アメリカ大統領選挙まであと5日。トランプ氏から飛び出した「移民がペットを食べている」という問題発言の舞台とされた町では、その波紋が広がり続けています。分断が進む移民の町を取材しました。
記者
「ちょうどこの辺りですね、ずいぶん大きな工場があります」
アメリカ中西部・オハイオ州。スプリングフィールドの郊外には巨大な工場が立ち並びます。働く人の多くは海外からの出稼ぎ移民。いま、ある発言で彼らの生活が揺れています。
共和党 トランプ前大統領
「スプリングフィールドでは移民がイヌやネコを食べている。彼ら(移民)は住民のペットを食べている」
大統領選挙の討論会でトランプ氏が「移民がイヌやネコを食べている」と主張したのです。
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スプリングフィールドは人口およそ6万人の小さな町。「4人に1人」がハイチからの移民です。町のハイチ料理店を訪れると…
ハイチ料理店のオーナー
「イヌ料理はあるか?ネコ料理はあるか?という嫌がらせの電話がかかってくるんだ」
ハイチにイヌやネコを食べる文化はなく、ペットが被害にあったという報告もありません。それでも店には嫌がらせの電話が殺到し、売り上げは激減。学校や公共施設にも爆破予告が相次ぎました。
当のトランプ氏はSNSにネコなどと写った合成写真を投稿するなど、「ペットを守る大統領」というアピールを続けています。反トランプ陣営から批判を受けていますが、移民政策に関する世論調査ではトランプ氏がハリス氏を圧倒。
スプリングフィールドでも移民の流入による家賃の高騰や、ハイチ人による交通事故が相次いだことで、元々の住民との摩擦が起きていました。
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専門家は移民に対する不満が高まる中で、トランプ氏の発言が真実かどうかは、もはや重視されなくなっていると指摘します。
ミシガン大学 クリフ・ランピー教授
「これは移民が起こしうる問題をわかりやすく示す例でした。真実かどうかは必ずしも重要ではありません。特定の人々に対する否定的なイメージを裏付けるような話はネット上で大きな話題になりやすいのです」
もうすぐ決まる新しい大統領は、アメリカの分断とどう向き合うのでしょうか。