「がんの発症リスクが3倍に」大学教授のがん専門医が警告、要注意な調理油と絶対避けたい脂

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2024年12月24日 18:10  週刊女性PRIME

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※写真はイメージです

「近年、がんと食べ物に関する研究が進んだことで、がんの発症リスクが上がる食材、つまり、“がんになりやすくなる食材”が徐々にわかってきました」というのは帝京大学福岡医療技術学部教授で、がん専門医の佐藤典宏先生だ。

 特に気をつけたいのは毎日のように口にするもの。今回は料理のときに多くの人が使う調理用の油や肉や魚の脂について佐藤先生に話を聞いた。

じつは要注意な“健康オイル”

 まずは調理油のなかでもっとも一般的なサラダ油。原料に大豆油が多く使われているものが主流で、大豆油にはリノール酸という脂肪酸が多く含まれているのだが、“がんリスク”はこの「脂肪酸」が鍵を握っているという。

「リノール酸はオメガ6脂肪酸というタイプの脂肪酸ですが、これは要注意。がん細胞を増殖させる作用があることが報告されています。約3万8000人の女性を対象にした国立がん研究センターの調査では、この脂肪酸の摂取量が多いほど、ホルモン依存性の乳がんリスクが高くなりやすく、摂取量が最も少ないグループに比べて多いグループは乳がんリスクが2.94倍高かったと報告されました」(佐藤先生、以下同)

 オメガ6脂肪酸がなぜがんの発症リスクを上げるのかについては、詳しいことはまだわかっていないが、冷凍食品やコンビニ食品、ファストフードなどは比較的安価なサラダ油が多く使われていることもあり、私たち現代人の食生活はオメガ6脂肪酸の摂取が多くなりがち。そのことが関係しているのではと考えられているという。

 乳がんは日本人女性が一番なりやすいがんだ。気をつけるに越したことはないが、スーパーの油の棚には「ヘルシー」と書かれた商品も数多くある。「ヘルシー」と書いてある油なら安心だろうか。

「商品名が『ヘルシー〇〇』となっていても、主な原材料が大豆油の場合もあります。ボトルの裏の原材料表記を確認するのをおすすめします」

 原材料表記は、その商品に多く使用したものから順番に書くルールになっているので、一番最初に書かれているのが大豆油なら、オメガ6脂肪酸が多いということ。健康のためにヘルシーな油を選んでおきながら、がんリスクが上がったのでは本末転倒だ。最近は油の値段が高いので、よけいに気をつけたい。

 また、サラダのドレッシングに使うと風味がいいため、健康志向の人に人気の高い油にグレープシードオイルがあるが、これはオメガ6脂肪酸であるリノール酸が特に多く含まれている。要注意だ。

 では、がんのことを考えた場合は、どんな油がいいのだろう。

和食なら「なたね油」か「べにばな油」

「体にいい油といえば、みなさんご存じのオリーブオイルがあります。オリーブオイルは古来からの健康食として知られる地中海食によく使われている油で、健康効果は多岐にわたります」

 オリーブオイルに豊富に含まれるオレイン酸はオメガ9脂肪酸で、悪玉コレステロールを抑え、大腸がんの成長を遅らせる効果がある。また、スペインの研究では乳がんのリスクが68%低下したり、イギリスからは膵臓がんのリスクが71%低かったという報告も。

「がんの発症リスクを考えるなら、オリーブオイルがおすすめです。実際、私もオリーブオイルを料理によく使っています。ただ、和食の場合は風味が合わないこともあるので、その場合は同じくオレイン酸を多く含むなたね油やべにばな油を使うのがいいと思います」

 スーパーでよく見る「キャノーラ油」はなたね油の一種。サラダ油の次に手頃な金額で売っていることが多いので、油にこだわりがないならキャノーラ油もいいだろう。

 なお、ごま油や米油は、がんリスクを上げるリノール酸と、下げるオレイン酸の両方が含まれている。一度がんを経験しているなど、がんの発症リスクを少しでも低くしたい人は、毎日使うのは避けたほうがいいかもしれない。

 また、健康オイルとして有名なアマニ油やえごま油はオメガ3脂肪酸というタイプ。がんの原因や進行の要因になる炎症を抑える働きがあり、がんリスクの低下に効果的だが、えごま油やアマニ油は風味に癖があるのと、加熱すると効果が抑えられてしまうのが難点。料理に手軽に使うなら、やはり、オリーブオイルかなたね油、キャノーラ油、べにばな油がいいだろう。

 ちなみにオメガ3脂肪酸は魚にも含まれていて、青魚を中心に、まぐろのトロやホッケ、ぶりなど、脂ののった魚に多い。一方、肉の脂はオメガ3脂肪酸ではなく飽和脂肪酸というタイプの脂なのだが、こちらは逆にがんのリスクを高めてしまう。

「フランスにおける約4万4000人を対象とした研究によると、飽和脂肪酸の摂取はすべてのがんのリスクを44%高め、乳がんに限るとなんと98%高めるという結果が出ています。もっとも注意したい脂肪酸なので、飽和脂肪酸が多いバターやラード、肉類でいうと豚バラ肉や牛カルビ、鶏肉の皮などは食べすぎ注意です。じゅわ〜という肉の脂はおいしいけど要注意、と考えてください」

 食事は365日、毎日の習慣。調理油選びや食材選びなど、少し意識するだけでがんのリスクは変わる。摂りすぎ注意な油や食材とは上手につきあっていきたい。

佐藤典宏先生●がん専門医。九州大学医学部卒、帝京大学福岡医療技術学部教授。著書に、がんのリスクを下げてくれる“抗がん食材”を使ったレシピ集『がんにも勝てる長生きスープ』、『がんにも勝てる長生き常備菜』(主婦と生活社)がある。

 

このニュースに関するつぶやき

  • リノール酸は体内で合成できず食事から摂取する必要があるため必須脂肪酸と呼ばれる。適量のリノール酸を摂取すると総コレステロール値やLDLコレステロール値が低下
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