昨今は橋が架けられて車で渡れる島も多くなりましたが、船でしか行けない離島に行くと、船を降りた瞬間から旅の醍醐味でもある非日常を感じることができます。
今回は島巡りをライフワークの1つにしている筆者が自信を持っておすすめする離島を5カ所選んでご紹介します。
1. 小値賀島(おぢかじま、長崎県)
小値賀島(おぢかじま)は、有人島を一番多く抱える長崎県にある五島列島の島。コンパクトな島ですが、手つかずの自然が島内各地に残っています。
白い鳥居の向こうに青い海と空が広がる絶景を望めるスポットや、世界遺産に選ばれた教会がある野崎島を望むスポットなど、フォトジェニックな島でもあります。
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佐世保港から上五島の島々をつなぐ九州商船の高速船で1時間半。フェリーで3時間。または博多港から五島列島を結ぶフェリー太古に乗船して5時間で小値賀島へ行くことができます(ただし到着は早朝)。
2. 大久野島(おおくのしま、広島県)
大久野島(おおくのしま)は、多島美で知られる瀬戸内海の芸予諸島にある島。第2次世界大戦時には、毒ガス製造工場が置かれた悲しい歴史を持つ島でもあります。
島には野ウサギが多数生息していて、島内を歩くといたるところで野ウサギと触れ合えます。周囲の島々と海が織りなす風景も美しく、宿泊施設もあるので、時間を忘れてゆっくりと過ごせます。
<アクセス>
忠海(ただのうみ)港と大三島を結ぶ大三島フェリーが大久野島に寄港します。コンパクトでフラットな島なので、徒歩ないしはレンタサイクルで回れます。
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3. 礼文島(れぶんとう、北海道)
礼文島(れぶんとう)は、北海道のてっぺん、稚内(わっかない)の西に位置する日本最北の有人島。短い夏には、ここでしか見られないレブンアツモリソウを含めた数々の高山植物が平地で見られることから、隣の利尻島と共に「花の浮島」と呼ばれたりもします。
花だけでなく、桃岩、猫岩などの奇岩が立ち並ぶ西海岸や最果て(さいはて)感たっぷりのスコトン岬や澄海岬(すかいみさき)など絶景も盛りだくさん。ウニなどの海産物も豊富でグルメも楽しめますよ。
<アクセス>
稚内港からハートランドフェリーで1時間半、香深(かふか)港へ。島内を巡るには路線バスもありますが、本数が少ないので定期観光バスやレンタカーなどで回るのがベターです。
4. 西表島・由布島(いりおもてじま・ゆぶじま、沖縄県)
西表島(いりおもてじま)は、沖縄・八重山諸島に属する島。沖縄では2番目に大きな島で、特別天然記念物であるイリオモテヤマネコが暮らすことでも知られている自然豊かな島です。
島のほとんどはジャングルで覆われていて、マングローブの林の中を流れる川をボートでさかのぼり、上流にあるカンピレーの滝やマリユドゥの滝を見るなど体験型のアクティビティが豊富にそろっています。
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そして由布島(ゆぶじま)は西表島から渡れる小さな島。島全体が植物園となっており、島への行き来は水牛車に乗車。亜熱帯の植物を鑑賞しながら、のんびりとした島時間を過ごせます。
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石垣島/石垣港離島ターミナルから八重山観光フェリーまたは安栄観光の高速船で西表島/大原港ないしは上原港へ。由布島へは、由布水牛車乗り場バス停下車。島内をめぐるには路線バスもありますが、本数が少ないので定期観光バスやレンタカーなどで回るのがベターです。
5. 隠岐(おき、島根県)
隠岐(おき)は、島根県の日本海上にある島々。西ノ島、中ノ島、知夫里島(ちぶりじま)の3つの島からなる島前(どうぜん)と空港がある島後(どうご)に分かれています。
島前の3つの島の間には穏やかな内海が広がりますが、西ノ島の北側には巨大な崖が海のそばまで迫る「摩天崖(まてんがい)」と、大きな穴が印象に残る「通天橋」などダイナミックな風景が続く「国賀海岸」がありますし、知夫里島では海に迫る真っ赤な崖が印象的な「知夫赤壁」などの絶景が楽しめます。
島後には「ローソク島」、「白島海岸」などの絶景ポイントが点在しています。
また隠岐は鎌倉時代の承久の乱で幕府軍に敗れた後鳥羽上皇が流されたという史実があり、中ノ島の隠岐神社や島後の玉若酢命神社など古刹も多い島でもあります。
<アクセス>
境港、七類港から隠岐汽船のフェリーに乗船。島前の3つの島〈西ノ島/別府港、中ノ島/菱浦港、知夫利島/来居港〉と島後/西郷港に行くことができます。また知夫利島以外の島へは季節限定で隠岐汽船のジェットフォイル「レインボージェット」も運航します。
隠岐世界ジオパーク空港は島後にあり、 大阪・伊丹空港と出雲空港からの定期便があります。西ノ島、中ノ島と島後には路線バスも走っていますが、本数が少ないのでレンタカーなどで観光するのがいいでしょう。知夫里島は小さな島なのでタクシーやレンタカーでの観光となります。
旅の醍醐味(だいごみ)の1つでもある非日常を体験できるお勧めの離島をご紹介しましたが、いかがでしょうか。
時間の制約やあふれている情報から解放されて、ゆったりとした気分を実感できる離島への旅に出かけてみてください。
(文:村田 博之(名所・旧跡ガイド))