「ペコちゃんmilkyドーナツ」人気の理由は? 計画比2倍の売上を引き出す“ミルキー”の力

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2025年01月27日 06:31  ITmedia ビジネスオンライン

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「ミルキー」を再現したドーナツが登場!

 不二家(東京都文京区)が2024年9月に1号店をオープンした新業態のドーナツ専門店「ペコちゃんmilkyドーナツ」が好調だ。


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 主力商品は、ロングセラー「ミルキー」のミルク風味をイメージした素朴な味わいのドーナツで、ソフトクリームやドリンクも提供する。主にフードコートに出店しており、イートインとテークアウトができる。


 1号店は、海老名駅前にあるショッピングモール「ビナウォーク海老名」にあり、開業から12月までの売り上げは計画比の約2倍となった。2025年1月15日には、ショッピングモール「有明ガーデン」に2号店がオープンしている。


 新業態の狙いや反響を洋菓子事業本部 管理・業務部兼、店舗オペレーション部 部長 金田剛氏に聞いた。


●ミルキーをイメージした「素朴なドーナツ」


 カカオ豆などの原材料高騰により、洋菓子店は苦境に立たされている。帝国データバンクによると、2024年の洋菓子店の倒産数(1〜11月で42件)は過去最多に迫るペースで推移している。そんななか、不二家ではフードコート向けの新業態としてドーナツ専門店「ペコちゃんmilkyドーナツ」をオープン。2025年から本格的に展開するという。


 「当社の洋菓子店では、創業当初から『ソフトドーナツ』を販売しており、幅広い層から人気を得ています。現在は生産能力の都合で毎週金曜のみ、エリアや店舗を限定した販売ですが、金曜はドーナツ目当てで来店される方もいます。こうしたロングセラー商品があることと近年のドーナツブームに着目して、新業態を開発しました」


 同ブランドの看板商品は、ロングセラー商品「ミルキー」のミルク風味をイメージした「milkyドーナツ」。すべてのドーナツ生地とクリームにミルキーに使用している北海道産の練乳を使用して、ミルキー風味を表現している。揚げ油には米油を使用し、ソフトで口どけの良い食感に仕上げた。


 ラインアップは、プレーン、いちご、チョコレート(各165円)、中にミルキークリームを詰めた「milkyクリームドーナツ」(187円)、濃厚な味わいに仕上げたイートイン限定の「milkyドーナツソフト」(330円)など。季節限定のフレーバーやクリスマスやバレンタインなどイベント限定商品も用意している。


 ドーナツ以外のメニューとして、「のむmilky(ホット、アイス)」(各400円)と「プレミアムmilkyソフトクリーム」(カップ400円、コーン450円)なども提供している。ドーナツを主力としつつ、ソフトクリームを第2の柱として成長させていく考えだ。


●テークアウトが約7割、高い回転率がメリット


 ペコちゃんmilkyドーナツは、ターゲットを家族連れと10〜20代の若年層に定め、商業施設のフードコートを中心に出店していく計画だ。1号店を構えたビナウォーク海老名は、ターゲット層の来店が期待できる施設であり、施設側と意向が合致したことから出店にいたったという。


 「幅広い世代から親しまれているキャラクターの『ペコちゃん』と、お子さんや若年層のファンが多い『ミルキー』を強みにしたいと考え、家族連れと若年層をターゲットに据えました。話題づくりという観点でも、発信力の高い若年層の支持を獲得したい思いがあります」


 ミスタードーナツのように各店舗で製造する“手づくり”をウリにするのではなく、店頭ではオペレーション効率を重視し、できあがった商品を販売する営業スタイルだ。今年で75周年を迎えるペコちゃんのキャラクターや人気商品のミルキーを武器に、不二家ならではのドーナツを打ち出していく。


 1号店のオープンから約4カ月が経過した現在の状況を尋ねると、「想定以上にテークアウトが多く、好評を得ている」そうだ。


 「家族連れからシニア層まで来店いただき、売上構成比はテークアウトが約7割、イートインが約3割です。その場で食べておいしかったからと、お土産としても買っていく方が比較的多く、狙った流れが作れてきています。特に人気が高いのは、『milkyドーナツ(プレーン)』と『milkyクリームドーナツ』です」


 開業から2024年12月までの売り上げは、計画比の約2倍で推移しており、週末は終日混雑している状態だという。圧倒的にドーナツのほうが売れているが、ソフトクリームの味わいも好評を得ている。ペコちゃんが描かれたテークアウト用のボックスや、「ペコちゃんmilkyドーナツアクリルチャーム」 (550円)も「かわいい」と高評価だという。


 洋菓子店と比較して、回転率が高いメリットも見えている。商品ラインアップが少ないために顧客が選ぶ時間が短く、ケーキを箱に入れる作業よりも包装にかける時間を短縮できるためだ。


●2025年から本格展開、全国的な出店を目指す


 1号店の出店から約4カ月後の2025年1月15日、2号店が有明ガーデン内にオープンした。2号店が入るフードコート「ARIAKE FOOD STAGE(アリアケ フード ステージ)」には、フードコート初出店の「ドミノ・ピザ」や豊洲市場の老舗海鮮丼専門店「大江戸」の新業態「OEDO ARIAKE STYLE(オオエド アリアケ スタイル)」など、話題の店舗が多く出店している。


 ペコちゃんmilkyドーナツも、東京初出店ということで注目を集めているようだ。1号店よりも広々した店構えで、店舗内に専用の座席が設けられている。オープンして間もないが、1号店同様に多くの来客があり、好評を得ているという。


 今後は全国展開を目指し、将来的にはフランチャイズも視野に入れている。加えて、駅ナカや百貨店などの催事コーナーに期間限定の出店も増やしていく。すでに、東京駅近くの東京ギフトパレットと大阪駅直結の商業施設「ルクア大阪」での出店実績がある。


 今後の成長戦略を尋ねると、「購入目的に合わせた商品展開」をあげた。


 「当社が長年培ってきたケーキ販売ですと、クリスマスや誕生日などイベント時に購入されることが多いのですが、ドーナツはどちらかというと日常的に食べられている商品です。イベント時には限定商品を発売していますが、ケーキとは購入目的や買われ方が異なるかもしれません。需要を見ながら商品展開や運営を工夫する必要がありそうです」


 昨今のドーナツブームについては、「当面は同じような状況が続くのではないか」と見ている。自社の洋菓子店で長く親しまれている実績から、ブームに左右されるのではなく、新業態のドーナツも継続的な人気獲得を狙う。全社の成長戦略としては、ドーナツや飲料水などの新規事業に加え、海外展開も加速させていく方針だ。


(小林香織)



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  • 不二家、お前もか。日本人を生活習慣病にさせて薬でも売るのか?
    • イイネ!2
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