機械や金属関連の中小企業労働組合を中心に構成する「ものづくり産業労働組合(JAM)」の安河内賢弘会長は28日までに時事通信のインタビューに応じ、中国経済の減速などを背景に、2025年春闘の労使交渉は厳しくなるとの見通しを示した。その上で「ストライキという選択肢を捨てず、(加盟組合には)迫力ある交渉をしてもらいたい」と強調した。
安河内氏は高水準の賃上げを実現した24年春闘と比べ、「25年春闘は自動車産業や中国を中心とした半導体関係が苦しく、全体的に厳しい状況。労使で主張点が対立するかもしれない」と指摘。ただ、人手不足は深刻で、「賃金を上げざるを得ない状況が続いている」と述べた。
中小企業では賃上げの原資を捻出するため、価格転嫁の推進が課題となっている。政府は23年、人件費転嫁に関する指針を策定し、価格交渉を後押し。安河内氏は「(交渉の)一歩は踏み出せたが、決して満足できるような状態ではない」との見方を示した。