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長野県佐久市の市道で2015年、中学3年の和田樹生さん(当時15歳)を乗用車ではね、直ちに救護しなかったとして道路交通法違反(ひき逃げ)に問われた池田忠正被告(52)の上告審で、最高裁第2小法廷(岡村和美裁判長)は7日、無罪とした2審・東京高裁判決(23年9月)を破棄する逆転有罪判決を言い渡した。
懲役6月の実刑とした1審・長野地裁判決(22年11月)が確定する。裁判官4人全員一致の意見。
判決によると、池田被告は飲酒した上で車を運転し、15年3月23日午後10時ごろ、横断歩道を渡っていた和田さんを約44メートル先まではね飛ばし、死亡させた。和田さんを捜したが発見できず、飲酒の発覚を恐れて約50メートル先のコンビニエンスストアで口臭防止用品を購入。再び現場付近へ戻って和田さんを見つけ、人工呼吸をした。
2審は、コンビニへの買い物に要したのは1分余りで、救護する意思を一貫して持ち続けていたとして、ひき逃げを否定した。
これに対して小法廷は、道交法が被害者の命を保護することを求めており、運転手は直ちに車を止め、状況に応じて負傷者の救護をする必要があると指摘。池田被告は和田さんを捜し続けるべきだったのに、救護と無関係なコンビニに向かっており、ひき逃げに当たると結論づけた。
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池田被告は同じ事故を巡り、過去に別の罪に問われ、二つの裁判で判決を言い渡されており、今回が異例の3回目の裁判だった。
まず、15年9月に長野地裁佐久支部で自動車運転処罰法違反(過失致死)で禁錮3年、執行猶予5年の有罪判決を受け、確定した。
和田さんの両親の要望後に、池田被告は道交法違反(速度超過)でも起訴されたが、19年3月、検察側の主張する速度超過が認められないとして、佐久支部で公訴棄却の判決を受け、確定している。
ひき逃げはいったん不起訴処分とされたが、両親が要望を続け、時効約2カ月前の22年1月に起訴されていた。【巽賢司】
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