読売新聞グループ本社代表取締役主筆だった渡辺恒雄氏が19日未明、都内の病院で亡くなった。98歳だった。
同氏は1950年に読売新聞社の「政治部」に入り、多くの政治家の番記者として鳴らした。そこから成り上がり、論説の最高責任者「主筆」に就任。その権力をバックに役員会をも掌握。強力なコネがあるわけでも、読売新聞の一族でもない一介の記者が、実質、経営と論説の両方の実権を握ったのだ。
そこから渡辺氏は読売新聞社長、そして会長も歴任。しかも読売新聞グループの社長にも就いた。
《「一つの時代が終わった」と感じる》
「同氏はほかにも日本新聞協会会長や大相撲の横綱審議委員会委員長といった要職にも就いたこともある。ちなみに日本テレビやBS日テレも、読売新聞グループの一員です。いわば渡辺氏は、『メディア界のドン』でもあったのです」(スポーツ紙記者)
さらには政府の財政制度審議会委員にもなったことがあるように、政界への影響力も強大だった。訃報を受けて、石破茂首相が『党のあり方、民主主義のあり方、あるいは日本国のこれからの平和国家としての歩みについて、まだまだお教えをいただきたかった』と、畏怖の念をもって追悼しているほどである。
|
|
その姿に、エンターテイメント界で手腕を振るい、一代で帝国を築き上げたジャニー喜多川氏を重ねる者も多い。ネットでも、
《ナベツネの死はジャニーさんの死と同じくらい「一つの時代が終わった」と感じる》
《ジャニー氏が亡くなって芸能界が大きく変わったように、ナベツネ氏亡き後はスポーツ界が大きく変わると思う》
《ジャニーズもジャニー氏がいなくなって一気に..だっただけにナベツネと野球界でも同じようなことに、という可能性は十分あり得ると思ったりはする》
といった声が散見する。
「渡辺氏のほうが発言機会に恵まれ、その過激な言動から“ナベツネ”というあだ名親しまれた部分もあります。しかし、確かに2人とも一体どの業界まで幅を利かせていたのか、素顔や実像が分からない部分も似ています。それだけに、渡辺氏が亡くなり、どんな動きが出て来るのか興味深いですね」(前出・スポーツ紙記者)
また1996年から約8年間、読売巨人軍オーナーを務め、プロ野球界のフィクサーとしても知られた同氏。今後、巨人はどうなるのか?
|
|
「松井秀喜氏がメジャー入りを決めたとき、渡辺氏は彼を裏切り者呼ばわりをした過去がある。その因縁があるだけに、ファンが待ち望んできた松井氏の巨人監督就任も、これまで実現する気配がなかった。しかし今回、確執の相手がいなくなったことで、その支障もなくなったことは間違いありません」(前出・スポーツ紙記者)
今後に注目だ。