今年も街がクリスマス色に染まってきました。
カップルたちにとっては、イルミネーションを見に行ったりプレゼント交換をしたりと幸せなイベントだと思われがちなクリスマス。ですが実際は、そんなことばかりではないのかも。
今回、恋人と過ごしたクリスマスで「血の気が引いた」エピソードを語ってくれたのは、吉田えみさん(30歳・仮名)。いったいどんな出来事があったのでしょうか。
◆まったく結婚願望のない私と、結婚したい彼
「私は正直、結婚がすべてではないとずっと思ってきたタイプなんです。仕事も充実しているし、遊ぶ友達も周りにたくさんいるので、結婚をしたい! なんて全く感じたことがありませんでした」
吉田さんはアクティブでポジティブな性格上、自分自身の独身生活に満足をしているタイプ。おまけに、その頃は働いている化粧品のマーケティングの仕事でも大きな案件を任されることも増えて、仕事も楽しくなってきていた時期だったそう。
「当時付き合っていた彼は、私よりも3つ年上で比較的保守的なタイプ。年齢が高めということもありますが、私とは真逆の安心や安定を重視するタイプなので、当時から結婚願望は高めでした」
◆今の自分の生活より、結婚がいいとは思えない
彼は会話に結婚や子どもの話を差し込んできたり、ジュエリーショップに指輪を見ようと誘ってきたりと、結婚の話題を垣間見せることもしばしば。
吉田さんはそのたびに、いたたまれない気持ちになっていたと話します。
「『もし今プロポーズされても確実にいい返事ができない』と自覚をしていました。今の自分の生活より優先できるものがないと思っていましたからね。なので、彼にはプロポーズを意識させないようにと必死でした」
◆「結婚はまだ早い」遠回しに彼へ伝えた
ストレートに結婚願望がない気持ちを伝えることで気まずくなってしまうと感じていた吉田さん。
最近の充実している仕事の話や、友達との「結婚はまだ早いよね」という会話について彼に伝えることで、遠回しに結婚する気がないことを伝えていたそうです。
「クリスマスの話をした時にも、『今年のプレゼントは、お互い準備しないようにしよう』と決めていました。それはシンプルにモノではなくコトで楽しみたい、という話でまとまったからという理由でもあるのですが」
その年で2度目になる彼とのクリスマスデートは、プレゼントの代わりに一緒にちょっといい温泉旅行に行くことに決まったようです。
◆彼の出した“小さな白い箱”に血の気が引いた
彼と過ごす温泉旅館でのクリスマスは最高だったと話す吉田さん。
ですが温泉に浸かり、美味しい夕食とケーキも堪能し、部屋に戻ったその時……
「なんと、彼が突然プレゼントがあると言い出したのです。話が違うことに戸惑う私の前に、白色のジュエリーブランドの小箱が出てきて。『これはもう、プロポーズだ』と、たぶん彼の目からも分かるほど血の気が引いていたと思います」
震える手で箱を開けてみると……。
◆「今はこっちかなと思って」指輪じゃないプレゼント
中に入っていたのは、吉田さん好みのネックレス。
「彼は『本当は違うものを考えていたんだけど、今はこっちかなと思って』とだけ言って、ネックレスをつけてくれたんです。思いもよらないネックレスのプレゼントも嬉しかったんですが、彼の私の気持ちを汲んだ気づかいにも感動してしまって」
吉田さんはその時、「彼の気持ちを考えると申し訳なかったな」という気持ちになり、改めて「本当に自分のことを考えてくれているんだな」ということを実感したと話します。
その両方が理由で、そのときは涙が止まらなかったそうです。
◆彼の気持ちに気づけたことがきっかけで結婚に
そのわずか4か月後、あれだけ結婚願望がなかったはずの吉田さんは結婚をします。吉田さんの誕生日のタイミングにプロポーズをされたのだとか。
「なぜだかわからないのですが、あのクリスマスの出来事がきっかけで急に結婚に現実味が増したんです。これだけ私の気持ちを考えて行動してくれる人は、他にいないんじゃないかなと思って。
私が『結婚してもいいかも』と思う気持ちが態度に出てしまっていたのもあるのかもしれません。彼は自信をもってプロポーズをしてくれました」
結婚をしてからも二人仲良く幸せに過ごしているようです。結婚につながるきっかけは、素敵なプロポーズと、もらう指輪だけではないのかもしれませんね。
<文/萩ゆう イラスト/朝倉千夏>
【萩ゆう】
住むところは中国地方や関西など、全国各地を転々と暮らすWebライター。温泉メディア、女性メディアなどで執筆中。特技はマラソンでフルマラソン3時間ギリの記録をもつ。