方薬では新陳代謝に働きかけて人間が本来持っている力で治すという方法なのでアプローチが異なります。さらにサプリメントは概念が異なり、薬ではなく栄養素を補うためのものです」

砂橋さん「選び方としては、一番辛い症状は何かで考えて頂くと良いと思います。即効性を求めるなら西洋薬の方が良い場合もあると思いますし、体質から改善したい場合は漢方が良いです。

副作用で考えて頂くのも良いと思います。たとえば花粉症なら鼻水を止めるために薬を飲む方が多いですが、副作用で眠くなってしまって困ることがありますよね。鼻水は止めたい、でも眠くなってもいられない、という場合には眠くなる成分の入っていない漢方薬を選んでみてはいかがでしょうか」

――ほかにも女性におすすめの漢方薬はありますか?

砂橋さん「私は、生理時のイライラに『抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ)』を飲んでいます。仕事が忙しくなってきてイライラする時にも飲んでいますね。女性はちょっとしたことでも体調が変わりやすいので、自分はどういう時にどんな不調が起こるかを把握しておくと良いと思います」

西洋薬よりも副作用がなく安全なイメージが強い漢方薬ですが、あくまで薬。自己流の使い方は危険ですが、医師や薬剤師とも相談しながら体質そのものを改善していく目的で使うと心強い味方となってくれそうです。まずは自分の身体の状態を確認しつつ、正しい使い方で毎日を快適にしていきましょう!

<文/松本果歩>

【松本果歩】
インタビュー記事から食レポ記事までジャンル問わず執筆するフリーランスライター。コンビニを愛しすぎるあまり、OLから某コンビニ本部員となり、店長を務めた経験あり。Twitter:@KA_HO_MA

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