「行動」も「もの」も「見栄」も捨ててみる
「前は欲しいものはどんどん買っていました。例えば、着物です。今、着物は、2000円や3000円で買うことができますので、洋服より安いと思って、ネットで見て気に入ったものがあれば、とりあえず買ってしまっていたんです。2000〜3000円にこだわらない生活が積もり積もって、どんどんお金がなくなっていきました。今は、1000円あれば3日くらいは暮らせてしまいます。人の欲望は、見ることによって募っていくと思うんです。ネットだけではなくて、デパートでものを見るときなど、何でもそうですよね? 見れば欲しくなってしまうので、見ないようにしました。
自分で決めてシャットアウトすると、逆に気持ちがいいんですよ。少ないお金で暮らすしかないとなったときに、こういう余計なことを捨てていきました。
具体的に“もの”も捨てましたし、“見栄”というものも捨てました。
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支出を見直して、楽になった紫苑さん
――そんな紫苑さん、以前のひと月あたりの支出はどれくらいだったのでしょうか。「一番のコストとなっていたのは家賃の13万円です。娘が結婚しましたので、こんなに広くなくてもいいし、13万円の家賃はきつかったので、これまでの貯金で築40年の中古一戸建てを購入しました。
あと生命保険を2万円はらっていましたが、やめました。医療費については、健康管理を徹底して病気にならないように努めようと考えました」
見直したあとの支出はどう変わった?
「大きく変わったのは、美容ファッション費です。着物を買わなくなりましたので使わなくなりました。これで5万円以内に収まります」「こうしてみると、本当に気持ちが楽になりました。“使う”ためには“選ぶ”ことが必要になってしまうんです。欲望が半端にあると苦しいですよね。“使わない”じゃなくて“使えない”と考えたら、もうそれしか道はないと思えますから、逆に本当に楽になります」
実践するとしたら? 見直す前に具体的な「数字」をチェック!
――紫苑さんの経験は、リタイア後の暮らしの心配をする方にも安心材料になりますし、年齢を問わずダウンサイジングしたい人にとっても参考になる部分がたくさんありますね。自分でも家計の見直しをちょっと考えてみようと思ったときには、金額がイメージできるように、生活費の内訳を知ることも大切です。将来のこと・老後のことを考えるならば、今後もらえる年金の金額の調査をして、「リタイア後の生活環境をどうしたいか」もあわせて想像してみると、具体的な数字が見え、実感がわくのではないでしょうか。
(文:All About 編集部)
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