“学校行きづらい”きっかけは「先生」不登校 約3人に1人が回答【news23】

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2024年11月28日 14:52  TBS NEWS DIG

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TBS NEWS DIG

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小中学校で不登校の子どもがまた過去最多を更新しました。「学校へ行きづらくなった理由」を聞いてみると、およそ3人に1人が「先生」の存在をあげています。小学生の時、担任に恐怖を感じた少年。その身に起きた異変とは。

【写真を見る】不登校の約3割「先生」がきっかけ なぜ?

“先生への恐怖”で学校に行けず円形脱毛も…

中部地方で暮らす中学2年生の小山隆(仮名)くん。

隆くんが「学校へ行きづらい」と感じたのは小学3年生の時。授業中、担任の先生による“突然の行動”がきっかけでした。

小山隆くん(中学2年生・仮名)
「ある子が(先生に)怒られてて、その子のことを蹴ったんですよね。すごく心にきちゃって。親に何も言えなかったし、心の中で収めようと思ってて、そんな時から結構、先生に対する恐怖はめっちゃ持ってました」

先生から怒られないよう常に気を遣うことにした隆くん。小学5年生のある日、そんな隆くんの異変に母親が気づきました。

小山隆くん(仮名)の母親
「朝、起こしに行ったときに布団の上にすごい量の髪が落ちているのを見て、頭を見たら、大きな円形脱毛ができていて、何か所にも」

隆くんは、この頃の担任の授業でも恐怖心を抱いていたのです。

小山隆くん(中学2年生・仮名)
「(先生の)切り替えがすごいんですよ。怒りっぱなしならわかるのですが、怒って素に戻るんですよ。わかんなくて、怖いっていう印象で、そこから本当に学校に行きたくなくなっちゃって」 

感情が振り回され、ずっと疲れているようになり、やがて学校に行けなくなりました。

――運動不足にならないように何か運動している?

小山隆くん(中学2年生・仮名)
「最近はやってないですね。『やらないと』とは思うのですが。やっぱり外にあまり出たくない」

「みんな『学校に行け』って言う」毎日、母親と押し問答も…

文部科学省の「問題行動・不登校調査(2023年度)」によると、不登校の小中学生のうち、学校が「先生との問題があった」と把握しているケースはわずか3%。一方、文科省の別の調査では、不登校になった本人のうち約30%が「“先生のこと”で学校に行きづらくなった」と答えています。

不登校になった隆くんに、母親は登校を迫りました。

小山隆くん(仮名)の母親
「毎日が本当にケンカじゃないですけど『行け!』『行かない!』みたいな押し問答で」

小山隆くん(中学2年生・仮名)
「親に『死ね』ってメールで送って、だいぶケンカになりましたね。自分の気持ちに気づいてもらえないし、やっぱりみんな『学校に行け』って言う。でも自分はいけないし、助けてもらえないから、“みんないなくなっちゃえ”的な感じで(メールを)送ってました。何回か本当に『どっかから落ちて死のうかな』とか考えて」

中学に入っても教員への恐怖心が抜けず、登校できませんでした。

「行けないと思ったら行かなくていい」 親子が救われた精神科医の言葉

そんな2人が頼ったのは、母親の友人から紹介された児童精神科医でした。

小山隆くん(仮名)の母親
「先生に一番に言われたのは『学校は無理して行くところではない。行けないと思ったら行かなくていい』。学校の先生に相談すれば、何をすれば行けるかの方法を考えるんですけど、(精神科の)先生は『行きたいって思えば行けばいい。行けないって思ったら行かなくていい』と」

その言葉に救われたという小山さん親子。「家では好きなことを」と言われ、隆くんが探したのは、オンラインのフリースクール「SOZOW」でした。小学4年生から中学3年生までの600人が参加しています。

子どもたちが自ら学ぶテーマを選ぶなど、自主性を重んじた探求活動に力を入れています。

この日のテーマは「平安時代」。生徒の一人がクイズを用意し、スタッフの司会のもと子どもたちはチャットで回答を寄せていきます。

週に1回ほど、メンターと1対1の時間も設けられ、学校の先生とは異なる雰囲気に隆くんも心を開いていきます。

小山隆くん(中学2年生・仮名)
「結構本音で話せるので相談したり、わかんないことあったら聞いてみたりとか、自分にとって結構安心できる時間ではあると思います」

不登校を減らすには、先生による集団一斉指導など学校のあり方を変える必要があると言います。

小山隆くん(中学2年生・仮名)
「(学校は)平等って考えて、一緒に同じものを勉強させる。それが多分駄目なんだろうなと思って。1人1人に合わせたスピードで進めてあげるのが一番大事じゃないかなって。自由だったら、多分(学校に)行けると思います」

不登校のきっかけ「先生」がトップの約3割

藤森祥平キャスター:
文部科学省の調査によると、不登校の小学生についてこのような結果が出ています。

【学校に行きづらいと感じ始めたきっかけ】不登校児童生徒の実態調査(2020年度)
1位:先生のこと 29.7%
2位:身体の不調 26.5%
3位:生活リズムの乱れ 25.7%

「いじめ」は、5位くらいにランクインしていました。

また、NPOがおこなった不登校の子どもの保護者向けアンケートでは、このような結果が出ています。

【保護者が考える不登校のきっかけ】多様な学びプロジェクト 不登校当事者実態ニーズ全国調査より

1位:先生との関係 43.5%
2位:学校のシステムの問題 32.6%
3位:勉強は分かるけど授業が合わない 27.0%

このアンケートに答えた保護者からの声には、このようなものがありました。

40代小6児童の母(小1から不登校)
「先生がいつもピリピリしていて怒鳴る場面もあり、息子は怯えたり先生の理不尽な言動に怒ったりしていました」

小5児童の母(小4から不登校)
「先生が忙しすぎてその大変さが子どもにも伝わる」

小川彩佳キャスター:
小学生にとって、担任の先生は物理的にも一緒にいる時間が長いですし、非常に大事な存在ですよね。

てぃ先生:
今みたいなアンケート調査を見ると、「先生たち何やってるの」と感じる方もいると思います。ただ現実的には、教職員の方々全員、身を粉にしながら一生懸命やっているので、「先生が悪い」という論だけで片付けるのはよくないのではないか、ということが大前提にあります。

その上で、昔は祖父母や近所の人など、親や先生以外の頼れる大人・相談先が常に複数人いました。それが、核家族化など様々な要因により、今の子どもたちにとって頼れる先や相談先は、先生か自分の親しかないということになる。家庭の中で何か起こったときに、相談先は先生しかいない、しかし、先生ともそりが合わないと非常に苦しくなってしまいます。

トラウデン直美さん:
私も小学生のときに当時の担任の先生に苦手意識があり、不登校ではないですが「行きたくない」と思う日々が続いたことがありました。しかし、今思い返してみれば、結構新人の先生だったので、先生自身もきっと慣れるのに必死だったし、何とか子どもたちとうまくやっていくために一生懸命だったんだろうと思います。

しかし、当時の私からすると、「なんでそんなに怒らなくても良さそうな場面で怒ってるんだろう」というようなところから少しずつズレが生じて、特に自分自身に被害がなくても行きたくなくなってしまった。そういうモヤっとしたものでも「行きたくない」という気持ちになることはあると思います。

担任の先生と1対1というよりは、学校に行っても相談できる大人が何人かいる、「この先生になら話せるかな」という環境ができる限りあったらいいなとは思います。

子どもと先生の関係 親ができることとは

小川キャスター:
広い視座で振り返ると、いろんなものが見え、いろんな見方ができます。しかし、子どもはなかなか広い目線で見ることができない。そういった中で、先生との関係に不安を覚えるようなことがあったときに、どういう解決法があるのでしょうか。

てぃ先生:
これはいろんなケースがあるので、「絶対これ」とは言い切れないという前提があります。親は子どもたちに親心として、「こうしてみたら」とアドバイスをします。しかし、親自身も自分の子どもが実際に学校でどう過ごしてるのかを見ているわけではない。

例えば「あなたの方から先生に元気よく挨拶してみたら」みたいな、親からすると「これならできるんじゃないか」というアドバイスも、その子は「いやできないよ」と思っているかもしれない。でも親が言うからやってみようと思い、次の日学校に行ってみたけど挨拶することができなかった。そうなると、「学校でちゃんとできない自分」が積み重なり、親の優しさが逆にプレッシャーになって、余計行きたくなくなることがあります。

基本的にこういう問題は、子どもに「頑張ろう」と言うのではなく、親が学校側や担任の先生と話す機会を作った方がベターだと思います。その話し合う機会も、「学校は何やってるんですか」ということではなくて、「最近うちの子どうですか」というヒアリングから入っていくことが大事だと思いますね。

藤森キャスター:
いま教員の数も少ないと言われていて、負担を軽くしなければいけないという議論が真っ最中ですが、このあたりの時代背景もあるのでしょうか。

てぃ先生:
時代背景で言うと、昔は「先生」という職業に対してリスペクトがあったと思います。しかし最近いろんな報道を見ている中で、親も先生に対して不信感があり、いまは「親が先生たちを評価するような時代」に片足突っ込んでいるのだと思います。

小学校の先生たちとも話していてよく話題に上がるんですが、家庭の中で親が「今年の先生は外れだよね」みたいな話をするケースがあるみたいです。子ども自身は「なんか(先生と)そりが合わないな」くらいに思っていたものが、親のその一言によって「あの先生は駄目な先生」というふうになって、余計に行きたくなくなることがあります。

トラウデン直美さん:
一度不登校になってしまうと、復帰するのが結構大変だったりする。でも(子どもの)心のことを考えると、「行かなくてもいい」とも言ってあげたい。そこのせめぎ合いは難しいなと思います。

小川キャスター:
学校に行くことが正解とも限らないということがありますよね。

てぃ先生:
それは本当に家庭ごとに判断が異なってくるかなと思います。

小川キャスター:
個々のケースに真摯に寄り添い解きほぐしていく、ということになりますね。

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<プロフィール>

てぃ先生
保育士16年目の37歳
育児アドバイザー
SNSの総フォロワー数200万人超

トラウデン直美さん
環境問題やSDGsについて積極的に発信
趣味は乗馬・園芸・旅行

このニュースに関するつぶやき

  • 昔は祖父母や近所の人など、親や先生以外の頼れる大人・相談先が常に複数人いました>私もそうだった。 学校も教師も大嫌いだったが、祖父母・曾祖父母達が何かと色々私の悩みや相談に乗ってくれて凄く助けられた。
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