三菱UFJ銀行の元支店長代理 貸金庫から窃盗、どんな方法で盗んだ? 新たにわかった手口とは【Nスタ解説】

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2025年01月15日 20:50  TBS NEWS DIG

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TBS NEWS DIG

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三菱UFJ銀行の元支店長代理の女が貸金庫から金塊を盗んだとして逮捕された事件。女は借金の返済に困って盗みを始めたということですが、民事再生法の適用を申請した後にも投資や競馬を再開していたことがわかりました。

【写真を見る】新たに分かった手口とは

■貸金庫から金塊盗み元行員逮捕、一般職→総合職「周りからの信頼が厚かったか」

高柳光希キャスター:
貸金庫から金塊を盗んだとして捕されたのは、三菱UFJ銀行の元行員・今村由香理容疑者(46)です。

今村容疑者の経歴は
▼1999年 一般職として入行→その後、総合職に
▼営業課長 支店長代理など歴任

この経歴について、元メガバンク支店長の菅井敏之さんによると「一般職から総合職になったのはかなり異例と言える。優秀で、周囲からの信頼が厚かったことが考えられる」としています。

■貸金庫に何を預ける? 年間利用客は約13万人

貸金庫には、▼預金通帳▼契約証書▼貴金属・宝石▼株券などを預けることができます。

三菱UFJ銀行の場合、年間使用料が約2万2000円(6.2cm×27.7cm×49.3cm)、利用客は年間で約13万人います。

元メガバンク支店長の菅井さんによると「貸金庫の中身をそもそも銀行員は確認しない」としています。

井上貴博キャスター:
中小零細の企業であったとしても、経理担当は権限を1人に集中させず、複数のチェック機能を働かせるという事は当然ですが、日本有数のメガバンクで、1人が全てを管理してしまっている甘い状況だったんだと考えると他の銀行は大丈夫か、いろいろ考えてしまいますね。

萩谷麻衣子弁護士:
当然、心配になりますよね。私も衝撃的だったと同時に、実は「やっぱりな」と思うところもあります。

弁護士という職業柄、人から預かり物があり、貸し金庫を借りることがあります。中には後見人をしていると、金塊や高い貴金属などを預かって、貸金庫にいれることもあります。

貸金庫を作った時に、合鍵を銀行に預けて封印されますが、行員が横領した事件も過去にありましたよね。これを勝手に使われたら、中身は自分しか知らないし、どうにも立証できないし、本当に大丈夫か一抹の心配はありました。

ただ、銀行だから信用して預けるしかない。それを裏切られるのは、銀行の管理体制を厳しく問われるべきだと思いますね。

井上キャスター:
入退室の管理とか防犯カメラとか、当然あるものだと…

萩谷弁護士:
入退室するときは防犯カメラがあると思います。銀行によって違うと思いますが、内部の作業する所にも防犯カメラがあると思います。ただ、中に何を入れてるか確認できる直接の防犯カメラはないところが多いと思います。

■貸金庫からどんな方法で盗んだ?

高柳キャスター:
では、今村容疑者がどのように盗んだのか、手口をみていきます。

貸金庫の鍵は、顧客がなくした場合などに備えて、支店で顧客用のスペアキーを保管しています。顧客用のスペアキーは、封筒に入れて顧客と管理者が割り印をして保管をしています。

今村容疑者は貸金庫の管理責任を担う立場でした。

手口としては、
▼スペアキーを使用後に封筒に戻して再度のり付けをしていた
▼他の顧客の金庫から現金を一時的に補填

元メガバンク支店長の菅井さんによると「管理する側のトップで割り印を細かくチェックする体制がないことを把握していたので、できたのではないか」「鍵の管理者だったので、全ての金庫の中身を確認した上で計画的に犯行に及んだ可能性が高い」としています。

井上キャスター:
あれだけ規模が大きい銀行で、1人でということですよね。

萩谷弁護士:
ありえないですよね。封筒を開けて戻したら、開けているのがわかるはずです。それを4年半に渡りチェックせず、2つの支店で気づかれずにやっていたというのは、管理体制が甘すぎです。

ホラン千秋キャスター:
(貸金庫を借りている人が)鍵をなくさないとも限らないので、そうなってしまった時に開けられるように、銀行側もどういう管理をしていくかというところですね。

萩谷弁護士:
安心できる管理体制を作っていただかないと、預けることが難しくなりますよね。

高柳キャスター:
さらに、発覚を遅らせるために、どの金庫にいくら入っていたのか、金庫内をスマホで撮影していたということです。

元メガバンク支店長の菅井さんによると「顧客が銀行を訪れた際、中身を補填するために撮影していたのではないか」としています。

また、貸金庫のシステムを切って故障を装う手法で発覚を回避していました。
菅井さんは「システム管理もしていたので、うまく立ち振る舞う事ができたのではないか。本来、信頼されるべき銀行の立場を逆手に取った考えられない犯行」と話しています。

今後の焦点について、弁護士の萩谷さんは「貸金庫に入っていた物が何なのかを知っているのは、利用者と容疑者しかいない。被害を特定することはかなり難航するのではないか」ということです。

■貸金庫で窃盗… 自衛策は?

井上キャスター:
時間がかかるでしょうね。

萩谷弁護士:
ただ、自分のカメラで何をとった・どこにあったかなどを撮影しているので、かなりの証拠になると思います。

今回の逮捕にこぎつけられたのも、質屋に入れていて、その質屋で特定できたので、逮捕容疑として特定できたと思います。全てがそうできるわけではないので、被害の立証が難航すると思います。

井上キャスター:
あとは、銀行が再発防止策をどうするかです。

スペアキーも相当な数があったと思いますが、それをデジタル化できないでしょうし、トリプルチェックなどができれば良いのですが、今は人手不足なので、それも難しいのでは。どういう体制を構築するか難しいですよね。

萩谷弁護士:
自分の防止策として、貸金庫中に物をそのまま丸ごと入れない。自分で封印して、誰かが開けたらわかるようにして入れておけば、次に貸金庫に行ったときに開けられたことがわかる可能性があるし、自分で写真を撮っておくとか、自衛もしなくてはいけないと思いました。

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<プロフィール>
萩谷麻衣子 さん
弁護士
結婚・遺産相続などの一般民事や、企業法務を数多く担当

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