そこで今回は、「ムダな節約」と「効果的な節約」の違いを解説し、家計管理に役立つポイントをご紹介します。
ムダな節約:体や心の健康に悪い影響を与えるもの
節約に取り組む際に気をつけたいのが、体や心に悪影響を与える「ムダな節約」です。健康を損なったり、ストレスをためたりするような節約方法は、長い目で見ると逆効果になりがちです。例えば、次のような例があります。●食費を過剰に削る
安さだけを優先して栄養バランスを無視した食事を続けると、健康を害する恐れがあります。身体が不調になり医療費がかさむことにつながる場合もありますし、気力や元気がなくなってしまうと、日々の仕事にも悪影響を及ぼしてしまうでしょう。
●必要な暖房や冷房を我慢する
寒さや暑さを無理に耐えるのは危険です。体に大きな負担がかかるだけでなく、低体温症や熱中症のリスクを高める可能性があります。
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クーポンやセール品を追いかけて、何軒ものスーパーを回るような節約は、時間や労力がかかり過ぎてストレスの原因になります。その結果、生活の満足度が下がることも。
●急激に好きなものを我慢する
カフェ巡りが好きな人、コンビニスイーツ好き、美容グッズが好きなど人にはそれぞれ好きなモノ・コトがあります。節約のためとはいえ、全てやめてしまうとイライラのもとになってしまいます。
節約は、無理なく続けられることが一番大切です。無理を重ねてしまうと、リバウンドで余計な出費を招くこともあるため、健康と心の余裕を大切にした方法を選びましょう。
効果的な節約:自分軸を持ち、優先順位を定める
自分の価値観を軸に「何が大事か」をはっきりさせることから始まります。●優先順位をつける大切さ
節約を成功させる鍵は、自分や家族にとって「本当に大切なこと」に優先順位をつけることです。健康や家族との時間、趣味やスキルアップなど、人生の中で重視したいポイントは人それぞれ異なります。この優先順位を明確にすることで、無駄な支出を自然と削減できるようになります。
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一方、無駄になりがちなサブスクリプションサービスや、ほとんど利用しない会員サービスを見直すのも重要です。「この支出が自分や家族にとって本当に必要か?」を考え、必要なものだけを残しましょう。このように優先順位を明確にすれば、支出を効果的にコントロールしながら、生活の満足度を高めることができます。
何に使うかの優先順位を決めたら、以下の節約ポイントも含めて、効果的に家計を管理しましょう。
●固定費を見直す
家計の固定費(家賃、光熱費、通信費など)は、可処分所得(手元に残るお金)の約40%台前半に抑えるのが理想です。例えば、格安スマホに乗り換えたり、保険を見直したりするだけでも大きな節約になります。
●変動費を工夫する
食費や日用品などの変動費は可処分所得(手元に残るお金)の約30%台後半に収めるのが理想的とされています。値上げが続く食品のうち、菓子などの嗜好品は月に2000円までとルールを決めて節約モードを意識。食費は、あらかじめ3日分ほどの献立を決めて、買うものリストを作ってから買い物に行きましょう。そうすることで余計なものを買わなくなり、食材のロスが激減します。また、買い物の回数も何回も行くより、制限される方が食費を抑えることにつながります。
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まとめ
健康や心の豊かさを犠牲にするムダな節約をするのではなく、自分の価値観に合うことを中心に、家計全体を見直しする節約の方が効果的です。併せて、可処分所得(手元に残るお金)の10〜20%を目標に、給与が入ったら自動的に貯蓄口座に振り分ける「先取り貯蓄」を始めましょう。物価上昇が続く今こそ、自分に合った節約方法を見つけ、長く続けられる家計管理を実践してみてください。文:舟本 美子(ファイナンシャルプランナー)
3匹の保護猫と暮らすファイナンシャルプランナー。会計事務所、保険代理店や外資系の保険会社で営業職として勤務後、FPとして独立。人と比較しない自分に合ったお金との付き合い方、心豊かに暮らすための情報を発信しています。
(文:舟本 美子(ファイナンシャルプランナー))