フリマサイトで横行も……「サイン本の転売はやめるべき」 サイン色紙コレクターが話す、その理由とは?

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2025年01月05日 08:10  リアルサウンド

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実際にネットオークションで転売されたひな姫の単行本『あまはら君+』。
■フリマサイトで見かけるサイン本の転売

  フリマサイトやオークションサイトを見ると、とにかく目立つのがサイン本の転売である。そのターゲットにされるのは小説家や漫画家が多い。サイン本専門で出品している転売屋がいるほど、サイン本は転売の定番アイテムと化している。それは、サイン本が“仕入れやすい”ためだ。


  サイン本は都市部の大型書店やアニメ専門店ではたいてい何かしら置いてあるので、地下鉄のフリー切符でも購入して店を回れば効率的に仕入れができる。購入後は表紙とサインの部分を撮影して出品すればいいので、簡単、というわけである。そのため、サイン本の転売を指南する講師のような人物までいるのだという。


  しかし、そんなサイン本の転売について、「高く売れて利益が出るのはごくごく一部の作家に限られるので、絶対に効率が悪い」「一刻も早くやめるべき」と話すのは、漫画家のサインのコレクターA氏である。


 「ネットで転売を行っている人を見ると、闇雲に手当たり次第にサイン本を買っている印象を受けます。そして、2000円代などで事実上“投げ売り”している人も目立ちます。単行本の値段が700〜800円くらいのものを2000円程度で売っているのですから、手間と労力を考えると割に合わないと思います」


■赤字と在庫を抱えている人は多い?

  サイン本の転売はSNSでたびたび騒動になるため、「儲かる商材」というイメージを抱く人は多いかもしれない。しかし、A氏は、「サイン本の転売屋は、実際にはかなり赤字と在庫を抱えているのではないか」と考察する。というのも、1000円代から数百円代で販売しているサイン本でも、実際は売れていないものが目立つためだ。


 「結局、転売屋って専門的な知識がないまま仕入れをしている人が多いから、大して儲からないに決まっているんですよ。僕から見たら、絶対にこの作家を買っても利益出ないだろ…と思うような作家ばかり仕入れている(笑)。こう言ったら怒られるかもしれませんが、90%くらいの作家は、転売して儲かるほどサインに価値はありません」


  A氏は「はっきり言いますが、サイン本で儲かるなんて嘘です」と断言する。そして、転売屋に対してこう訴える。


 「サイン本の転売は、やめた方が絶対にいいですよ。商売として効率が悪いですし、サイン本は好きな人に渡るべきだと思いますからね。ただ、大都市の書店にばかりサイン本が並ぶのは、地方在住者にとっては不公平だと思います。もっと地方に住んでいるファンにも、サイン本が行き渡るようなシステムを、出版社側もつくってほしいなと思いますね」


  サイン本のような限定の品物を入手するうえでは、歴然とした都心と地方の格差が存在する。首都圏のホテルもインバウンドなどの影響で宿泊代が上がっており、「わざわざ交通費をかけて東京まで行くくらいなら、転売屋から買った方が安い」という理由で、転売屋から買う人も少なくない。そのうえ、地方からは書店が次々に閉店している。こうした格差をどう埋めるべきなのか。解決策を議論していくべきであろう。



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  • いっそ作家本人がサイン本を売るか、最初から印刷しておけば、転売ヤーはいなくなる
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