54歳女性が実現したマイホームの動画がInstagramで話題に。誰もが一度は憧れる自分のこだわりが詰まった、おしゃれな我が家での生活。“老後”が見えてくる年齢で家を建てる決意や内装で重視したことなどを取材しました。
投稿主のTajiさん(@2nd613)は、新居の引き渡しから3カ月後、「この暮らしにも慣れてきてきました。音楽を聴いたり、花を飾ったり、知人が来たり、を楽しんでいます」と充実した暮らしについて綴った言葉とともに動画を公開。映っていたのは、白を基調としたシンプルで、スタイリッシュな自宅内部です。
「素敵な空間!憧れます」「オシャレで居心地が良さそう〜」「すごく素敵です 洗練されたデザインと癒しの家具 私も住みたいです」「勇気出ました。素敵!」「この時間にたどり着くまでいろいろおありだったのかなぁと思いました。今の時間を楽しんでください。お幸せに!」と、夢を叶えたことを讃え、祝福する声などが寄せられました。
母親と実家暮らしでしたが…
これまで母親と実家で暮らしていたTajiさんは、東海地方で美容サロンを経営。そろそろ年齢的にローンが通りづらくなるからと、3年前、リフォームの見積もりを取ったところ、家一軒建つほどの高額だったことに衝撃を受けます。
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「そんなにかかるなら」と、2022年10月、実家の敷地内に18坪・2階建ての小さなマイホームを建てることを計画。
マンション購入についても検討したそうで、「一度見学には行きました。駅の近くなどを購入して、ローン支払いが済んだ後、最終的に売却できることがメリットだと思いました。しかし、老後の家として購入し、売却するタイミングを考えると85歳以降となるためやめました」。
そこで、「老後をおしゃれに楽しく迎えられる家にしたい」を目標に据え、照明や内装などのデザイン性とともに、高気密・高断熱といった機能性を追求。一方、予算や面積を抑えるために、洗面所や、シューズクロークを設置せず、シンプルな設計に。また、全館空調24時間換気にしたため、網戸も取り付けていません。
「綺麗な家で過ごす事は夢見ていました」
「そもそも母がいたので、自分だけの家は建てられると思いつきもしていませんでした。ただ、綺麗な家で過ごす事は夢見ていました。母は掃除が苦手で、特にお風呂やトイレ、キッチンなど水場の状態がとても汚く、10年位であっという間に買い替えなければいけなくなるくらい汚れてしまいます。子供の頃、若くして亡くなった父が、怒っていました」
そんな母親のことが気がかりで、離れて暮らすのは考えづらく、「最終的に母の介護や看取りを考えると、住まいが遠くなるのは自分が大変になるというところと、そもそも母屋の立っている敷地が比較的広く小さな家なら建てられると思いました」と、動き始めました。
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工務店を選ぶ際に重視したのは?
家を建てるにあたって、最初に着手したのはお金に関すること。「サロン経営をしているということもあり、銀行の担当者と相談し、どのぐらいの予算で行くかというのを計算しました」。それと同時に、家のイメージをはじめのうちに明確化。
「『どういう家を建てたいか?』『どう過ごしていきたいか?』をまず考えました。そこで私が大切にしたいと思ったのが、『老後に過ごす家』『おしゃれに暮らしたい』この2点でした。
『老後に過ごす家』というのは『暑くなく、寒くない』などの心地よさも含むようです。母屋が大きくてほとんど日が入りません。そのせいですごく寒いのです。なので冬にどの場所に行っても暖かい家が良かったのです」
それを実現するために、「おしゃれに暮らすのは、自分のセンスでなんとでもできるところですが、家の機能性は選んだ工務店さんで決まってしまいます。何軒も回って、高気密高断熱にこだわった工務店さんを選びました」。
ajiさんが依頼したのは全棟気密測定を実施する工務店。測定の結果、建物の気密性(建物全体にある隙間の面積)を示すC値は0.25(名刺一枚分の隙間)でした。一般的には1.0以下で高気密住宅だとされています。
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「高性能な家は普通の家よりもプラス100万ほどかかりました」と、Tajiさん。また、デザイン性の高い照明を購入したため、お風呂やトイレは安いものを設置することに。さらに、実際に過ごしてみると、全館空調は室内が乾燥しすぎるのが難点で、加湿器が欠かせないそうです。
2024年に無事完成して、9月に入居。家を建てる大変さについて「本当にお金がかかってしまうので、老後の資金が減ってしまいます」と話す一方で、「気分良く暮らせる空間があると、その後なるべくお金を使わないように楽しく過ごすこともできそうです」と前向きな姿が印象的でした。
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マイホームを実現したTajiさんは、希望の持てない未来だったのが嘘のようだと振り返り、「40代から50代の女性っていろいろなものを我慢している人が多いように思います。親の介護なども見えてきて、自分だけの空間が欲しい。自分だけの空間を作るという意味では、本当に有意義で気持ちが良いものでした」と話してくれました。
新居での収納や掃除の方法など、もっと快適に過ごすための試行錯誤はこれからも続きます。Tajiさんは入居までの歩みとともに、日々の暮らしや改善の様子についての発信「53歳からのシンプルモダンな暮らし」を、InstagramやThreadsで公開しています。
(まいどなニュース/Lmaga.jpニュース特約・谷町 邦子)