「2桁取らないと日本代表はない」 国内復帰でG大阪新加入、奥抜侃志の現在地

0

2025年01月31日 18:35  サッカーキング

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

サッカーキング

今季からG大阪でプレーする奥抜侃志 [写真]=元川悦子
 ダニエル・ポヤトス監督体制2年目だった2024年はJ1リーグ4位、天皇杯準優勝と前年から成績を大きく伸ばしたガンバ大阪。2025年はもちろんJリーグタイトルを目指しているが、昨季10ゴールを挙げた成長株の坂本一彩がウェステルローへ移籍。中盤の要だったダワンもチームを離れてしまった。

 だからこそ、新戦力の躍動が強く求められるところ。とりわけ、ブンデスリーガ2部のニュルンベルクから国内復帰した奥抜侃志にかかる期待は大きい。2022年まで当時J2の大宮アルディージャでプレー、ポーランドのグールニク・ザブジェで1年、ニュルンベルクで1年半を過ごして、今季本格的にJ1デビューを果たすことになる。

「僕自身、大宮にいた時からJ1のオファーをいただいていたんですけど、それを我慢して海外を優先していたので、J1でやるのがすごく楽しみです。ポヤトス監督は今季、より高い位置でボールを奪う形を増やそうとしていますけど、ドイツでも『前で、前で』という感じだったので、高い強度には自信がある。やりやすさを感じています」と本人も目を輝かせる。

 今回の奥抜の日本復帰を「早すぎる」と受け止める人も少なくないかもしれない。本人もできることならもう少し欧州挑戦を続けたい思いもあっただろう。しかしながら、元ドイツ代表FWミロスラフ・クローゼが昨夏にニュルンベルクの監督に就任すると出番が減少。半年間、苦しみ抜き、最善の道を模索した結果、このタイミングでの大きな決断に至ったという。

「ニュルンベルク1年目はコンスタントに出ていたんですけど、今シーズンは監督のやりたいサッカーが大きく変わった。僕自身、オフ・ザ・ボールのところを言われるのは苦ではないですけど、オン・ザ・ボールのところで『あまり持つな』と言われてしまうと、自分の特長が出なくなってしまう。そこは僕からも伝えましたが、監督もトップトップでやってきた人なので一歩も引かなかった。モメることもありましたけど、意見の不一致は埋められなかったですね。そういう時にいろいろなJクラブから誘っていただいて、ガンバを選んだ。一番はポヤトス監督の熱量。そして監督と僕のやりたいサッカーがすごくマッチしていたことです。それがすごく大きかった」と奥抜は自分を生かせる環境での再出発を決めたのだ。

 G大阪には同じくドイツで挫折を味わった宇佐美貴史がいて、彼の境遇を誰よりもよく理解してくれるはず。「貴史くんのことは小さい頃から見ていたので、偉大な選手だとわかっていますし、一緒にできるのがすごくうれしい」と奥抜は目を輝かせる。

 そのエースを中心に、G大阪は目下、攻撃陣の連携構築の真っ只中。奥抜もウェルトンや山下諒也、山田康太、名和田我空ら2列目アタッカー陣と息を合わせる作業を進めている。1月28日の浦和レッズとのテストマッチを見る限りでは、左サイドからの積極果敢な仕掛けを披露。いいチャンスも作っていた。

「僕自身、もうちょっと高い位置でプレーしたいというのがあるので、(左SBの)黒川圭介くんと絡みながら1対1の仕掛けを増やしたいと考えています。自分が右サイドやトップ下に入ることもあり得るので、周囲とうまくローテーションしながら効果的なチャンスを作り出したいですね。昨年2桁を取った坂本選手がいなくなった分、僕がもっとゴールに関わっていく必要がある。今季は2桁を目標にしています」と高い領域を追い求めていく構えだ。

 日本代表復帰を視野に入れるなら、そのくらい突き抜けた実績を残さなければいけないのも確か。奥抜が主戦場としている左サイドは三笘薫、中村敬斗、前田大然とヨーロッパで目覚ましい活躍を見せているタレントがひしめく大激戦区。割って入ろうと思うなら、J1で無双状態になるくらいの強烈なインパクトが必要だ。

「(1月24日の北海道コンサドーレ)札幌戦もJFAのスタッフが偵察に来てくれたらしいんですけど、新たな環境でうまく結果を残していけたら代表も見えてくると思っています。三笘選手を筆頭に左ウイングは強烈なので、国内で2桁は取らないと代表は出てこないかなと。夏にはEAFF E−1選手権もありますし、そこを目指して結果にこだわっていくつもりです」と本人はギラギラ感を押し出した。

 ニュルンベルクで1年間共闘した林大地との再共演も楽しみだ。林は今回、沖縄キャンプに帯同せず、リハビリに励んでいるため、2人が同じピッチに立つまでに少し時間はかかるかもしれないが、苦楽を共にした仲間と一緒にチームを盛り上げていきたいという思いは強い。

「大地くんがいることは僕にとっての大きな助け。関西での生活は初めてですし、いろいろな意味で環境に慣れることが大事。日本の夏もかなり厳しいでしょうし、そこへの適応もしっかりやっていかないといけない。覚悟して臨みます」

 闘争心に満ち溢れる奥抜は2月14日の開幕戦となる“大阪ダービー”でどのようなパフォーマンスを見せてくれるのか。いい意味で見る者に衝撃を与えてほしい。

取材・文=元川悦子

    ランキングスポーツ

    前日のランキングへ

    ニュース設定