夏休み前に知っておきたい旅のコツ。”虚弱バックパッカー”が教える

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2024年06月30日 08:50  女子SPA!

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女子SPA!

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旅の醍醐味は、今いる環境から飛び出し、全く違う環境のなかで過ごせること。

特に国境を越えれば、気候も食文化も、価値観も、何もかもが違う。新たな発見があるものです。

『おいしい台湾ひとり旅』は、著者であるまえだなをこさんが、実際にひとりで台湾を旅する様子をリアルに描いたコミックエッセイ。

今回は様々な国を旅したまえださんに、「旅の楽しさを伝えたい」と思った理由や旅の魅力について話を聞きました。

◆旅することのハードルを下げたい

――読んでいると台湾に行きたくてワクワクするような漫画でした。旅を共有したい、旅へのハードルを低くしたいという気持ちで描いているとのことですが、そう思うようになったきっかけはありますか?

まえだなをこさん(以下、まえだ):旅する人が世の中に増えたら楽しいんじゃないかなと思ったことがきっかけです。人と旅の話をするのは楽しいから、できるだけ多くの人と話せるようになりたいですし、実際に旅に行って楽しさを知ってもらいたいです。いろいろな理由で旅に行けない人には、せめて漫画を読むことで行った気分になってもらえたらと思います。

――まえださん自身は、旅へのハードルが低かったのでしょうか?

まえだ:ハードルが低いというより、あまり何も考えてないのかもしれません(笑)。私は一番最初のひとり旅で、いきなりモロッコに35日間行きましたが、そのときも緊急発券手数料がかかるほどギリギリでチケットを取りました。航空券の見方もわからず、飛行機で隣に座っていた人に航空券を見せて「この数字はなんですか?」と聞いたら、「それはフライト時間だよ」と言われたくらいです。なので、私のなかでは旅へのハードルはあまりありませんでした。いろいろ無謀だったし、トラブルも死ぬほどありましたけどね。

◆旅に行きたいと思える工夫

――行動力がすごい…! 読んでいる人が旅をしている気持ちになったり、旅に行きたいと思えるように、漫画のなかで意識していることはありますか?

まえだ:食べ物はおいしそうに、風景はその場にいるように描くようにしています。そうすることで、読む人が旅をしている気分をより味わえたらと思います。それから「お金がこのくらいあれば旅行できるんだ」と思ってもらいたいので、実際にかかった金額を書くことが多いです。

――なるほど!

まえだ:あとは、旅をしているとネガティブな出来事もあります。でも、そういうことはネタに昇華できない限り、描かないことにしています。まだ行ったことがない人の興味関心を削いだら、行くチャンスを奪ってしまうのではないかと。それと、訪問先の現地の人が読んでも、失礼がないように描きたいと思っています。

◆旅は、気持ちの赴くままに

――まえださんの旅は、気持ちの赴くままに行き先を決めている印象です。

まえだ:前もって決めすぎると、時が経った後で、もうそこに行く気分ではなかったり、突然の魅力的な誘いがあったときに乗れなかったりすることがあります。街が気に入って延泊したいのに、移動しなくてはいけないこともあるので、なるべくそのときどきの気持ちのままに行動できるようにしています。

ただ、その日に行きたいと思った宿が満室だったり、すでにスケジュールが入っている友人たちと予定が合わなかったり、困ることはありますけどね。航空券も大体の場合は、早く取るほど安いですから。

――確かに。当たり前ですが、良い面も悪い面もありますよね。それでも、気持ちの赴くままに行動することを大切にしているのはなぜなのでしょう。

まえだ:今は宿の良し悪しも、あらかじめネットで分かります。たとえば、booking.comなどのアプリで検索し、10段階評価のうち「とても良い:8以上」に絞って予約すると、ほぼ確実に快適な宿を確保できます。写真も掲載されていて、どのような宿かわかります。そこにいいものがあるとわかれば、行かずにいられないですよね。

でも、前情報なしで行った宿の思わぬ当たり感や、がっかり感でさえも、旅における予想外の出会いの一部で、醍醐味だとも思います。「お得&快適さ」VS「自由&偶然の出会い」は相反するようにも思えますが、今は私なりの折衷案に落ち着きました。まず、滞在予定の街で一泊目だけ予約を取っておき、気に入ったら延長します。

その後は列車やバスでの移動中に、これから行く街の宿を予約しています。これはひとり旅だからこそできることで、もっと言えば、旅行に行くこと自体を「やっぱり気が乗らないからやーめた」と覆すことも自由なのです。

◆旅のマイルール

――ひとり旅って、それが良いですよね。ちなみに、ひとり旅をする時に決めているマイルールはありますか?

まえだ:大事にしていることは、私が虚弱バックパッカーだからということもありますが(笑)、自分の体の調子に敏感になることです。昔はつい楽しみすぎて、体がついていかず、旅先で病院に行ったり入院したりすることもありました。

キルギスでは、自分に打ってもらう点滴を売店に買いに行き、中国では病室の外からお粥売りが来ました。いろいろな国の病院事情を知ることができましたが、体はつらいし、迷惑も掛けたし、もうこりごり。今は自分の体力がどのぐらいかわかっていますし、年齢も重ねてきました。基本的に旅先では街の中心に宿を取って、日中はちょくちょく宿に帰り、“疲れる前に休む”ようにしています。

――なるほど、自由に行動することを大切にしているからこそ、自分の体力の部分は冷静に判断されているんですね。しないようにしていることも教えてください。

まえだ:当たり前かもしれませんが、危険な場所へは近づかないことです。実際に取っている行動としては、外務省が発信している危険情報を前もって調べて行く。それでカバーできない情報は、ガイドブックやSNSでパターンを知っておく。その国への深夜早朝の発着は避ける。どうしても遅い時間に到着する場合は、空港内で野宿するか、ホテルに送迎を頼む、などでしょうか。「今まで旅行してきて、日本に無事に帰って来れたのは奇跡だ」と思うくらい、慎重になることが大事だと思っています。

――危険なこともありますもんね。

まえだ:あと、他の国にお邪魔している身なので、失礼なふるまいをしないこと。その国のタブーも調べるようにしています。漫画にいいことだけ書いて、危険に関することはスルーするというのも無責任かもしれないと思い、注意喚起も含め、『みんなの旅の怖い話』という漫画を以前にkindleで出しました。

例えば、人のお家にお邪魔したときに、「この食べ物おいしくない!」と言うのは失礼じゃないですか。偉そうな態度をとったら、次に来る日本人が困るかもしれません。だからこそ、現地の人に失礼なことはしないようにしています。

<取材・文/瑞姫>

【瑞姫】
1994年生まれ。奈良県出身。エンタメメディアでの芸能ライターとしての経験を経て、フリーランスのライターに。主にエンタメ・トレンド系の取材・インタビューを中心に、恋愛コラムの執筆を行っている。フォロワー数4.5万人のTwitterでは恋愛・美容系について発信する、インフルエンサーとしても活動中。漫画と散歩と猫が好き。
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