「もう東京のホテルには泊まれない」出張する会社員の悲鳴。空港ロビーやカーシェアに寝泊まり、野宿する人まで

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2025年01月06日 09:21  日刊SPA!

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政府は2024の訪日外国人数が史上最多の3500万人になると予測
 外国人観光客が急増し、ホテル不足が囁かれて久しい。こうしたなか、会社規定の宿泊費では泊まれない出張サラリーマンが急増中だ。なかには過酷な場所で寝泊まりを強いられるケースも少なくない。ホテル難民の実態についてリポート!
◆平日でも一泊3万円!? もう東京に出張できない

 インバウンドが盛り上がる中、日本各地のホテル代が高騰しているのは周知の通り。シティホテルが高すぎて泊まれない、そもそも空室がないことが常態化しているが、一方でビジネスホテルの高騰化も止まらない。

 平日で3万円超えの部屋もザラにあり、出張者が東京で泊まれないという声がSNSでも相次いでいる。ホテル業界に詳しいトラベルジャーナリストの橋賀秀紀氏に現状を聞いてみた。

「東京ホテル会によると、加盟ホテル260軒の10月の客室稼働率は91.2%と非常に高くなっています。ADR(客室平均単価)は1万8965円で過去7年間の最高値を記録しました。コロナ前の’19年10月が1万2000円ほどだったので、5年で1.5倍以上になった計算です」

 高くなった要因はインバウンドのほか、人件費や光熱費の上昇、さらにダイナミックプライシング(高い予測精度で需要に応じた細かい価格設定ができるシステム)の普及があると橋賀氏は指摘する。

◆宿泊者の半数をインバウンドが占め、稼働率も大幅に上昇

 当のホテル関係者はどう感じているのだろうか。全国でアパホテルを展開するアパグループに聞いてみた。

「都内の場合は国内ビジネス約35%、国内レジャー約15%、インバウンドが約50%という割合です。’21年と比較すると稼働率は約45ポイント、宿泊料は約270ポイント、それぞれ上昇しています。こちらもコロナ禍が明け、宿泊需要が急回復したため、それに合わせて上昇している状況です」(アパグループ広報担当者)

 東京一の歓楽街・新宿にある大規模なビジネスホテルの関係者もこう述べる。

「コロナ前まで利用客の80〜90%がビジネスマンでしたが、コロナが明けるとインバウンドの観光客で満室に。外国人は10日くらい連泊して、その間、部屋をキープしたまま関西や九州に泊まりがけの旅行をします。その間も当然宿泊代はかかりますが、荷物置き場として割りきっているんです。なんとも贅沢ですが、だからインバウンドは儲かる。今はその波に乗るしかないと、ターゲットを外国人観光客に変えている状況です」

 ビジネスホテルはより儲かるインバウンドへの鞍替えを進めているところも多く、出張者が泊まれるホテルは都内でどんどん減っているのだ。

◆「羽田空港の国際線ロビーは快適に寝られる」

 ADRの推移や需要予測はグラフの通りだが、実際、東京へ出張しているサラリーマンはどうしているのか。

 30代の女性会社員は久しぶりの東京出張で、ホテル高騰の現実にぶつかった。

「最近、出張が少ないなと思っていたら、理由がわかりました。1万円の規定宿泊代で探してもホテルがない。品川から30分離れても仕方ないと見つけたのが赤羽。東京の友達に『赤羽に泊まるよ』と連絡すると、『女性が一人で大丈夫!?』と心配されました」

 さらに50代の国家公務員(大阪府)は、職務命令の出張で自腹を切らざるを得ない状況を嘆く。

「課長補佐級の宿泊代は法律で1万900円なんですが、それじゃホテルが見つからない。会議が深夜に及ぶことも多く、できれば徒歩圏で見つけたいのですが、霞が関に近いホテルは1泊2万円超えがデフォルト。なので1万円近くは自腹ですよ。1万900円の領収書を切ってもらうときは本当に惨めになります」

 出張者の悲鳴が聞こえるなか、一般サラリーマンの間では、環境に適応したとも言えるエクストリームな方法で出張をこなす者もいる。

「最近は羽田空港の国際線ロビーがお気に入りです。会社の規定は1泊8000円ですが、これだと都内では見つかりません。同僚から『羽田は寝られる』と教えてもらい、行ってみたら確かに出発ターミナルのロビーには早朝便を待つ大勢の外国人が寝ていました。大きめの椅子で脚も伸ばせ、コンビニも喫煙室もあって快適ですよ。何より品川駅から20分ですからね。ただ、最近は噂が広まったのか、出張族っぽい人がちらほらいます」(45歳・大阪府・食品)

◆コワーキングスペース泊にカーシェア泊…奇策でしのぐ実情

 一方、コワーキングスペースで寝たこともあると言うのは北海道在住のサラリーマン(51歳・不動産)だ。

「9月の連休前で、空室が全然なかったので、新橋のコワーキングスペースで泊まりました。会員じゃないけどビジターでもいける。シャワーも使用して、朝まで6000円くらい。ソファ席だったのでけっこう眠れました。バックパッカーみたいな欧米人もけっこういましたね」

 一方で最近、知られるようになったのが「カーシェア泊」だ。夜間から早朝までの安価なパック料金で車を借り、動かさずにそのまま駐車場で寝るという方法だ。

 カーシェア各社はこうした使用方法を原則禁止しているが、同行為をする者は後を絶たない。

「都心のステーションは週末でも22時以降になるとどこもすいていて、ナイトパック(18時から翌朝9時)は2640円と安い。運営側も借りて車を動かさないのはNGだと言い始めたので、一回、近くの銭湯に行くために車を出すようにしています。それでも総額4000円くらいで済むのでリーズナブルです」(37歳・滋賀県・製造)

 大阪在住の男性(40歳・自営)も、出張の際はカーシェア泊をしているという。

「教えたくないけど、穴場は江東区の若洲公園ですね。ここは1晩停めても駐車料金が500円なんです。キャンプ場があるのでコインシャワーも設置してある。豊洲や新木場あたりで車を借りて、若洲に行く。これ一択ですね」

◆ラブホに中国人エステ、果てには野宿を敢行する人も

 穴場スポットはまだまだある。「ネット予約に対応していないラブホが狙い目です」と語るのは兵庫県在住の男性(35歳・製造)だ。

「出張時の定宿にしていた上野の古いカプセルホテルが満室だったんです。界隈にも空きがなく、途方にくれてネットで情報収集すると、鶯谷のラブホテルが穴場だと知りました。路地裏にある陰気なラブホが空いていたので、飛び込みで入りました。重い鉄の扉のカビ臭い部屋だったのですが5000円台だったので満足です。ただ夜中、足元に違和感を覚えて起きたら、シーツがびっしょり濡れていたんです。いまだに謎なのですが、妻に言ったら『それ絶対、幽霊やろ』って(笑)」

 強引な手口で寝床を確保するつわものも。愛知県在住の男性(46歳・食品)は言う。

「中国人エステで仮眠させてもらうと、3000円で済みますよ。一度、地元で終電を逃したときに、客引きと交渉してヌキなしの仮眠だけさせてもらったことがあるんですが、この手が東京でも使えるだろうと思って。新橋で中国人のおねえちゃんに下手な中国語で悲壮感を醸してお願いしてみたら案の定、OKでした。パーティションしかない簡易ベッドで、隣で施術されてる知らないオッサンの『あっ』とか『ウッ』とかいう声は気になりましたが……」

 そして最後に紹介するのは究極の方法=野宿だ。

「ビジホは高すぎるし、SNSを見てると安い漫喫やサウナはトコジラミのリスクがあって怖いでしょう。それでもう野宿したんです。六本木で飲んだあと、スマホで調べて出てきた近くの有栖川宮公園で寝ました。9月でまだ猛暑だったけど、公園内は意外とひんやりしてて5時間くらい眠れましたよ。その後、多目的トイレで体を拭いて歯磨きし、打ち合わせ先に向かいました。蚊がめちゃいたのでコンビニで虫除けスプレーを買ったんですが、これが1000円もして地味に痛かったです」(28歳・大阪府・流通)

◆土地勘がない人はどうホテルを探す?

 これら出張族の悲哀は、環境の変化に対応した新たな宿泊の態様だと言っていいのだろうか。橋賀氏にホテル探しの妙技を聞いてみた。

「都心から離れたところが安いといいますが、出張前から離れたところに泊まりたいと思う人はいませんし、探すのも面倒くさい。ホテル予約サイトはエリアを選ばないと候補が出てこないので、土地勘がない人は探しにくい。そこで私がおすすめするのはグーグルマップ。『ホテル』のタブから宿泊日や予算を設定すると、条件に合ったホテルだけが表示されます。マップ上でエリアを簡単に変えられて、宿泊料金の最安値が表示されるので便利です」

 年末に向けてホテル代の一層の高騰が予想される。出張族にとっても、忘年会で終電を逃した首都圏のサラリーマンにとっても、しばらく辛い日々が続きそうだ。

◆出張族におすすめ! 穴場宿泊エリア10選

 宿泊費高騰でホテル難民が増えるなか、リーズナブルに泊まれる街は首都圏にあるのか。

 SPA!編集部は、出張サラリーマンの証言やホテル予約サイトの価格から、平日でも比較的安価に泊まれるビジホやカプセルホテルが集まる主要駅を調査してみた。

 文中で橋賀氏が紹介したグーグルマップを使う方法と併せて、コスパのいいビジホを探してみよう!

東京

赤羽駅
新宿駅まで15分程度、東京駅からも20分程度とアクセスもよし。周辺には居酒屋も多く飲食には困らない。5000円前後のカプセルホテルから8000円前後のビジホ多し

蒲田駅
東京駅からは20分、品川駅からは10分。羽田空港へのアクセスもよし。概ね8000〜1万円強のビジネスホテルが豊富だが、連休前などは予約困難になることも

町田駅
新宿から電車で約30分。6000〜8000円前後で泊まれるビジホが少なくない。町田駅はラーメン激戦区としても知られており、出張ついでに足を延ばすのもありかも!?

神奈川

川崎駅
東京駅からJRで20分前後。品川駅からなら10〜15分。京急も使用でき、羽田空港までも15分程度。ホテルはJR〜京急川崎駅の間に豊富にあり、概ね5000〜9000円程度

伊勢佐木長者町駅
東京駅や渋谷駅からは横浜駅での地下鉄乗り換えで40分程度。人気の桜木町エリアを少し外れたエリアなので、宿泊費もコスパがよい。5000円台のカプセルホテルなどもある

新横浜駅
新幹線の停車駅だが、地元の人以外はあまり乗り降りする人は多くないせいか、ビジホでは6000円台の部屋も平日はけっこう空きがある状態だ。新幹線なら品川まで10分だ

埼玉

西川口駅
京浜東北線で東京駅まで33分。もともと歓楽街なので男性出張族も遅くまで楽しめる。本格中華が楽しめる街としても人気。ホテルは駅近でも6000〜8000円前後となっている

熊谷駅
JR上野東京ラインで上野まで1時間強。5000〜7000円台で確実に泊まれる。ただし、周辺には何もないので飲食は都内で済ませてくるほうが無難かもしれない

松戸駅
JR上野東京ラインで東京駅(30分)・品川駅(40分)まで直通。3000円台のカプセルホテルなどもある。隣駅の東松戸や北松戸にも安いビジホがいくつかあるので狙い目

千葉

船橋駅
東京駅までJRで25分。京成船橋駅もあり、両駅の間にビジホが多数ある。さらに隣駅の西船橋にもホテルがいくつかあり、同エリアでは比較的安価に宿泊できる

取材・文/週刊SPA!編集部、写真/ピクスタ Dreamstime

―[[東京ホテル難民]の惨状]―

このニュースに関するつぶやき

  • 千葉や埼玉のビジネスホテルにとまれば、そこまで高くないよ。郊外の住宅地駅前ビジネスホテルは空室がいっぱい。
    • イイネ!1
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