近赤外線などを当て、傷つけずに糖度を可視化した白イチゴ(農研機構提供) 熟しても見た目が変わらない白イチゴの糖度を傷つけずに正確に推定、可視化する技術を農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)と名古屋大の研究チームがこのほど開発した。リモコンに使われる「近赤外光」などを当て、反射した波長を分析して判定する仕組みで、赤いイチゴにも適用できる。甘い実を選別して収穫できるようになり、出荷品質の向上や作業の省力化などが期待されるという。
果物の糖度判定は、つぶすなどして果汁を調べる方法が一般的。全ての実を調べることはできないため、傷を付けない非破壊判定技術が求められていた。
農研機構の関隼人研究員らは、近赤外光と可視光線を白イチゴに当て、反射した波長を分析したところ、赤イチゴと同様に、アントシアニンなどに由来する吸収が観察された。さらに、機械学習などを組み合わせ、部分ごとの糖度を推定して色分け表示する画像処理技術を開発した。
精度は赤白とも同等だったといい、関研究員は「赤くても甘くない赤イチゴもある。技術開発が進めば日本産イチゴの価値をより高められるのでは」と話している。
論文は食品科学に関する国際学術誌に掲載された。