39歳で総資産1億円超えという節約系ユーチューバー、「節約マスクかおる」さん。資産が4500万円に達した36歳でセミリタイア。現在はYouTube運営などで事業収入を得つつも億りびとらしからぬ、質素な生活を送っている。
工場勤務を辞めるにはお金を貯めるしかない
「学生時代からムダ遣いはしないタイプ。大学時代にはバイトで300万円を貯め、70万円の中古車を一括で購入しました。20歳からは株式投資もスタート。でも、就職活動で失敗しちゃって、そこからが人生の暗転の始まりで」(かおるさん、以下同)
ネットショップで5年間アルバイトをしたあとは、正規採用を目指して公務員試験を受けるも夢叶わず。工場勤務社員として採用されたが、そこはモラハラ・パワハラは当たり前の“ブラック”すぎる環境だった。
「退屈な作業を延々と繰り返す仕事で、人間関係も窮屈。苦痛で仕方がありませんでした。高い学歴も資格もない僕のような凡人が、底辺の人生から抜け出して自分らしく生活するには、お金を貯めるしかない!と悟り、自力で資産運用を学び始めました」
工場での年収は残業代を含めて約400万円。貯蓄スピードを上げるため、さまざまな副業にトライしたという。
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「最初に始めたのがネットショップの経験を生かした、インターネットでの物販。これがそこそこうまくいき、資産を増やす弾みに。その傍ら、YouTubeチャンネルを開設し、節約ノウハウを公開するようになると、登録者数も伸び、徐々に収益が上がるようになりました」
増やした収入を減らさないため、生活費は極限まで切り詰めてストイックな生活を送った。例えば、服や下着は不潔感が出ないギリギリまで使い倒し、交際費はほぼゼロに。
「残ったお金は投資へ。リスクの高いFXにも手を伸ばし、含み損を抱えて憂鬱になったこともありますが、その後は米国株のインデックス投資中心へとシフトしました。
少しの資産で分散投資ができ、個別株に比べてリスクも低いため、初心者にもおすすめ。僕の場合、手元の資金を確実に増やせてきたことが、1億円という財産をつくる大きなポイントでしたね」
お金を使うことがストレスになる脳に
「ストレス発散で浪費に走る人のほうが多いと思いますが、僕の場合はその逆。7年働いた工場勤務時代は早く貯蓄額を増やしたくて、『お金を使うと退職時期が先延ばしになる』という焦りがありました。だから、今でも僕にとってお金を使うことはストレスそのもので(笑)」
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不要な支出をカットして、“貯め体質”になるために最も大事なマインドは、「見栄を張らないこと」。
「時計や車などいいものを持ちたがる人は多いですが、僕は無縁。他人は他人、自分は自分。僕は浪費するより、資産を十分に持っているほうが幸せを感じるし、気持ちにも余裕ができる。だから住まいも工場勤務時代からの賃貸、同じ軽自動車のままですよ」
今でも『もっと安い方法はないか』『お得にならないか』と何でもネット検索し、情報をアップデートする。
「日常的に欲しいものが出てきたら、いちばん安い方法を必ず考えるように。スーパーで食材を買うときの数十円など、細かい金額もおろそかにしません」
コストカットと真剣に向き合い、そうして生み出した余剰資金を投資に回し、さらに資産を拡大──。
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「節約は貯蓄を増やすための基本ですが、低収入の人こそ、これからは投資の勇気を持ったほうがいい。貯金するような感覚で資産運用ができる投資もあるので勉強がてらチャレンジするのも手です。まずは自分が投資しても怖くない金額、例えば千円ぐらいから始めてみてはいかがでしょうか」
かおる流「“貯まる”3か条」
1.見栄を張らずに生活する
2.お得情報の収集はマスト
3.細かい節約をバカにしない
かおるさんの得する節約テク
肉はほぼ鶏肉のみで単価が安い食材を探す
自炊に使う食材は、グラム単価が安いものを購入。
「肉類はむね肉、ささみなど、ほぼ鶏肉オンリー。豚肉や牛肉と比べて安上がりで、満足感もあります。もやしや豆腐など、定番の節約食材も使い、食費は月2〜3万円に」(かおるさん、以下同)
外食するときは株主優待券を活用
株取引で手に入れた株主優待券を使い、外食はタダで楽しむ。
「ファミレスで定食を食べたり、回転寿司や焼き肉店に行ったりできるので飽きません。株主優待券は、株を持っていなくても、フリマサイトの『ラクマ』や、金券ショップなどで入手は可能です」
サービス申込時はポイントサイトを経由
旅行の予約や証券会社の口座開設、クレジットカードの新規申し込みなど、サービス・モノを購入する際は、「ハピタス」などのポイントサイトを経由。
「大手ポイントサイトを網羅的に検索できる『どこ得』を使えば、そのときに最も還元率の高いサイトを一発で探せますよ」
家賃など固定費は最小限に抑える
金額が大きい家賃や、毎月かかる医療保険、スマホ代、動画サイトのサブスクなど、固定費のムダは徹底カット。
「収入が増えても今の家賃は5万円台。1万円違えば年間で+12万円の出費に。ストレスのない範囲で固定費を抑えることが大きな節約につながります」
服と小物はモノトーンで統一し、ミニマムに
身に着けるものにはできるだけお金をかけず、極限まで使う。
色柄物は合わせる服が見つからず、服を買い足すことになるため、「合わせやすい白や黒、グレーのモノトーンの服や靴が基本。手持ちの服でグルグル着回しができます」
キャッシュレス決済を駆使して還元率アップ
お金は漫然と使わず、クレジットカードや電子マネーを経由して、ポイント還元率を最大にする裏ワザを活用。
「日曜日にVポイントカード PrimeでWAONにチャージ→ミニストップで楽天ギフトカードを購入→購入分の楽天キャッシュを受け取る→楽天Payで支払う。このルートで計4%のポイントを獲得できます」
娯楽をつくらず、空き時間はビジネスに
お金がかかる趣味は持たず、空いた時間は動画制作や情報収集する時間にあてる。
「資産を増やすための活動が趣味のようなもの。でも最近は、野球中継を見たり、旅行したりして時間やお金を使う楽しさも味わっています」
教えてくれたのは……節約マスクかおるさん●年収約400万円の工場で働きながら資産を増やす。退職後に4500万円を達成しセミリタイア。現在は、金融資産を増やすテクニックや体験談をYouTubeチャンネル「節約マスクのお金の話」で発信している。
取材・文/釼持陽子