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「NHK受信料が不要になるテレビ」として、近年話題となっているチューナーレステレビ。地上波放送を受信するためのチューナーを搭載せず、地上デジタル放送やBS・CS放送が見られない一方、インターネット接続による動画配信サービスの視聴に特化している。
【画像】差別化進む「NHK受信料が不要になるテレビ」(全3枚)
2019年頃から市場に出回り始めたチューナーレステレビ。認知度拡大に一役買ったのがドン・キホーテだ。
ドン・キホーテが2021年12月に発売した「ネット動画専用スマートTV」は、累計で1万3000台以上を販売。現在は計7種類のチューナーレステレビを展開している。中でも昨年新たに発売したのが、持ち運びできるチューナーレステレビの「14型ポータブルチューナーレスモニター『ポタモニ』」(希望小売価格2万5080円)、「11.6型防水ポータブルチューナーレスモニター『防水ポタモニ』」(希望小売価格2万5080円)の2機種だ。
ポタモ二は、消費者から寄せられた「持ち運べるチューナーレステレビが欲しい」「お風呂で使えるチューナーレステレビが欲しい」という声を受けて開発した。チューナーレステレビ自体の売れ行きは安定しているというが、広報担当者によると、ポタモ二については持ち運びできるタイプの認知度がまだ低いこと、さまざまな要因から製造原価が高騰していることから価格帯にも課題を感じているという。今後こうした課題を解決できるよう、改良を進める方針だ。
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商品ラインアップの拡大を図るドン・キホーテに対し、山善は違う路線で差別化を図ろうとしている。
山善は2023年秋からチューナーレステレビを販売している。当時は「32V型 ハイビジョン スマートテレビ」「40V型 ハイビジョン スマートテレビ」(いずれもオープン価格)の2種類だったが、現在は「サイズを大きく、高画質にしてほしい」といった要望を反映した「50V型 4K スマートテレビ」や、小型の「24V型 ハイビジョン スマートテレビ」を追加。全4商品を展開している。
チューナーレステレビは機能がシンプルであるため差別化が難しく、「安さ」を売りにするメーカーも少なくない。しかし、山善は安易に安売りせず、適切なアフターサービスを行うことで差別化を図る。その理由について、開発担当者は「ユーザーは故障や不調が出たこと自体への不満よりも、そうしたトラブルに販売元が適切に対応してくれなかったことへ大きな不満を抱く傾向があります」と説明する。電話でのサポートセンターやメールでの問い合わせ窓口を設置し、素早くかつ丁寧に対応することに注力しているそうだ。
安売りはしないと言いつつも、チューナーレステレビは通常のテレビと比較するとはるかに低価格の商品だ。それだけ利幅も小さいと考えられるが、なぜアフターサービスに力を入れるのか。それは、同社のチューナーレステレビの主要販路がECサイトであることも関係している。
ECサイトを訪れる購入希望者の多くは口コミを確認する。口コミには商品自体の評価だけではなく、トラブル発生時の対応の良しあしも書き込まれるケースがある。丁寧なアフターフォローは差別化しづらいチューナーレステレビの評価を高め、次の購買者の獲得につながっているのだ。
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ドン・キホーテや山善だけでなく、家具大手のニトリ、買い取り事業を手掛けるゲオ、家電量販店のエディオンなど異業種からの市場参入も増えているチューナーレステレビ。ライバルが増える中で、各社の差別化戦略にも注目だ。
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