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カーリングの日本選手権が9日まで横浜BUNTAIで行われ、女子はフォルティウスが優勝した。
延長戦にもつれた決勝では、8−7で北海道銀行に勝利。3月の世界選手権(15〜23日、韓国)に加え、SC軽井沢クラブ、ロコ・ソラーレとのミラノ・コルティナ五輪日本代表候補決定戦(9月、北海道・稚内)への出場権をつかんだ。
元日本代表サードの市川美余氏(35)が、勝因と今後のポイントを解説した。【取材・構成=藤塚大輔】
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フォルティウスが経験値の差で上回った。際立っていたのは、スキップ吉村紗也香選手の決定力。もともと石をはじき出すショットは得意だが、今大会は狙った位置に石を置きにいくドローショットもさえていた。
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23年12月に第1子を出産して今季から復帰したが、競技を離れたことでリフレッシュできた面もあったと思う。決意のこもった表情から、大会にかける思いも伝わってきた。決勝の終盤ではプレーの持ち時間(38分間)が少なくなる中、冷静に投げ切っていた。
吉村選手に限らず、全員が経験値を高めてきた。
サード小野寺佳歩選手は昨秋のパンコンチネンタル選手権(カナダ)で女子のSC軽井沢クに同行。セカンド小谷優奈選手は、吉村選手の産休中にスキップを務めて戦術の理解を深めた。リード近江谷杏菜選手は他競技のアスリートとボランティア活動などに励み、競技外でも積極的に学ぶ姿勢が見られた。
決勝でのショット成功率が90%を超えたのは、それぞれが新たな環境や役割に身を置くことを通じて、強い精神力が備わってきたからだと思う。
身体面の強みも発揮されていた。メンバーの平均年齢は29・8歳。若い北海道銀行と約7歳の差があるが、平均身長は164・4センチと約6センチ高い。氷をはくスイーパーの体つきもがっしりとしていて、8試合目となった決勝でも力はおとろえなかった。
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2次リーグでロコ・ソラーレに1点差で敗れたが、その他は全勝。最も安定感があった。
世界選手権への出場は旧体制だった21年以来となるが、4人とも出場経験があり、海外勢とも十分に渡り合える。ポイントはいかに調子をキープできるか。カナダやスイスはゲーム運びも上手な分、相手に流されずに攻撃的なカーリングに集中できるかが鍵を握る。
最後に首都圏で初開催された意義についても触れたい。1日約2000枚のチケットは完売と盛況。運営側の努力もあり、懸念されていた氷の質も良好だった。
これまで寒冷地のカーリング専用施設でしかできないと思われていたが、可能性がすごく広がった。今後は西日本などでも開催できれば、さらに競技の裾野が広がると思う。(元日本代表サード)
◆女子決勝VTR フォルティウスは前半を2−3で折り返す。有利な後攻の第6Eでは吉村が自チームの石に当てて円心の相手の石をはじき、3点を奪って逆転。7−5で迎えた先攻第10Eに同点とされたが、後攻の第11Eで吉村が最後の1投を円心に寄せ、1点を奪って優勝を決めた。
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◆26年ミラノ・コルティナ五輪の出場権獲得条件 男女とも国別出場枠は10枠。24、25年世界選手権の順位に応じたポイント順で上位7カ国(開催国イタリア除く)が枠を獲得。過去に女子で同じ方式で7番目に枠をつかんだ国のポイントは14年ソチ大会が9点、18年平昌大会が12点となっており、世界選手権での枠どりは計10点前後が目安となる。24年大会ではSC軽井沢クが11位=3点を得ており、フォルティウスが5位以上となれば枠を獲得できる可能性が高まる。枠を獲得できなかった場合は、12月開催予定の五輪世界最終予選で残りの2枠を争う。
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