もうすぐ大みそかにお正月。神社に行き、巫女さんを見かける機会が増えるだろう。巫女さんの、白衣と緋袴の装束、一本に縛った黒髪という凛とした姿は、まさに日本文化のアイコンともいえる。現在も、多くの漫画やアニメなどで人気のキャラクターとして登場し、外国人観光客の関心の的でもある。
年齢制限ナシ、髪形も髪色も自由
「たしかに巫女さんといえば、『黒髪のロング』『未婚・若い女性』といったハードルがあるイメージがあります。しかしここ数年、巫女さんとして活動してみたいと志願してくる女性が増えています」
こう語るのは、ウェルビーイング事業のコンサルティングを手がける(株)立縁の神山ナオミさんだ。神山さんは「巫女社長」という肩書で、巫女さんの仕事や日本文化を紹介するTikTokなどを配信し、国内外で人気を博している。
「年末年始の神社でアルバイト的に採用されるなら、見た目に統一感があったほうがいいでしょうから、髪色や髪形はそろえたほうがいいのかもしれません。私は和装の髪形にする機会が多いのでたまたま長い黒髪ですが、本来は『こうしなくてはいけない』といったような明確な規定はありません。
巫女志願者として近年増えているのは、神社に仕えるための知識や実習、日本文化のしきたりや奉納の舞、巫女舞を習う方たちですね。こちらには年齢制限もありませんし、日常生活に差しつかえない程度なら髪形も髪色も自由です。そもそも大切なのは、見た目よりも、神道の文化を敬い継承したいという精神なのですから」
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未婚よりも「人生経験を積んだほうが」
いわゆる「未婚・若い女性」の由来について、神山さんはこう見解を示す。
「他の人との接触が少ない分、雑菌が少ない、という考えからでしょう。新海誠監督の映画『君の名は。』に、巫女さんの家系のヒロインが『口噛み酒』を造るエピソードが出てきますが、これにもつながっているのだと思います。
それがいつの間にか、『巫女さんは若い女性でないと』ということになったのではないでしょうか。実際は、神主さんの奥さんが巫女さんだったりもしますし、何ら問題はありません。むしろ私は、人生経験を積んだ大人の女性のほうが、素晴らしい巫女さんになれると考えています」
現在は巫女としての作法や舞の講師も務める神山さんが、巫女になったのは、4人目の子どもを出産後の壮絶な経験がきっかけだった。
「膵臓がんが見つかり、そこへ育児に両親の介護まで加わり、夫とは離婚。がんが進行し余命宣告まで受け、地獄とはこのことか、という経験をしました。そんな折、人生の師ともいえる経営者の先輩方に、神道や仏教といった、先達の考えを学ぶことをすすめられました」
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その結果、さまざまな気づきを得ることができたという。
「我欲を捨て、自分の心を見つめ直すことができ、とても楽になることができたんですね。今は心身ともにすっかりよくなりました。残りの人生は巫女として、神と世の中の人のために仕えようと決めたのです」
神山さんは、巫女さんの見た目だけでなく、「スピリット=精神」も、世界からの憧れの対象になってほしいと語る。
「そもそも日本の神様は“八百万”の個性派集団の集まりなんです(笑)。髪や目、肌の色もさまざまな巫女さんの精神を持った人たちが、日本文化の思いやりの精神を継承してくれたら、こんなに素晴らしいことはないと思いますね」
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