“1日10リットル尿が出る病気”にかかった話が壮絶 「水分とトイレしか考えられない廃人化」した当時の話を聞いた

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2024年12月30日 20:03  ねとらぼ

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全ての始まり

 SNS上で注目を集めた投稿について、その背景をあらためて取材する「バズ投稿のウラ話」。今回は、2020年9月に“毎日10リットルの尿が出る病気”にかかった壮絶な実録漫画を投稿した、最高さん(@saikoulll)に話を聞きました。


【画像】“1日10リットル尿が出る病気”漫画を読む


●最初はちょっとした喉の乾きから


 ことの始まりは、2019年1月。旅先の旅館で「なんでホテルとかって喉が渇くんだろうなぁ」「水うめー(笑)」と思ったのが最初の異変でした。


 しかし、その日から異常に喉が渇き始め、1日に飲む量は日に日に増加し、ついには10リットルを突破。常に2リットルペットボトルを持ち歩き、飲んだ分だけ尿が出るようになっていったというのです。


 一番ひどかった時は「水分とトイレしか考えられない廃人状態」「尿と乾きが続くため眠れず連続して2時間寝られたら長い方」「みずみずしい野菜以外の固形物がほぼ食べられない」「水を飲んだ1秒後には猛烈に喉が渇く」「水分とりすぎで胸焼けし吐いてまた飲むの24時間サイクル」「体中の肌がガッサガサ」など多数の異常が発生していたとのこと。


 こんな状態ながらも、数カ月間治療はできなかったそうです。その理由は、さまざまな科の病院に行っても一切異常が出なかったため。総合病院では「気のせいじゃないですか?(笑)」で済まされ(本当に笑われたとのこと)、苦しさも相まって気が狂いそうになったこともあったそうです。これはきつい……。


 その後自分で調べ、症状的に「尿崩症」ではないかと予想を付け泌尿器科へ。しかし、そこでも異常が出ず、尿崩症ではなさそう……との診断。また、別の病院でさまざまな検査を受けても、やはり異常なし。尿崩症ではないといわれてしまいました。


 あまりの辛さにとうとう号泣してしまい、大きな大学病院へ紹介状を書いてもらうことに。しかし、そこでもやはり異常なしの診断結果が出てしまいます。が、異常なしながらも検査入院することが決定します。


 こうして数日間検査を受け、とうとう出た診断結果は……尿崩症でした。えぇ〜……。


 具体的には「特突発性中枢性尿崩症」で、尿量を調整するホルモンの異常により体の水分を大量に排出してしまうようになってしまう原因不明の病気とのこと。国内でも1000〜2000人程度しかいない珍しい病気だそうです。基本的に根治しないそうですが、現在は薬で通常の生活が送れているとのこと。


 通常の場合検査結果で何かが引っ掛かるはずが、たまたま全検査結果で異常なしの数字が出てしまったため発覚が遅れてしまったもよう。また、尿量や飲量を記録していなかったことや自分がこんなに珍しい病気にかかるわけないという思い込みなども長引いた原因ではないかとしています。


 最高さんは当時、漫画を通じて「こういった病気があることを知ってほしい」とメッセージを結んでいました。


 その壮絶さと珍しい病状から、2万3000件以上の“いいね”が寄せられたこの漫画。当時の思いなどについて、さらに詳しく話を聞いてみました。


―― 特に辛かった症状は何でしたか。


最高さん: 全てですね。強いて言えばやはり口渇感でしょうか。イメージとしては体育祭などで最高潮に喉が渇いている状態はみなさん経験あると思うんですが、あれが24時間続いている感じです。そして水を飲んでもそれが解消しないという地獄ですね。


 喉がカラカラなのに胃の中に水がたくさんあるので水が飲めなかったり、飲んでも飲み過ぎで嘔吐したり、唇が乾燥しすぎて口が開けられなかったり、目が乾いて全ての光がとてもまぶしかったり……。常にMAXの不快感を抱えながら生活をしていました。


 あとこれは尿崩症の症状ではないのですが、(おそらく症状が続いたストレスで)常に首を絞められているかのような圧迫感があって苦しかったです。


―― 当時特に思い出に残っている出来事は何かありますか。


最高さん: いろいろありますね。例えば当時、体の水分不足により四六時中体が火照っていて、激しい口渇感と尿意でほとんど眠ることも出来なかったんです。一晩中1人で床の冷たい部分を求めて家中を這いつくばっていました。


 そんな状態で何日も眠れないまま近所のスーパーに飲み物を買いに行ったのですが、そこで店員さんに「おはようございます!」とあいさつされた瞬間、「一睡もできてないのに」と勝手に心が限界になって号泣したのは結構強烈な思い出ですね。


 他にも、「旅行に行ったのに症状が酷くて動けず羽田空港のトイレで1日過ごした」「電車に連続して乗れず1駅1駅降りては飲み物を買ってトイレに行っていた」「目の乾燥は逆さまつげが原因なのではないかと思いまつ毛を切りまくった」など、強めの思い出があります。


―― 病名が判明したときどのような思いでしたか。


最高さん: とにかく何カ月も原因が分からず、「ストレスでしょう」と言われ続けていたのが一番のストレスになっていて、仕事も出来ず貯金も底をつき、お先真っ暗!という感じだったので、原因が病気なら治療法などがあるだろうな希望を抱けました。


あと、「こんなにも異常があるのに診断がつかないまま何カ月も過ごすことがあるんだ」とシンプルに驚きました。あまりにも検査で異常が出ないため、「私がおかしいのかもしれない」と狂いそうになった瞬間が何度もあったので病名が分かって良かったです。


―― 最初に薬を飲んで症状が収まったときどのような気持ちでしたか。


最高さん: とにかくうれしかったです。


 実は今の薬に決まる前に、別のタイプの薬を試して何も症状に変化が無かったという流れがあったんですよ。


 やっとこの地獄から解放される! と喜んでいた矢先にそのようなことが起きたので「このまま何も効かなかったらどうしよう」と結構本気で絶望していました。


 それが今の薬を飲んですぐ、ふっと喉が渇かなくなったんですね。「喉が渇かない」という今まで当たり前だった状態があまりにも快適で、健康であることの幸せを強くかみ締めました。あまりのうれしさに泣いてしまって、薬を開発された方々に心から感謝しました。


―― 基本的に治らないとのことでしたが、現在も薬を飲み続けているのでしょうか。


最高さん: 変わらず1日3回飲んでいます。飲み忘れるとすぐに強烈なのどの渇きと尿意に襲われるので、外出先などで忘れてしまった時のために、あらかじめいろいろなかばんに忍ばせるなどの工夫をしています。


 また、1年に1回MRIで脳や血液の検査も行っていますが、毎年「特に変化なし」という結果で、相変わらず病気の原因は不明なままです。


 私が生きている間に完治する方法が判明したらうれしいなと思っています。


画像提供:最高さん(@saikoulll)



このニュースに関するつぶやき

  • 1000人2000人しかってかなりの数だよ のどが渇くのは糖尿病でもなるしね
    • イイネ!10
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