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農林水産省が発表する「食品価格動向調査」では1月13日週のキャベツの全国店頭平均価格は1kgあたり553円。1玉に換算すると664円と、平年の約3.4倍にものぼる。都内のあるスーパーでは「キャベツ1玉980円」という価格表示もーーー。
「このキャベツの高値は異常ですね。当店では380円で販売していますが、お店側が赤字覚悟で努力しても高値が続いているという状況です」
こう語るのは、スーパーアキダイ社長の秋葉弘道さん。キャベツといえば、食卓に欠かせない野菜で、節約食材の代表だが……。なぜここまで異常に高騰してしまったのだろうか。
「2024年は夏の始まりが非常に早かった分、夏から秋に出回る高原キャベツの生育がよく、適正価格を維持していました。しかし市場に出回るのが早かったために、10月頭には収穫が終了してしまいます。
通常はこの高原キャベツに代わり、秋の終わりごろから冬キャベツが出てきますが、こちらは9月の高温で不作に。少し後に出回る別の産地のキャベツの芽まで枯らしてしまいました。これらの理由から10月以降のキャベツ供給量が激減したのです」(秋葉さん、以下同)
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キャベツは植え付けから2〜3カ月ほどで育つ。秋に不作でも、冬には育ってくることが多いというが……。
「暑さが落ち着き、一度は出荷量が回復したのですが、12月に入ると今度は雨がまったく降らず、キャベツの生育にさらに大打撃。ここまでの高騰は、誰も予測していなかったですね」
ここに年末年始の外食需要、インバウンド需要を受け、加工野菜の売上も一気に伸びたことから、1月は深刻なキャベツ不足に。近年まれにみる“異常事態”となったのだ。
■キャベツの代用には“アブラナ科”の野菜を活用して
もはや高級食材となり、気軽に買えなくなってしまったキャベツ。この異常事態を、キャベツ以外の野菜を買って乗り切るのも一案だ。
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今年はキャベツ以外の野菜の価格も平年より高騰しているものが多い。今比較的買いやすい価格の野菜は「小松菜」「ほうれん草」といった葉物や、「れんこん」だと秋葉さんは話す。
また、野菜の事情に詳しい野菜ソムリエプロの安部加代子さんは、キャベツの代用になる野菜に関して次のように教えてくれた。
「キャベツに食感や味わいが似た野菜を選んだり、調理方法をひと工夫するとよいでしょう。キャベツと同じアブラナ科の野菜を選ぶと、おいしく代用できますよ」
秋葉さんと安部さんへの取材をもとに、キャベツの代用野菜としておすすめの野菜をまとめた。
調理法別に、おいしく食べる方法やコツも紹介しているので「キャベツが高くてお好み焼きを諦めた」という人も、ぜひチェックしてほしい。
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「この表の中でアブラナ科に属するものは『カリフラワー』『白菜』『小松菜』『ブロッコリー』『水菜』『カットキャベツ』『千切りキャベツ』です」(安部さん、以下同)
ほうれん草と豆苗、れんこんはアブラナ科ではないものの、歯ごたえを楽しめる、火が通りやすいなどのメリットがある。また、価格が平年並みの食材も多く、家計に優しい。
「特におすすめなのは『豆苗』です。緑黄色野菜で栄養価がとても高く、さっと加熱しても煮込んでも食感が変わらず楽しめるので、鍋にもってこいの食材。かさ増しができたり、根を水につけておけば繰り返し収穫できる点も優秀です」
とはいえ、この高値が一体いつまで続くのかは気になるところ。
「お正月や連休の外食需要がようやく落ち着くことで、今ほどの高値は終わりを告げると思います」(秋葉さん、以下同)
秋葉さんは、1月末にかけて価格が下がっていくと予測する。
「価格はゆるやかに下降し1玉298円程度までは下がると予想します。しかし、それでも平年の倍の価格。1玉100〜150円という平年並みの価格に戻ることはないでしょうね。
また、2月から3月は毎年キャベツの価格が上がる時期。一度下がりかけた価格が、2月になってまた上がり、しばらく“高止まり”となる可能性もあります」
今が高値のピークとされるキャベツだが、残念ながら、気軽に買える価格になるには時間がかかりそうだ。ほかの野菜も活用しながら、家計のピンチを乗り切ろう。
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