宇宙開発ベンチャーのスペースワン(東京)は14日、人工衛星を搭載した小型ロケット「カイロス」2号機の打ち上げを中止した。自社の発射場「スペースポート紀伊」(和歌山県串本町)から同日午前に発射する予定だったが、強風で急きょ延期を決めた。15日午前、打ち上げに再挑戦し、民間では国内初となる衛星の軌道投入を目指す。
同社によると、上空の高度10キロ以上で強風が吹いており、打ち上げ条件を満たさなかった。機体や発射場の設備に問題はないという。阿部耕三執行役員は記者会見で、「ロケットは非常に細長く、強い横風が当たると機体が壊れる恐れがある」と説明した。
カイロス2号機は全長約18メートル、重さ約23トンで、3段式固体燃料と液体燃料エンジンなどで構成。小型衛星5基を搭載し、このうち宇宙企業テラスペース(京都府京田辺市)の衛星には世界平和を祈願する仏像も設置されている。
初号機は3月13日、発射直後に爆発。予測よりロケットの推力が足りず自律飛行安全システムが作動したためで、スペースワンはシステムの基準を見直すなどして準備を進めていた。
同社はキヤノン電子、IHIエアロスペース(群馬県富岡市)などの共同出資で2018年に設立。小型衛星をロケットで宇宙に運ぶサービスの展開を目指し、30年代には年間30機の打ち上げを目標にしている。
小型ロケット「カイロス」2号機の打ち上げ延期について記者会見するスペースワンの阿部耕三執行役員=14日午後、和歌山県串本町