余ったM.2 SSDを有効活用! 玄人志向のUSB4対応SSDケース「GWM.2AM-U4CC」を試す

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2025年02月13日 17:41  ITmedia PC USER

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玄人志向の「GWM.2AM-U4CC」は、実売価格1万円前後で購入できる。タイミングが良ければ、8000円台で購入することも可能だ

 仕事柄、筆者はSSDを購入する機会が多い。そのため、自宅には暇を持て余したSSDも少なからずある。これを有効活用する手段の1つとして、外付けのM.2 SSDケースを購入し、データバックアップ用のストレージとして活用するという手がある。


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 従来のM.2 SSDケースはUSB 3.2 Gen 2規格(最大10Gbps)のものが多かったが、最近ではUSB4 Gen 3x2(最大40Gbps)対応の製品の選択肢も増えている。今回、USB4 Gen 3x2対応のM.2 SSDケースの1つとして、玄人志向(CFD販売)の「GWM.2AM-U4CC」(実売価格1万円前後)を購入してみたので、簡単にその所感を述べたい。


●SSDさえ用意すれば速攻で使える


 GWM.2AM-U4CCは、組み立てに必要な工具(ネジ回し)も付属しているオールインワンタイプのM.2 SSDケースだ。手元にPCI Express接続のM.2 SSD(詳細は後述)さえあれば、すぐに組み立てられる。具体的な付属品は以下の通りとなる。


・ケース本体


・シリコン保護カバー


・SSD固定用ゴム×2(うち1つは本体に組み込み済み)


・SSD固定用ネジ×2(うち1つは本体に組み込み済み)


・USB Type-C to USB Type-Cケーブル×1


・放熱シート×2


・組み立て用ネジ回し


 ネジ回しが付属しているのはもちろんだが、意外と紛失/破損しやすいSSD固定用品(ゴムとネジ)の予備が付属しているのは個人的にもポイントが高い。


対応するM.2 SSD


 一口に「M.2 SSDケース」といっても、M.2 SSDにはいろいろな規格/種類があるため、手持ちの(あるいはこれから購入する)SSDとケース側の要件はしっかりとそろえる必要がある。


 今回レビューするGWM.2AM-U4CCは、以下の条件に“全て”合致するM.2 SSDで利用可能だ。


・PCI Express 3.0 x4またはPCI Express 4.0 x4接続に対応していること


・M.2端子が「M-Key」または「B&M-Key」であること


・データ伝送が「NVMe(NVM Express)規格」であること


・カードのサイズが「Type2230」「Type2242」「Type2260」「Type2280」のいずれかであること


 外付けM.2 SSDケース、特にPCI Express接続に対応するもので盲点になりやすいのが、M.2端子の形状だ。一部のケースはB&M-Key(端子の左右両側に切り欠きがあるタイプ)のSSDに非対応であることも多いのだが、本製品の場合はB&M-Keyでも利用できる。ただし、同じB&M-Keyを使っているSerial ATA(SATA)接続のM.2 SSDは使えないので注意したい。


●PC側は過去のUSB端子(規格)でもOK


 USB4 Gen 3x2規格に対応するM.2 SSDケースの中には、USB4 Gen 3x2以外のUSB規格に対応しているかどうか明記されていないこともあり、「USB4非対応のPCで使えるのかな……」と不安になりがちだ。


 その点、GWM.2AM-U4CCはパッケージに対応するUSB規格が明記されている。具体的には、以下のUSB規格で利用可能だ。


・USB4 Gen 3x2(最大40Gbps:Thunderbolt 3/4を含む)


・USB 3.2 Gen 2x2(最大20Gbps)


・USB 3.2 Gen 2(最大10Gbps)


・USB 3.2 Gen 1(最大5Gbps)


・USB 2.0(最大480Mbps)


 ということで、過去のUSB規格との互換性もバッチリだ。ただし、M.2 SSDは意外と消費電力が大きいこともあり、玄人志向では5V/3A(15W)の電力を供給できるUSB端子での利用を推奨している。規格通りの実装という前提に立つと、USB Type-C端子なら電力要件を満たせる一方、USB Standard-A端子では要件を満たせない可能性がある。


 別途USB Standard-A to USB Type-Cケーブルを用意した上で、本製品をPCのUSB Standard-A端子につなぐ場合は、あらかじめ当該端子の給電能力を調べておくことをお勧めする。


Intel製CPUを搭載するPCで使う場合の注意点


 本製品はUSB4規格のベースとなった「Thunderbolt 3」、そしてUSB4規格に完全準拠した「Thunderbolt 4」の両端子を備えるPCでも利用可能だ。本来、Thunderbolt 3/4端子に本製品をつなぐと最大40Gbps(理論値)での通信が可能……なのだが、Intel製CPU(または同社製Thunderboltコントローラー)を搭載するThunderbolt 3/4対応PCの一部において、本製品がUSB 3.2 Gen 2デバイスとして認識されてしまう事象が確認されている。具体的な対象CPU(Thunderboltコントローラー)は以下の通りだ。


・ノートPC用第10世代Coreプロセッサ(開発コード名:Ice Lake)


・ノートPC用第11世代Coreプロセッサ(開発コード名:Tiger Lake:一部を除く)


・Intel JHL8540 Thunderbolt 4 Controller


 上記のCPU/コントローラーを搭載するPCにおいて、USB4(またはThunderbolt 3/4)ケーブルを使っているにもかかわらず、本製品がUSB 3.2 Gen 2デバイスとして認識されてしまう場合は、「NVMファームウェア」を更新すると問題が解消する。ファームウェアの更新については、お使いのPCメーカーに問い合わせてほしい。


●とりあえず組み立てて使ってみる


 GWM.2AM-U4CCの概要説明はこれくらいにして、早速組み立ててみようと思う。今回は、筆者のM.2 SSDコレクション(?)の中から、キオクシアのコンシューマー向けM.2 SSDの初号機「EXCERIA NVMe SSD」(PCI Express 3.0 x4接続)の1TBモデルを引っ張り出して、GWM.2AM-U4CCに組み込んでみることにした。


 このSSDの公称スペックはシーケンシャル(連続)の読み出しが最大毎秒1700MB、書き込みが最大毎秒1600MBと、今どきのPCI Express 4.0 x4接続のM.2 SSDと比べるとだいぶ遅い。率直にいうと同規格のM.2 SSDと比べても遅めだが、Serial ATA接続のものと比べればだいぶ高速である。


 組み込みの手順をざっくり説明すると以下の通りで、一般的なM.2 SSDケースとおおむね同様だ。


1. 本製品の裏ぶたのネジを外して開ける


2. 本製品に付属している放熱シートをSSDに貼り付ける(※1)


3. 本製品に取り付けられているSSD固定用ゴムを外して、SSDのネジ止め部にはめる


4. SSDを本製品のM.2 SSDスロットに差し込み、SSD固定用ゴムで固定する


5. 本製品の裏ぶたを閉じてネジを締める


 慣れた人であれば、パッケージを開けてから3分以内で作業は完了するだろう。


(※1)両面実装のM.2 SSDを利用する場合は貼り付け不可(放熱シートなしで利用する)


●速度は出るのか?


 組み立て終わったところで、実際に使ってみよう。今回は手持ちのUSB4対応PCを代表して、レノボ・ジャパンの「ThinkPad X13 Gen 3(Intel)」と接続する。このノートPCには、2基のThunderbolt 4(USB4)端子を備えている。ケーブルは、ケース付属のものではなく、2000円で購入した住友電工製USB4ケーブルを用いた。


 接続してみると、Windows 11上からしっかりとUSB4デバイスとして認識されていた。理論上は、EXCERIA NVMe SSD(1TB)のフルパフォーマンスを発揮できるはずである。


 正常に接続できることを確認できたところで、SSDを「exFAT」で初期化し直した上で、「CrystalDiskMark 8.0.6」でアクセス速度を計測してみた。「なぜexFAT?」と思うかもしれないが、端的にいうとMac(macOS)でもこのSSDを使いたかったからである。


 プロファイルを「NVMe」とした以外は標準設定のままで測ったところ、以下のような結果となった。


・シーケンシャル(SEQ1M Q8T1)


・読み出し:毎秒1756.49MB


・書き込み:毎秒1111.88MB


ランダム(Q32T16)


・読み出し:毎秒927.65MB


・書き込み:毎秒9.2MB


 シーケンシャル性能を見ると、読み出しは公称値通りな一方、書き込みは公称値を少し下回っている。デバイスの取り外しに関する設定を変えればに近いパフォーマンスを発揮できると思われるが、時間の都合で設定を変えての再計測は行えなかった。


●USB4接続のM.2 SSDケースもようやく「手に届く」価格に


 ひとまずEXCERIA NVMe SSD(1TB)で計測する限りにおいて、SSDをUSB4接続する意味はあることは分かった。時間の都合で他のM.2 SSDのアクセス速度は計測できなかったが、“宿題”として後日計測を行おうと思う。


 特に写真や動画を大量に保管する場合、SSDをUSB4接続できることは大きなメリットとなりうる。従来はケースの価格も効果だったが、今回レビューしたGWM.2AM-U4CCのように実売で1万円を切る(こともある)製品もちらほら出現し始めた。


 手持ちのM.2 SSDをポテンシャルを引き出しつつ生かす手段として、USB4接続のケースも選択肢の1つとなりそうだ。



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