大和証券グループ本社の荻野明彦社長はインタビューに応じ、2025年度に前年度比5%以上の賃上げを目指す方針を明らかにした。物価上昇への対応に加え、「人材採用の競争力を高め、優秀な社員をつなぎ留める」と強調した。
賃上げは4年連続で、上昇幅は22年度から累計20%程度となる。荻野氏は社員に「新しいことに取り組み、生産性を上げてほしい」と期待を寄せた。新卒総合職の初任給は1万円上乗せし、30万円としたい考え。
就任翌月の今年5月、あおぞら銀行との資本業務提携を発表。あおぞら銀で販売する大和証券の投資一任型商品「ファンドラップ」について、「顧客基盤拡大に向け、来年度中に提供を始める」とした。
株式市場に関しては、トランプ次期米政権の動向など不透明な要素はあるものの「株価は実態を反映する」と指摘。堅調な企業業績を背景に来年は日経平均株価が最高値を更新、4万5000円程度まで上がると予想した。
証券業界では、東証元社員によるインサイダー疑惑や野村証券元社員による刑事事件など不祥事が相次ぐ。荻野氏は「われわれは信用が一番大事だ。社員に再度、注意を促していく」と戒めた。
インタビューに答える大和証券グループ本社の荻野明彦社長=20日、東京都千代田区