限定公開( 3 )
9月の豪雨災害で大きな被害を受けた石川県輪島市町野町地区で唯一のスーパーマーケット「もとやスーパー」が30日、本格的な営業を再開した。震災直後から始めた炊き出しのほか、救援物資の配布やイベント開催を続け、地域コミュニティーの拠点として活躍する。1日には大学生らによる支援イベントも行われ、連日、多くの住民が訪れた。
元日の能登半島地震では地区の多くの住宅が倒壊するなど被災し、店も壁がはがれ落ちるなどの被害を受けた。食料や懐中電灯などを求める住民を少しでも支えようと、本谷一知社長(46)や家族らが店に泊まり込みながら、一日も休まず営業を続けてきた。
しかし9月の豪雨で近くを流れる川が氾濫。ガラスを突き破って流木や濁流が店内に流れ込み、水は高さ2メートル近くにも達した。冷蔵庫や商品棚などの備品も流されたり、水につかったりして使えなくなった。しばらくは休業を余儀なくされたが、取引業者やボランティアらの支援も受けながら仮営業を始め、少しずつ商品も増やしていった。
本格的な営業再開となった30日は、開店前から大勢の住民らが列を作った。「復活オープン」と題したセレモニーでは、地震や豪雨の犠牲者を悼んで全員で黙とう。くす玉を割って再開を祝った。
店内には冷蔵ケースも入り、地元の新鮮な刺し身や精肉、弁当などが並び、住民らがカゴいっぱいに商品を買い求めた。ブリとイカの刺し身を買った近くの戸田和子さん(75)は「これから毎日でも刺し身が買える。営業再開は本当にうれしい」と喜んだ。
|
|
また1日には、金沢星稜大(金沢市)の学生約40人が同店で支援イベントを開催。カレーうどんの炊き出しやヨーヨー釣りなどの縁日を開き、店内の壁に巨大な太陽の絵を描いたりして盛り上げた。家族で訪れた輪島市立町野小5年、阿知夏妃さんは「楽しいイベントをやってくれてうれしい」と笑顔を見せた。本谷社長は「再開は奇跡のようなもので、たくさんの人たちの協力のおかげ。町野町の復興に向けて、みんなが集まれて、活気がある場所ができてよかった」と話した。【阿部弘賢】
|
|
|
|
Copyright(C) 2024 THE MAINICHI NEWSPAPERS. 記事・写真の無断転載を禁じます。
掲載情報の著作権は提供元企業に帰属します。