受験シーズン真っ只中のタイミングで、突然、予備校が閉鎖を発表。破産申し立てを行うことを明らかにしました。受験生たちに動揺と怒りが広がっています。
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■「共通テスト」目前 受験生にとって大切な時期に…なぜ“閉鎖”?
良原安美キャスター:
「ニチガク」は、2024年12月30日まで冬期講習を行っていて、12月31日〜1月3日が冬休み、4日から再開という中で突然の“閉鎖”となりました。
大学入学共通テストも来週に控えている中で、教育アドバイザーの清水章弘さんは、「各大学への出願期間でもある大切な時期」としています。
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ホラン千秋キャスター:
受験生のみなさん、困惑や戸惑いなど気持ちへの影響もありますよね。
教育アドバイザー 清水章弘さん:
ちょうど今週は多くの私大の出願時期ということもあり、本当に受験生にとってものすごく大切な時期です。
入試のシステムもいろいろと変わってきていて、共通テストを使うのか、どの教科を使うのか…配点にも影響しますので、仕上がり状況によってどのように出願するかなど、相談しながら真剣に考えている一番デリケートな時期です。
良原キャスター:
なぜこのタイミングで“閉鎖”ということになってしまったのでしょうか。
ニチガクのHPによると、「ニチガク(日本学力振興会)」は1983年に創設され、「合格の鍵は絶対的な質と量」とうたっています。
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2023年の実績は、合格率は93.9%(第二志望まで)、東大合格も12人中9人と掲載され、卒業生や保護者からは「隠れた名門」といわれていたということです。
なぜ倒産にいたったのでしょうか。代理人弁護士によると、▼生徒数が200人から130人に減少、また、▼自習室の設置や、パソコンの用意など設備に投資をしている中、2024年から資金難に陥っていたといいます。東京商工リサーチによると、負債額は1億円に上るとみられています。
近年、予備校や学習塾の倒産が増えていて、東京商工リサーチの調査によると、2024年は53件(速報値)と過去最多となっています。
教育アドバイザーの清水さんは、こうした背景に、▼少子化、▼学習塾の多様化があるとみています。コロナ禍を経て、無料のオンライン学習も増えていて、競争が一層激化しているということです。
井上貴博キャスター:
生徒の奪い合いというのは想像がつきますが、今回のケースのような、パソコンの導入や自習室の整備に投資をしたため行き詰まるということは考えられますか。
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教育アドバイザー 清水さん:
理屈としては通ると思います。授業をたくさんすると人件費がかかってしまうので、動画を導入して、広い自習室で動画を視聴して、わからない点を質問するというシステムが今の学習塾のトレンドとなりつつあります。(ニチガクも)そういったシステムへの変更を目指したのかなと想像できます。
井上貴博キャスター:
オンラインでの無料サービスが増えていて、学習塾としての戦い方も変わり、厳しさはあるのだろうと思います。
「食べチョク」代表 秋元里奈さん:
資金調達を含めて、経営力がなかったということに尽きるのかなと感じます。ただ、生徒側から学習塾の経営状況は見えませんし、これだけ長い歴史と実績があるところだと安心して、前払いで払う人も多いと思います。見極めは難しいでしょうね。
■「お金がないのかな」利用者が感じた“予兆” 弁護士に相談後も「生徒募集」か
良原キャスター:
破産の予兆はなかったのでしょうか。
ニチガクの代理人弁護士によると、「資金繰りの悪化に逆らえず、去年10月頃に、我々に連絡が来た」ということです。
一方、ニチガクは10月、ホームページで新たに生徒を募集、12月に「250万円を一括で払った」という高校2年生の生徒もいます。
一方で、異変を感じていた生徒もいるということで
高校2年生の利用者
「エアコンの効きが悪くて、何回も直してくれませんかと言っても直していなかったので、お金がないのかなって思っていた」
高校3年生の利用者
「入ったときと比べて1週間の授業のコマ数が半分ぐらいなっているんじゃないかな」
■専門家「一つのソースからの判断避けて」 見極めどうすれば?
井上キャスター:
これまでも成人式のレンタル着物や美容サービスなどでも、「一括払い」を検討する場合は、倒産のリスクを踏まえないといけないといわれてきましたが、学習塾に関しては、利用者からすれば、どうしようもできないのではないでしょうか。
教育アドバイザー 清水さん:
さすがに保護者も想定していないでしょう。
一括払いという支払い方法は一般的ではありますが、背景には、講師と1年間で契約することが多いため、人件費の確保や講師の囲い込みという意味合いがあります。
それは講師を守るための仕組みなので、講師にも(閉鎖が)伝わっていない、(賃金が)未払いとなっていた場合は話が変わってくると思います。
井上キャスター:
利用者はどのように見極めれば良いのでしょうか。
教育アドバイザー 清水さん:
一つのソースから判断するのは避けた方がいいと思います。
例えば、ランキングサイトなどでもランキングをお金で買える場合もあったり、口コミサイトでも不安な点があったりします。
合格実績についても、ニチガクは東大合格が12人中9人と書いていますが、ニチガク内部の講師も「疑問を持っている」と話していました。内部の人であっても真偽が分からないようなので、合格実績だけで判断するのは難しいと思います。
「食べチョク」代表 秋元里奈さん:
新しいところであれば比較的分かりやすいかもしれませんが、歴史の長いところはより一層(判断が)難しいのかなと思います。
前社長が資金調達をしていたため、現社長も知らなかったという情報もあります。経営体制のガバナンスのようなところも問題点だったのかなと思います。
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<プロフィール>
教育アドバイザー 清水章弘さん
東大在学中に“勉強のやり方”を教える塾起業
学習法に関する著書多数 2児の父 36歳
秋元里奈さん
オンライン直売所「食べチョク」代表 33歳
神奈川の農家に生まれる