同展は、雨宮の活動初期の2000年代初頭の作品群から最新作までを一堂に展示。「溶けたりんごの彫刻」や「石巻 13分」の記録映像、「1300年持ち歩かれた、なんでもない石」といった代表作に加え、ワタリウム美術館を舞台に制作されたVR作品を用意する。なお、同氏が東京の美術館で個展を開催するのは、今回が初となる。
VR作品は、雨宮が2024年春に山梨県立美術館で発表した作品をはじめ、同年行われた芸術祭での取り組みなどを含めた1年の総決算として制作。雨宮が「なぜ溶けた林檎を作っているのか」を説明するシーンや、窓ガラスに図説やイメージを絵の具で描く様子など、同展を前にワタリウム美術館の中で撮影した最新映像となる。放映時間は約23分を予定している。
雨宮庸介は1975年、茨城生まれ。オランダ・アムステルダムのSandberg Institute Fine Art Courseの修士課程を主席で修了後、ドローイングや彫刻、パフォーマンスなどさまざまなドローイングや彫刻、パフォーマンスなどを通して作品を制作している。また、「六本木クロッシング2010展:芸術は可能か?」(森美術館)や「土とともに美術にみる〈農〉の世界―ミレー、ゴッホ、浅井忠から現代のアーティストまで―」(茨城県立近代美術館、2023)などの展覧会や、「Reborn-Art Festival 2021-22」「国東半島芸術祭」などの芸術祭に参加した経歴を持つ。2014年には、新たなプロジェクト「1300年持ち歩かれた、なんでもない石」をスタート。林檎や石、人間などのありふれたモチーフを、超絶技巧や独自の話法などを通して異なる位相に見せるような作品を手掛けている。