思い出の楽器を盗まれたバイオリニスト、2年後にフリマで購入した人から連絡があり“再会”果たす(南ア)

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2024年10月12日 17:01  Techinsight Japan

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2年前に盗まれたバイオリンと“再会”したバイオリニスト(中央)と、フリーマーケットでそのバイオリンを購入していた夫妻(『The Strad 「Found: 1896 Léon Fischesser violin stolen in Cape Town in 2022」(Photo: Cape Town Philharmonic Orchestra)』より)
南アフリカのあるバイオリニストは2022年、母親から贈られた大切なバイオリンが盗まれ、二度と手に入れることはできないだろうと考えていた。しかし、フリーマーケットで何も知らずにそのバイオリンを購入した夫婦がいたおかげで、バイオリニストは思い出の楽器と“再会”した。南アフリカのニュースメディア『News24』などが報じた。

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「ケープタウン・フィルハーモニー管弦楽団」のファースト・バイオリン奏者であるペトルス・デ・ビア氏(Petrus de Beer)は、かけがいのない貴重なバイオリンを大切にしていた。1896年にフランス人バイオリン製作者レオン・フィッシェッサー氏(Léon Fischesser)が手がけたものだった。ペトルス氏のバイオリンの正確な価値は不明だが、レオン氏が製作したバイオリンの最高価格は、2011年3月に売却された1906年製のバイオリンで10,800ポンド(現在のレートで約210万円)だったという。

そのバイオリンは2011年に母から贈られ、その後すぐに母が亡くなり、バイオリンはペトルス氏にとって一層特別な存在となった。しかし2022年7月22日、ペトルス氏がケープタウン市内の駐車場に車を停めていた際に、車のトランクからそのバイオリンが盗まれてしまった。

ペトルス氏は、レコーディング・セッションの後に駐車場に戻ったが、車のトランクが少し開いていることに気づき、中を確認するとバイオリンケースは空で、楽譜がケースから滑り落ちていた。ペトルス氏は駐車場の警備員に確認し、警察にも通報した。さらに、SNSで「このバイオリンに関する情報を持っている方はご連絡ください」と呼びかけ、報奨金を用意していることも明記した。しかし、バイオリンの行方は依然として不明なまま、時間が過ぎていった。


一方、ケープタウン市内に住むベアトリス・ファン・スターデンさん(Beatrice van Staden)とウォーリー・ファン・スターデンさん(Wally van Staden)夫妻は最近、引っ越しのため荷造りをしていたところ、昔購入したバイオリンを見つけた。2人はフリーマーケットやガレッジセール巡りが好きで、1年半ほど前にフリーマーケットで見つけ、1,500ランド(約1万2900円)で購入したバイオリンのことをすっかり忘れていた。そこでベアトリスさんは、このバイオリンをネットで売りに出そうと考え、その価値を調べていたところ、ペトルス氏のバイオリンが盗難に遭ったことを初めて知った。

夫妻は、SNSを通じてペトルス氏に連絡を取ろうと試みたがうまくいかず、最終的には彼の友人を介して、ついに連絡を取ることができた。こうして9月8日、ペトルス氏は大切なバイオリンと“再会”を果たした。ベアトリスさんは「あのバイオリンが彼の一部であることが分かりました。彼にとって非常に大切なものだったんですね」と話している。

なお、ペトルス氏がバイオリンを再び手にした9月8日は、彼の母親の13年目の命日であり、ペトルス氏は「非常に感慨深い瞬間となりました。バイオリンを再び手にした瞬間、非常に感動しました」と語っている。

画像は『The Strad 「Found: 1896 Léon Fischesser violin stolen in Cape Town in 2022」(Photo: Cape Town Philharmonic Orchestra)』『Fine Music Radio Inc. Facebook「REWARD FOR STOLEN VIOLIN」』より
(TechinsightJapan編集部 FLYNN)

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