お正月といえば、お年玉。子どもたちにとっては嬉しい日本の風習ですが、お年玉を渡すほうの大人は、人数や金額によっては負担に感じているケースも少なくないようです。
さらに、もしそこに誰かの思惑が絡んでいたとしたら、モヤモヤするのは無理のないことかもしれません。
◆子どもたちからの“お年玉おねだり”にゲンナリ
野々村麻衣さん(仮名・30代)の実家では昔から、家族が集まってお正月を祝うのが習慣でした。ここ10年近くは、年の離れた弟夫婦・姉夫婦、そして独身の麻衣さんが両親の住む実家に集合。毎年のように賑やかなお正月を過ごしていたのです。
「甥っ子、姪っ子に会えるのも嬉しいし、最初のうちは実家での集まりが楽しみでした。でもいつの頃からか、弟夫婦の子どもたちからお年玉のおねだり攻撃を受けるようになったんです」
◆小さな甥っ子が「“ゆきち”がほしい」と言い出して
弟夫婦と姉夫婦はお互いに子どもがいるためお年玉を省略しています。そのため渡すのは、麻衣さんと麻衣さんの両親のみ。麻衣さんの両親は、それぞれの夫婦の子どもたちに「一年に一度だから」と、数万円を包んで渡していたといいます。
「両親の渡すお年玉が高額だったこともあり、私のほうは硬貨で対応していました。でもある年、まだ就学前の甥のルイくん(仮名)に500円玉を入れたポチ袋を渡すと『紙のお金がいい』『ゆきち……のやつ』などと言ってきたのです。それだけではありません」
姪のアイちゃん(仮名)は小学生だからと奮発して5,000円を渡したにもかかわらず、「もっとほしい」とまとわりついてきます。
2つほど年上の姉夫婦の子どもたちも、その様子を見て影響されたのか、別室へ逃げた麻衣さんを追いかけてくるなど収拾がつかない事態に。
そしてついに、ルイくんからは「麻衣ちゃんは結婚してないから、お金あまってるでしょ」という爆弾発言まで飛び出したのです。
◆問題発言の“元凶”を知って二重にショック
「子どもの言うことだからと水に流していたのですが、あまりにしつこいので、『どうしてそんなこと言うの?』と尋ねました」
そして戸惑うルイくんに、「おばちゃん、悲しいよ。お金も、あまってるなんてことはないよ」と諭したのだとか。すると驚くことに、「え、だって、ママがあまってるって言ってたんだよ。ママのお友達に、ガストで言ってた」という答えが返ってきたのです。
「隣にいた小学生のアイが、『しっ! それ、ママには内緒って言われてるじゃん!』と制止しますが、ルイは『お正月にわざわざ行くのに、お年玉ぐらいもらわないと。“にっきゅう”みたいなもんだって』と、止まりません」
日給発言だけでなく、「あと、麻衣おばちゃんはお金持ってるから、お年玉いっぱいねだって、ママにちょうだいねって言ってた」と大暴露。アイちゃんは、「あ〜あ、もう知らない!」と言ってルイくんの頭を叩くとどこかへ行ってしまいました。
◆「来年からお年玉はあげない」と宣言することに
「子どもたちの様子から、お年玉のおねだりや爆弾発言の原因が弟の奥さんであることは明らか。これまでの弟の奥さんの行動などから、腑に落ちることも多々ありました。
でもさすがにカドが立つので、弟の奥さんに注意するわけにもいきません。すごくモヤモヤしました」
ただ、「これからのことを考えると、どうにか解決はしておきたい」と思った麻衣さんは、両親に相談。その年に「来年のお正月からは、お年玉はあげない」と宣言したのです。
麻衣さんはモヤモヤした気持ちのまま、「来年も楽しく集まろうね」とも言いました。
◆姉夫婦の子どもたちには本をプレゼント
「でもその年以降、弟の奥さんがお正月の集まりにやってくることはありません。現金でわかりやすい人です……。
お年玉はあげないと宣言したので姉夫婦の子どもたちにも渡してはいませんが、2人は読書好きなので、お正月にはモールの本屋さんへ行くようにしています」
そして、2人が気に入った本をプレゼントしているという麻衣さん。いまはまた、お正月に家族で集まるのを楽しみにしているといいます。
お正月が誰かの負担になるというのは悲しいもの。誰もが楽しく集まれる行事のひとつにしたいものですね。
<文/山内良子>
【山内良子】
フリーライター。ライフ系や節約、歴史や日本文化を中心に、取材や経営者向けの記事も執筆。おいしいものや楽しいこと、旅行が大好き! 金融会社での勤務経験や接客改善業務での経験を活かした記事も得意。