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災害時、食物アレルギーのある子供が避難所でどう過ごすか、食事をどう提供するかを事前に考える「もぐもぐ講演会」が秋田市で開かれた。参加者らは28種類の原因物質(アレルゲン)を使わず調理した炊き出しも試食し、災害に備える「自助」や、情報を共有する「共助」の大切さを学んだ。
東日本大震災が発生した「3・11」を前に、アレルギー疾患をもつ子供の保護者で作る「食物アレルギーと共にあゆむ会『もぐもぐ』」(鷲谷彩香会長)が主催した。岩手県陸前高田市の防災士、武蔵野美和さんと、秋田市の中通総合病院小児科長の山田瑛子さんが講師を務めた。
武蔵野さんは東日本大震災時に陸前高田市で最大規模の避難所となった高田第一中学校のPTA会長を務めていた。最大1500人が避難した避難所の運営について振り返り、千数百人の命を守らなければいけない緊急時には食物アレルギーへの対応が難しくなる現実も指摘。被災時と平時の壁を取り払う「フェーズ・フリー」という備蓄の考え方を紹介し、「普段から食べ慣れている物を多めに備えておき、いつも食べられる工夫をしておくことが大事だ」と強調した。
アレルギー疾患の専門家である山田さんは、東日本大震災の際に食物アレルギーのある被災者が食べられる物の入手に困り、誤食にも悩んだというアンケート結果を紹介。災害時の自助の一例として、非常用持ち出し袋に「お薬手帳」のコピーや、アレルギー疾患名や症状が起きた時の対応を記入するカード、内服薬やアナフィラキシーショックが現れた際に使用する注射薬「エピペン」を入れておくことを推奨した。
また、食物アレルギーのため食べられない物を周囲に知らせることのできる表示カードや災害用ビブスを備えておくことも避難所で役立つとした。
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アレルゲン不使用の炊き出しには、秋田市の国学館高校調理科の1年生4人がボランティア参加し、カレーライスや五目汁などを提供した。「もぐもぐ」の鷲谷会長は「昨年の能登半島地震でも、食物アレルギーのある子供がひもじい思いをしたと報じられた」とし、「誰でも食べられる炊き出しを提供できる知識を持つ方々が増えてくれたらいいなと願っている」と話した。【高橋宗男】
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