大阪府摂津市が、市内の小学校に入学する全ての新1年生にオリジナルランドセルの無料配布を始めてから今年度で半世紀を迎えた。家計負担の軽減が狙いだが、市は50年の節目を機に、初めてデザインを一新し、ランドセルの容量を増やすなどの工夫を凝らした。
一般社団法人「日本鞄協会ランドセル工業会」(東京都台東区)によると、昨年春に入学した新1年生のランドセル購入額は平均5万9138円だった。物価高騰が続く中、ランドセル購入による家計負担は重いとの声が相次いでおり、同様の取り組みを始めた自治体もある。
長野県駒ケ根市は2022年度から、アウトドア用品メーカー「モンベル」の通学用バックパックの無料配布を始めた。保護者からは「軽くてデザインが良い」と好評という。
1974年度の配布開始から半世紀となる摂津市では、事前アンケートの結果を基に、初めてデザインをリニューアル。容量を5リットル増の15リットルにしたほか、色はアンケートで男女ともに人気だった黒に統一し、肩への負担を減らすため肩紐の形状にも工夫を凝らした。
摂津市立味生小で23日にあった入学説明会では、4月に入学する新1年生の保護者にランドセルが配られた。同小出身の会社員山高春菜さんは「デザインがシンプルで良い。子どもが気に入ってくれれば」と笑顔で話した。市の担当者は「50年続けている自治体は珍しいと思う。可能な限り続けたい」と話した。