11月、Apple M4チップファミリーを搭載する新型Macが一挙に発表された。登場から約4年が経過した初代Apple Silicon「M1チップファミリー」と比較すると、クリエイティブな作業がおよそ2倍ほど高速になっているということもあり、買い替えを検討している人もいるだろう。
だが、M1チップ搭載Macが発売された当時と比べると、世界情勢も大きく変わった。為替レートの変動からApple製品全般の日本での価格は、数割増しだ。そうなると、買い替えに当たっての出費を抑えたいのは人情だ。
筆者もそう考える1人だ。長らく使っていたM1チップ搭載「MacBook Air」の買い替えを検討する中で、「どうにかして月々の支払いを抑えつつ、最新モデルに買えないか?」と思案していた。
そんな中、あるApple Store(実店舗)でスタッフと交わした購入相談で、「実店舗限定の購入方法がある」と教えてもらえた。今回、この方法でMacの買い替えを行ったので、あまり知られていない意外な「買い方」として紹介したい。
|
|
●M1チップでも満足な性能 でもメモリ容量が足りない
買い方を紹介する前に、筆者が使っているMacと、買い替えを検討するに至った理由を説明しよう。
筆者がこれまで愛用してきたMacは、2020年11月に発売されたM1チップ搭載の「MacBook Air」だ。アプリのApple Siliconへの対応状況を様子見していたこともあり、実際に購入したのは2021年初夏となった。8GBメモリ/256GB SSDの最安値構成で、キーボードはUS(米国英語)配列とした。
Apple Siliconへのアプリの最適化も進んだこともあり、M1チップでも動作は基本的にキビキビとしている。高画素(高解像度)の写真を編集すると、さすがにラグを感じることも増えてきたが、Webサーフィンや事務作業であれば全く問題ない。
しかし、今後「Apple Intelligence」が日本語で使えるようになった際に、8GBメモリのMacBook Airが快適に動くかどうかは分からない。現に、M4チップファミリー搭載のMacはもちろんのこと、同時にラインアップを改めたM2/M3チップ搭載のMacBook Airでは、メモリの最小容量が16GBとなっている。新モデルにおいてメモリ容量の下限を16GBとしたのは、Apple Intelligenceを快適に使うための措置だとされている。
|
|
そう考えると、メモリが8GBしかない筆者のMacBook Airは、今後クリエイティブ作業を筆頭に徐々に動作に不満が募っていくことが容易に想像できる。そのため、まだ使える状態ではあるものの買い替えを決意したのだ。
●買い換え先は「Mac mini」に
ここ数年、筆者はMacBook Airをクラムシェルモード(Macを閉じて外部ディスプレイに接続し、デスクトップPCのように使うモード)で使うことが大半だった。ゆえに、買い換え先はノートブックタイプにこだわる必要もなかった。
そこで、今回は発表されたばかりのM4チップ搭載のMac Mini(9万4800円〜)を購入する方向で検討することにした。
ただ、今回は完全なる“買い換え”なので、MacBook Airの“今後”も考えなければならない。
|
|
●古いMacBook Airの売却はどうする?
ここまで簡単にMacを買い替える経緯についてまとめたが、実際に買い替える際には古いMac(PC)の処遇も考えなければならない。古いものを「処分する」というのであれば、売却するのかリサイクルに出すのかを考えなければならない。
使っているMacが極端に古いものなら、リサイクルに出せば良い。ただ、先述の通り筆者のMacBook Airは、用途次第ではまだ十分に使える。そこで今回は「第2の人生を歩んでもらおう」ということで売却し、Mac Miniへの買い換えの原資とすることにした。
MacやApple製品を売却する場合、大きく分けて以下の3パターンがある。
・Apple Trade In
・個人間取引(オークション/フリーマーケットサイト)
・中古買取店や質屋への売却
Apple Trade In
「Apple Trade In」は、Appleがオンライン/実店舗のApple Storeで提供している公式買取サービスだ。Appleが定めた金額で、不要になった端末を買い取ってもらえる。
実店舗での下取りを申し込む場合は、新端末の購入と同時に売却すると本体価格から下取り額を値引きしてもらえる。売却のみの場合は、下取り額を「Appleギフトカード」として受け取れる(実店舗での購入と同時に手続きする場合も、希望すればギフトカードとして受け取り可能)。
特に実店舗で新端末と同時に購入する場合は、直接値引きも選べることが何よりのメリットである反面、後に紹介する2つの選択肢と比べると売却価格が安くなりがちというデメリットもある。
筆者が今回売却するM1チップ搭載MacBook Airの場合、Apple Trade-Inでの下取り価格は最大で5万円。出品する手間を考えても、個人間取引や中古買取専門店へ持ち込んだ方が良い(高く売れる)と判断した。
個人間取引
オークションサイトやフリーマーケットアプリを使った個人間取引は、自宅で商品の写真を撮影し、概要を記入して出品するだけでよい。店頭に持参する手間や時間が省けるので、時間が取れない場合でも対応しやすい。
個人間取引では、価格も自由に設定できることも大きなメリットだ。買い手が見つかるのであれば、理論上はどんな価格でも売却可能だ。
ただし、個人間取引では、取引中に起こったトラブルは原則として当事者間で対処する必要がある。最近よく話題となることが多い「商品すり替え」は、トラブルの典型例だ。
以前は筆者も個人間取引で高額な家電製品を出品していたが、こうした現状を鑑みて、今回は使用しないこととした。
中古買取店や質屋への売却
中古買取店や質屋への売却も選択肢だ。これまでは「安心か分からない」「怪しい」などのイメージが先行してか、主に買取店や質屋のサービスに詳しい人が使うことが多かったが、最近は大手の家電量販店も買取事業に参入するなど、世間の認知も広がっている。
特にPCやスマートフォンの買い取りを専門としている買い取り店の場合は、商品の状態によって買取価格が明確化されていることがメリットだ。Macを含めたApple製品であれば、大きな傷がない限りApple Trade Inよりも高価で買い取ってもらえることが多い。
買取価格は中古市場の需給状況に応じて変動するが、特定の日を対象にした「増額キャンペーン」も頻繁に行われているので、タイミングによっては通常より1万円近く高値で売却可能だ。
多くの専門店では、店頭買取のほかに配送買取も実施している。売却時には「売却明細書(証明書)」が発行されるので、売却の過程でトラブルが生じた場合でも適切なサポートが受けられことも安心ポイントだ。
今回、Mac miniは「MacBook Airを売却して得たお金を頭金として、残りを分割払いで支払う」という方法で買い換えることを想定していた。
先述の通り、個人間取引はトラブルのリスクを考えて真っ先に見送った。するとApple Trade-Inか中古買取店や質屋への売却を考えるわけだが、下取り価格を考えるとApple Trade-Inよりも中古買取店や質屋への売却の方が有利だ。
そこで今回は中古買取専門店にMacBook Airを引き取ってもらうことにした。
MacBook Airの売却金を原資に、Mac miniを買いに行くことにする。
●Apple Store(実店舗)限定の分割払いとは?
今回、購入を決めていたのはM4チップ搭載Mac miniのエントリーモデル(16GBメモリ/256GB SSD)だ。数ある「標準構成」の1つなので、Apple StoreだけでなくApple製品を取り扱う家電量販店でも購入可能だ。
ポイントを考慮するのであれば、家電量販店で買うのがベストだろう。しかし、人気モデルということもあってか、近隣の家電量販店ではすぐに買える在庫がなかった。そこで、今回はApple Storeの実店舗で購入することとした。
Apple Storeの実店舗では、現金やクレジットカードに加えてショッピングローン(個品割賦)でも購入できる。ショッピングローンは、オリエントコーポレーション(オリコ)が提供するものと、Paidy(ペイディ)が提供する「ペイディあと払いプランApple専用」の2種類から選択可能で、いずれもMacの購入時は24回払いまで手数料(金利)無料で利用できる(※1)。
(※1)オリコのショッピングローンは最大60回まで選択可能(ただし、24回超の場合は要手数料)
ところが、今回想定外のことが発生した。オリコもPaidyも、ショッピングローンに頭金を充当できないのだ。そこで店員に相談したところ、「頭金」を支払った上で、ペイディあと払いプランApple専用を利用できた。
……と、上の文章に矛盾があることに気付いただろうか。頭金を充当できないはずのペイディあと払いプランApple専用で、「頭金」を充当できてしまっている。この支払い方法は、筆者が店員に相談する中で初めて知ったものだ。
からくりは?
この支払い方法は「Apple Storeの実店舗」で「店頭在庫のある商品」であればできるという。システムの都合でWeb(オンライン)のApple Storeでは利用できない。また、店頭に在庫のない商品(一部構成をカスタマイズしたMacなど)でも利用できない。
その“からくり”だが、以下のような感じだ。
1. 商品代金の一部をApple Storeで支払う
2. 代金の残りに対して、ペイディあと払いプランApple専用を契約する
1は事実上の「頭金」に相当する。店頭で対応できる方法で支払い可能とのことで、現金ではなくクレジットカードやAppleギフトカードでも構わないという。最低額の制限はないようで、筆者は先の売却金とほぼ同額(5万6000円)をクレジットカードで支払った。
今回のMac miniは9万4800円なので、残額は3万8800円だ。この残額に対してペイディあと払いプランApple専用を契約し、24回払いすることとなる。1カ月当たりの支払額は1616円(※2)となるので、分割金を通常の半額未満にできた。
(※2)端数の16円分は、後半16回の支払いに1円ずつ上乗せされる
これであれば、最新マシンであっても無理なく支払えそうだ。
●おトクに買い換えられる、知っていて損はない方法!
今回紹介した「ペイディAppleあと払い専用を別の支払い方法と併用する方法」なら、月々の支払い額を抑えつつ最新マシンへ買い替えができる。「頭金」に相当する店頭支払いにはAppleギフトカードの残高も使用できるので、Appleのセールなどでもらったギフトカードも無駄なく使える。
Appleで製品を購入する場合、このような選択肢も頭に入れておくといいだろう。ただし、カスタマイズモデルだと「たまたま希望通りの構成の在庫があった」というレアケース以外では使えないので注意したい。
ところで、M4チップ搭載のMac miniは快適で、クラムシェルモードでMacBook Airを使っていたときよりも動作がキビキビしている。買って良かった。
|
|
|
|
Copyright(C) 2024 ITmedia Inc. All rights reserved. 記事・写真の無断転載を禁じます。
掲載情報の著作権は提供元企業に帰属します。