2024年1〜11月、女子SPA!で大きな反響を呼んだ記事を、ジャンルごとにtop5まで紹介します。こちらは、「ライフスタイル」ジャンルの人気記事です。(初公開日は1月9日 記事は取材時の状況です)
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東京で出会った相手と結婚したら、そのまま都内で暮らせると思う人は多いのではないでしょうか。
しかし、都会は地方からたくさんの人が集まるところ。都会で出会った男性と結婚し、田舎で新婚生活をスタートさせる人もいます。
田沼鈴子さん(仮名・34歳)もそんな経験をしたひとり。自身の経験を語ってくれました。
◆都内のクラブで出会った彼と意気投合
鈴子さんが彼と出会ったのは、表参道にあるクラブでした。音楽とお酒が好きな鈴子さんは、週末にクラブで過ごすことを楽しみにしていたそう。
「ある日、好みの男性と出会ったんです。顔が濃くて筋肉質で、一目見て好きになりました。それが、今の夫です。とにかく私が彼に夢中になってしまって、猛アプローチしました」
そんな鈴子さんのアプローチが叶って、交際はスタート。交際1年で彼からプロポーズされたといいます。
「プロポーズされた時は、嬉しすぎて泣きました。一生、彼と一緒にいられるんだと思って興奮していましたね。とにかく幸せ過ぎて、未来が全て明るく見えました」
◆夫の実家での暮らしがスタート
結婚後、東京を離れて沖縄の離島へ移住することになった鈴子さん。
「彼の実家が、なんと沖縄の離島だったんです。交際中も彼の実家の話は聞いていたので、私も覚悟は決めていました。彼は地元が好きで、『結婚したら地元に帰りたい、地元で子育てがしたい』と言っていたので。
それから、『お母さんの足が不自由だから、しばらくは実家で暮らしたい』とお願いしてきたので、家族想いの彼の気持ちに感動して、夫と移住することにしたんです」
鈴子さんは大好きな彼と家族になるのだから、彼の気持ちを尊重していきたいと思ったそう。また自分は両親を早くに亡くしているので、東京を離れることにそれほど抵抗はなかったといいます。
◆ところが……同居での地獄の日々
「彼のご両親は、とても温かく私を受け入れてくれました。両親を亡くしている分、新しい家族ができたと心が弾んで嬉しくなったのを覚えていますね」
ところが、鈴子さんが彼の実家に引っ越した翌日のこと。夕方になると、庭先から知らない人が次々と家に入ってきたそう。
「沖縄の方言なので、何を言っているのかよくわからなくて初めは戸惑いました。とにかく、私のことを受け入れてくれて誰もが優しく声をかけてくれていましたね。ただ、家にくる人数が多くて頭が混乱してしまって……」
その日、鈴子さんの歓迎会だと集まった人数が25人。庭にもテーブルを出して、大勢での宴会が朝まで続いたといいます。
◆毎晩続く宴会騒ぎにげっそり
鈴子さんの歓迎会は終わったものの、その後も毎晩のようにお客さんが来たそう。沖縄の離島では、毎晩大勢で飲み明かすことは “日常”でした。
「翌日も、その翌日も毎日家に何人もの人がやってきて一緒に夕飯を食べるんです。結局、いつも家族以外の誰かが家に常にいる状態でした。義母は『今日もゆんたくするよ』と言って、毎晩お酒のつまみをたくさん作っています」
鈴子さんが嫁いだ離島では、「ゆんたくする」とは家に集まっておしゃべりするという意味。語らいながらお酒を呑み交わすのですが、夕方に集まって朝まで続くのが普通だったそうです。
「私は一人暮らしが長いので、常に誰かがいて騒いでいることにストレスを感じていました。お酒がまわると、みんな同じ話を繰り返すので聞いているのも疲れてしまって」
◆一度会ったら皆家族!
さらに鈴子さんは、義父の行動に衝撃を受けたそう。
「義父は、『いちゃりばちょーでー』とよく言っています。一度会ったらみんな兄弟!というような意味なのですが、家に次々と観光客を呼んでくるんですよ。お店でもないし、知らない人にただ飯を食べさせるんですよ。私にはその感覚がないので、もう頭の中は大混乱でした」
知らない観光客にまでご飯を振る舞う生活から1ヶ月が経った頃。鈴子さんはついに夫に相談したといいます。
◆話し合って心地良い距離感を保っていきたい
夫は、「俺はこの環境で育ったから普通だと思っていたけど、鈴子がつらいのは嫌だ」と言って、実家の近くに平屋を借りてくれることになったそう。
「夫も義両親も、みんな優しいんです。ただ、環境の変化にあまりにびっくりしてしまって。今は同居ではないけれど、手伝いに行ける日は積極的に実家に行くようにしています。この距離がベストだと感じています」
移住先では、これまでの普通が普通でなくなることもあるようです。でも、鈴子さんのように自分の気持ちをきちんと周囲に伝え、ここちよい距離感を見つけられたら、家族みんなが平穏に暮らしていくこともできるのではないでしょうか。
<取材・文/maki>