能登半島地震で被災した石川県立輪島高校(輪島市)の生徒が、地元の復興に関わろうと積極的に取り組んでいる。東日本大震災後ににぎわいを取り戻した朝市視察なども行い、行政の検討会でアイデアを発表した。同高の平野敏校長(60)は「子どもたちの大きな自信になり、大人たちも元気づけられる」と話した。
同高では、これまでも総合的な学習の授業で地域の魅力について考える取り組みを行ってきたが、地震で輪島市は甚大な被害が出た。「上から降ってきた復興計画にそのまま乗れば、将来君たちが住みたくない街になる。自分たちで作ろう」。被災直後、平野校長が生徒たちにそう語り掛け、復興を考える「街づくりプロジェクト」が始動した。2年生が中心となり、これまでに花火大会の実施や子どもの遊び場づくりなど約20の事業に取り組んでいる。
9月には、1〜3年の生徒13人が宮城県名取市を訪れ、13年前の東日本大震災で被災後に再建された「ゆりあげ港朝市」を視察した。同朝市は、桜井広行代表理事(70)が震災から約2週間後に駐車場で臨時の朝市開催にこぎ着け、2年余りで復活を果たした。桜井さんから「大事なことはスピードだ。自分から働き掛けてほしい」と背中を押されると、輪島高1年の井筒日陽さん(16)は「輪島の朝市はまだ何もない状態。まず元に戻して若者が通いやすいような朝市にしていきたい」と前を向いた。
視察後、2年生のグループは、市民と観光客の双方が楽しめる「多世代交流型」の朝市にするアイデアをまとめ、10月に開かれた輪島市復興まちづくり計画検討委員会で発表した。
平野校長は、生徒の活動は予想以上だったと話し「閖上も朝市が復活し、それに引っ張られるように街も復興していった。次の世代につないでいくような取り組みになれば」と語った。