デスクトップPCこそ「Thunderbolt 4」が便利 実は導入ハードル低く、ケーブル類がスッキリ

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2025年01月06日 17:31  ITmedia PC USER

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デスクトップPCでもThunderbolt 4を導入すれば、ケーブルをまとめられる

 最大40Gbpsのデータ転送速度を持つ規格「Thunderbolt 4」は、ドッキングステーションとの接続や給電、映像転送といった用途が多いことから、ノートPCで活用される印象が強い。


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 一方で、デスクトップPCでは「あらかじめThunderbolt 4に対応したマザーボードを用意する必要がある」という先入観から、Thunderbolt 4に対応したハイエンド製品を選択した人しか恩恵が得られないと思いがちだ。しかし、実はデスクトップPCにこそ、Thunderbolt 4がもたらす恩恵は大きい。


 そこで今回は、デスクトップPCにおけるThunderbolt 4の導入効果や、「実は導入ハードルが低い」ことについて紹介しよう。


●Thunderboltとは?


 まずはThunderboltとはどのような規格なのか、簡単に概要を紹介しよう。Thunderboltは、光ファイバーケーブル1本で周辺機器などを接続する「Light Peak」というIntelが提唱した規格を基に、PCと周辺機器を接続することを目的にAppleとIntelが共同開発した規格だ。


 現時点で第5世代目の「Thunderbolt 5」までがリリースされている。コネクターはThunderboltからThunderbolt 2まではMini DisplayPortで、Thunderbolt 3からThunderbolt 5はUSB Type-Cが採用されている。


 もともと、主にApple製品で採用されていた「FireWire」の後継ということ、そしてコネクターが当初はMini DisplayPortだったということもあって、Mac向けのインタフェースというイメージが強かった。しかし、コネクターがUSB Type-Cに変わったThunderbolt 3からは、Windowsでも搭載製品が増えてきたこともあり、Thunderboltの存在感が徐々に増してきた。


 Windowsでも採用製品が増えたThunderbolt 3からThunderbolt 4は、最大40Gbpsの転送速度を実現している。1本のケーブルを接続するだけで、周辺機器を1つにまとめるだけでなく、映像出力まで行えるという大きな特徴を持つ。


 そして最新のThunderbolt 5は転送速度が最大80Gbps(非同期通信時は最大120Gbps)と、Thunderbolt 4と比較して大幅な性能向上が見られる。ただし、Thunderbolt 5は対応機種や周辺機器がまだ少ない。本記事では比較的安価に環境が構築できるThunderbolt 4の導入を基に取り上げたい。


●デスクトップPCでThunderboltを導入するメリット


 Thunderboltについて軽く紹介したところで、ここからはデスクトップPCでもThunderboltを導入するメリットに触れていこう。


 デスクトップPCを利用されている方は、PC本体をどこに設置しているだろうか。“ゲーミングデスクトップPCなど、“魅せる”重視の方はさておき、大多数はデスクの下など、手元から少し離れた場所に設置しているのではないだろうか。


 ノートPCと比べると、おのずと接続する周辺機器も多い。するとデスクトップPCから伸びる各種ケーブルも多くなり、結果として配線が非常に煩雑となってくる場合もある。


 恥を忍んで、参考までに筆者がThunderbolt環境を構築する前のデスク周辺の写真を掲載してみる。ディスプレイ奥に見えるケーブルが非常に煩雑な状態となっていることが分かる。


 筆者の環境は「ディスプレイの裏にほとんどのケーブルが隠れればいい」という考えで雑に配線したので、他の方はもっとマシかもしれない。とはいえ、ケーブルの配線が複雑になるのは変わりないだろう。


 ケーブルの配線以外の観点では、PCのメンテナンスなどで配線を外す際に、どれがどの機器に接続しているかが分かりづらく、いちいちケーブルをたどる必要があり面倒くさい。


 こうした場合、Thunderboltに対応したドッキングステーションを利用してPCから伸びるケーブルが1本で済めば、配線がシンプルになるし、PCのメンテナンスなどで配線を外す際も、ケーブル1本をつなげるだけで良いので、デスクトップPCにThunderboltを導入することは非常に大きなメリットがある。


 一方でデメリットといえば、Thunderboltポートを搭載したマザーボードは、通常モデルと比べて高価であることや、Thunderboltケーブル自体が他のUSBケーブルと比べると高価であること、Thunderbolt用のドッキングステーションが高価であることが挙げられる。


 ただ、筆者が実際に導入した結果としてイニシャルコストを十分に回収できるほどのメリットが得られたので、予算に余裕があるのであればぜひ導入することをオススメしたい。


●Thunderbolt 4環境を構築してみる


 それでは、筆者自身を参考事例として、WindowsデスクトップPCにThunderbolt 4環境を構築した様子をお届けしよう。


 先ほど、「Thunderboltポートを搭載したマザーボードは高価である」ということをデメリットとしてあげたが、最近のマザーボードを利用しているのであれば、Thunderbolt 4拡張カードを購入することでも対応可能だ。


 マザーボードのマニュアルに、Thunderbolt AICコネクターを備えていることが確認できれば、それぞれのメーカーから発売されているPCI Express接続のThunderbolt アドインカード(AIC)を接続すれば、PC側でThunderbolt 4環境を準備できる。まずは利用しているマザーボードのマニュアルを確認してみよう。


 続いて、Thunderbolt 4対応のドッキングステーションかハブを用意しよう。今回の目的は、USB接続の周辺機器を1つにまとめることにあるため、追加でThunderbolt 4のドッキングステーションかハブが必要となる。


 Thunderbolt 4はThunderbolt 3と後方互換があるため、予算が厳しければ、あえてThunderbolt 3対応のドッキングステーションを中古で購入するのも1つの手だ。


 また最近では、デル・テクノロジーズの「U3425WE」のようにディスプレイ本体にThunderboltハブを搭載しているモデルもあるため、場合によっては今使っているディスプレイだけで済む場合もある。


●AMD CPUを利用している方もThunderbolt 4の導入は問題なし


 Thunderbolt 4はIntelベースのPCのみにしか利用できないというイメージを持っている方もいるかもしれあいが、AMDのCPUを搭載した一部PCでも利用できる。


 Thunderbolt 4はUSB4 Gen 3x2と互換性があり、最大転送速度も40GbpsなのでIntel CPUと同じくThunderbolt 4機器やドッキングステーション、ハブの性能をフルに発揮できる。


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 ただし、USB4 Gen2 x2ケーブルを利用する場合は、最大転送速度が20Gbpsに落ち込むため、接続するケーブルの違いに注意する必要があるのでそこだけ注意したい。なお、40Gbpsに対応したケーブルは上図の通り、コネクターに「40」と記載されている。


 デスクトップPCにThunderbolt 4環境を構築するススメとして、本記事で筆者の環境をもとに紹介してきた。筆者も恥ずかしながら、Thunderbolt環境はあくまでノートPCや、Macの環境がメインだと考えていたのだが、実際に調べてみるとWindowsデスクトップPCでも、Thunderbolt環境を問題なく構築できることが分かったのは大きな収穫だった。


 イニシャルコストが少しかさむことが玉にきずだが、導入するメリットは十分にあると考えられる。もし、デスクトップPCの配線周りでお困りの方が居れば、一度Thunderbolt 4環境の構築を検討してみてはいかがだろうか。



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