ヒートショック対策の脱衣所暖房、陥りがちな“落とし穴”

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2025年02月01日 07:21  ITmedia NEWS

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ヒートショックは、浴室や脱衣所、トイレなどで起こりやすい。ヒートショック防止のための暖房器具選びの落とし穴とは?(出典:写真AC、ヒートショックのイメージ)

 冬の寒い季節、家の中で気をつけたい健康リスクの一つが「ヒートショック」。ヒートショックとは、急激な温度変化により血圧が大きく変動し、心臓や血管に負担がかかる状態を指す。特に高齢者や心疾患を持つ人は注意が必要だ。


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 ヒートショックは、温度差のある場所へ移動した時に起こりやすい。そのためヒートショックが起こりやすい場所として、浴室や脱衣所(洗面所)、トイレなどが挙げられる。例えば、暖かいリビングから寒い脱衣所、そして熱い浴室や浴槽へ入った時などに注意が必要だ。


 また例えば銭湯には必ず注意書きがあるように、飲酒後の入浴には健康リスクがあるとされている。これはお酒を飲むと血圧が下がるためで、この状態はヒートショックのリスクも高めてしまう。


 つまりヒートショックを防ぐには、家全体の温度をできるだけ均一に保つこと、飲酒後の入浴を避けることが大切になる。つまり脱衣所やトイレなどは、暖房器具を導入し、リビングなどの主な生活空間の室温に近づけることが必要だ。


 しかし脱衣所やトイレなどを常に暖かくしておくのは、省エネの観点から難しい。そこでおすすめしたいのが、脱衣所を使う時だけ暖める専用の暖房器具の導入だ。しかし、どんな製品を選べばいいのだろうか。脱衣所用の暖房器具を選ぶ際に間違いやすいことと、おすすめモデルを紹介する。


●脱衣所暖房の落とし穴とは?


 脱衣所に設置する暖房器具選びで陥りがちなのが、手軽さやコスト、サイズといった表面的な部分で選んでしまうことだ。脱衣所に暖房器具を設置する際の注意点を見ていこう。


・脱衣所は狭い


 脱衣所(洗面所)は一般的に手狭な空間だ。一般的な戸建て住宅で1坪(3.3m2)ほどで、集合住宅はさらに狭い場合が多い。そこに、例えば余っていたからといって、石油ファンヒーターや電気ストーブを持ってくるのはお勧めできない。


 暖房機器メーカーのコロナによれば、遠赤外線の電気ストーブを安全に使うには、前面から1m以上、背面は壁から30cm以上離さなければならない。石油ファンヒーターの場合は背面と側面を壁から15cm以上離し、吹き出し口から1m離れて使う必要がある。意外とスペースが必要なのだ。


・脱衣所は燃えやすいものが多い


 そして熱源が露出している石油ストーブや電気ストーブを床置きした場合、万が一タオルなどが覆いかぶさった時に火災のリスクが高まってしまう。脱衣所では肌が露出するから火傷を負うこともあるかもしれない。子どもや高齢者などがいる家庭では特に注意が必要だ。


・水がかかることも


 お風呂上がり、あるいは洗濯機を使う際に水がかかることもある。仮に水がかかって内部に入ってしまうと、感電や漏電火災、誤動作の原因にもなる。暖房機は水がかかりにくい場所へ設置することはもちろん、水がかかっても内部に入り込みにくい構造のものが望ましい。


 これらのリスクを避けるなら、脱衣所暖房はタイマーや人感センターを搭載した“壁掛けタイプ”が理想的だ。壁の空きスペースやコストの都合で難しい場合は、床置きのセラミックファンヒーターがおすすめ。タワー型ではなく、接地面積の広い暖房器具を選ぶことで器具の転倒などを低減できる。


 具体的な製品をピックアップしよう。


●ヒートショック対策暖房、おすすめは壁掛け型


 壁掛けタイプの暖房機は、エアコンの室内機のように壁に設置する形の暖房機。狭い脱衣所でも離隔距離(暖房機を壁などから離さなければならない間隔)の心配が少なく、接触はもちろん、タオルがかぶさってしまうことも考えにくい。


 また節電を考えるなら、人がいなくなったら自動で電源をオフにする人感センサー搭載モデルを選びたい。また使用時にオフタイマーを設定できるモデルも良いだろう。暖房器具のつけっぱなしは省エネにならないばかりか、火災リスクを高めるため、ぜひ人感センサーやオフタイマーを搭載したモデルを選びたい。


・コロナ・ウォールヒート


 コロナの壁掛型遠赤外線暖房機「ウォールヒート CHK-C12B」は、本体の左右の離隔距離が各10cm。ファンを搭載するため温風で脱衣所をすぐに暖めてくれる。また人感センサーを備えるため、人がいなくなれば自動でオフになり、省エネ性も高い。さらに暖房をオフにした状態で送風する機能を備えているため、夏場は扇風機の代わりに利用可能。オールシーズンで活躍する。


・山善・壁掛け式脱衣所温風ヒーター


 山善の「壁掛け式脱衣所温風ヒーター DFX-RJ12」は、人感センサーこそ非搭載だが、1/2/5時間の切タイマーを設定できる。また運転開始後、何も操作をしないと8時間で運転を停止するため、切り忘れても防げる。そのほか壁掛け暖房をドライヤーとして利用できる「ドライヤーモード」を備え、温風/送風を切り替えて利用できる点もうれしいポイントだ。


 おすすめの壁掛けタイプは、脱衣所の壁が窓やドア、洗面台や棚などで埋まっている場合は利用できない。また設置工事が必要なモデルが多く、買ってきてポンッと設置して使い始められるわけではない。


 そこで次に候補として挙がるのが、一般的な床置き型の暖房器具となる。


●床置き型のおすすめモデル


 床置き型の中でもセラミックファンヒーターは、火災や火傷の危険が比較的少なく、また広い場所を暖めるのには力不足だが、狭い場所であれば十分に暖められる。


・パナソニック・セラミックファンヒーター


 パナソニック「セラミックファンヒーター DS-FTS1201」は、横置きと縦置きの2Way仕様。縦置きにすれば省スペースとなり、横置きすれば接触して倒してしまう心配を低減。脱衣所やトイレだけでなく、キッチンやデスク下の足元ヒーターとしても使いやすい。転倒時には電源が自動でオフになるほか、「ひとセンサー」(人感センサー)を搭載しているため、つけっぱなしになる心配がない。1/2/3時間の切タイマーも設定可能だ。


・アイリスオーヤマ・セラミックヒーター


 アイリスオーヤマの「セラミックヒーター ACH-M12A-H」は、本体の奥行きが13.5cmとスリムで狭い脱衣所に嬉しいサイズ。人感センサーや転倒時自動オフ、3時間で運転停止する切り忘れ防止、過熱防止など、脱衣所で欠かせない基本機能もしっかり備えている。温風は1200Wのターボ、1000Wの標準、600Wの静音モードで切り替えられる。


 寒い季節に注意が必要な健康リスク「ヒートショック」は、脱衣所に適切なヒーターを設置することでリスクを軽減できる。衣類が多く狭い脱衣所では、特に安全性に配慮したヒーターを選ぶようにしたい。ヒートショックは特に高齢者や心疾患を持つ人は注意が必要になるため、親御さんが遠方に住んでいるなら、そちらの脱衣所も見たほうがいいかもしれない。


(河原塚英信)



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  • 家全体を暖めるって北海道の家みたいにセントラルヒーティングじゃないと無理な話だよ。
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