記者団の取材に応じるトランプ米大統領=9日、大統領専用機内(AFP時事) 【ワシントン時事】トランプ米大統領は9日、日本製鉄による米鉄鋼大手USスチール買収計画を巡り、日鉄が「過半出資することはない」と明らかにした。完全買収は認めないとの考えを改めて表明した格好だ。移動中の大統領専用機内で記者団に語った。近く日鉄首脳と会談する意向。
日鉄は完全子会社化を前提に手続きを進めてきた。部分出資などになれば、大幅な計画変更を強いられることになる。
トランプ氏は7日の日米首脳会談後の記者会見で、日鉄は「所有するのではなく、大きな投資をすることで合意した」と説明。石破茂首相は9日のNHKの討論番組で、「あくまで米国の会社であり続ける」と述べ、トランプ氏の意向に沿った考えを示した。
関係者によると、首脳会談では、日本側から日鉄がUSスチールへの投資額を大幅に積み増す案を提示したという。
日鉄はこれまで、技術移転や多額の設備投資を行うには、情報漏えいの心配がない完全子会社にする必要があると強調してきた。森高弘副会長は6日の記者会見で「スキームを変える選択肢はない」と明言していた。
買収計画を巡っては、全米鉄鋼労組(USW)が反発。昨年の米大統領選を背景に政治問題化した。バイデン前大統領は先月、安全保障上の懸念から計画の中止を命令。日鉄とUSスチールは命令の無効などを求め、米裁判所に提訴した。
トランプ氏は大統領就任前の昨年12月、SNSに「税制優遇と関税で米鉄鋼を強くする。買収を阻止する」と反対する考えを明らかにしていた。