国際通貨基金(IMF)のスリニバーサン・アジア太平洋局長は1日、東京都内で時事通信のインタビューに応じ、「日本は財政健全化に着手することが重要だ」との認識を示した。同氏は「日本の公的債務水準は非常に高い」と指摘。日銀が利上げなど金融政策の正常化を進めていることを踏まえ、「信頼できる中期的な財政枠組みを持つことが重要だ」と語った。
スリニバーサン氏は、政府が検討している大規模な経済対策について、どのような内容になるかを「注視している」と述べた。先の衆院選で与党が大敗したことで財政が拡張的になるとの見方が出ていることについては「選挙に関するコメントはしない」と述べる一方、短期的なリスクと長期的課題の両面に対処するためにも「財政余力を確保しておくことが重要だ」と説明した。
日銀の政策決定については「データに基づいて行い、利上げは緩やかであるべきだ」と主張。その上で、日銀は物価上昇率が持続的に目標の2%に収束するよう注力すべきだとの考えを示した。
世界経済に関しては、地政学的分断や中国経済の減速などを背景に下振れリスクが高まっていると強調。アジアのような輸出の多い地域は分断がもたらす貿易制限が経済成長の足かせとなる可能性があると警鐘を鳴らした。
外国為替市場での最近の円安・ドル高に関しては「日米ともに経済の先行きに大きな不確実性があり、不安定になっている」との見方を示した。